三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 5月30日 思い立ったが吉日(小型イタリー撚糸機?)

2018-05-30 | メンテナンスお気楽日記
                              リング撚糸機 一錘機仕様

「今でしょ!」誰かのキャッチフレーズでもないが、やりたい事やしたい事。思った時がチャンスです。
やりたいなー、作りたいなーでは、いつまでたっても事は、動きません。

そりゃ、早合点や勇み足って言葉もあるけれど、やらなきゃ、解らない事の方が多い。
失敗しないのが、今の流行り?らしいが、失敗があるからこそ、事は前に進む。一歩後退、二歩前進。
やらない計画は、買わない宝くじと同じ。


撚糸屋さんを回っていると「イタリー撚糸でしか出来ない仕事」ってのもある様です。

機械屋に「風合いや手ざわり」と言われても、理解出来ないが、只、ダブルツィスター機の高速量産機や
リング撚糸やカバーリング機や合撚機。機械構造や仕様によって、様々な特徴や特長があるそうです。

イタリーも単に、昔からある燃台や、少ロットで小回りの対応ができる燃台としてではなく、製造意図がある。
確かに、ダブルツィスター機で作る製品は、量産こそ出来るが、味が無い?とも、良く聞く言葉でもある。


「工房や試験室で使える、イタリー撚糸が無いか?」の相談がありました。

「卓上撚糸装置なら、大阪や名古屋のメーカーで作ってもらえるょ」って答えましたが、リング撚糸方式では
「おもしろくない」との返事でした。やっぱり、何がどう違うのか理解できないまま・・・。生返事。
北陸にあるイタリー撚糸機は小さく分割しても、80~100錘になります。それこそ、んーの世界です。


次の連絡は「作れないか?」との相談でした。何年か前にも同じ問い合わせがあり、その時は、廃業予定の
絹撚糸を紹介しました。すると、直ぐに綾部から車で駆けつけ、必要な部品を自分で分解していました。
バイタリティーと言うか、チャンスを逃がさない「やる気」には感心させられました。

後日、写真も送られてきたました。さすがにフレームは木製組みで、綾振り装置はハートカム方式。
オリエンタルモーターは組み込まれていましたが、機械屋では思い付かない構造が、反に新鮮だった。


今回も紹介したい処だが、確かに使ってないイタリー撚糸はあります。しかし「部品取り機?」として
残されているのが現状で、処分機や鉄クズではありません。撚糸屋には必要な機台でもある。

何とか交渉して「全部が全部、使う事もないから」の了解を得ました。条件は良いです。
撚糸屋が残したい部品と、機器作りに必要な部品は違います。スピンドルブラケットやシリンダー受けは
消耗部品ではありません。ガイドやメタル、松葉芯棒は、後で何とでもなる?

もっと良い条件は、ボビンやシリンダー、スピンドルにフライヤーなど、その機台に合った部品も
何錘分なら分けてもらえるという事です。これが、部品探しで一番難しい処でもある。


さぁ、後はどう動くか?客先に委ねます。段取りを組んだ以上、多少の期待はあります。
それ以上に、どんな装置として出来上がるのか?それを、他にも紹介出来るのか?
他人のフンドシで、自分の情報を増やそうという、魂胆です。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ




メンテお気楽日記 5月25日 雇用と人件費。そして技術の伝承

2018-05-25 | メンテナンスお気楽日記
                            5月の法然院。お気に入りの一枚です。

「雇用」とは、人の力を借りて、仕事を成し遂げる、手段でもある。
しかし、現場からは「人件費を払うと、儲けが無くなつてしまう」の声が切実。

確かに、工場で女工さんの姿を見ることが、極端に少なくなってしまった。
特に、中小企業では、若い?女工さんの姿を見つけることは、まず、無い。
設備は充実しているのに、家族経営が多い。それも、老夫婦?だけの作業となっている。


何年か前の○○ショック、その後のデフレ対応。一度下がった加工賃が、元に戻る?事は厳しい。
もちろん、海外生産による「ロットの減少」も大きな原因だが、少ロットだから割高工賃って事も
厳しい現実。儲けが確保できなければ、雇用は出来ない。タダとは言わないが、家族で対応。


そもそも、一つのモノづくり(製品)に関わっている人数なんて、計り知れない。
繊維産業で言えば、一枚の服が客先に届くまでには、糸づくりから始まり、撚糸・染色・生地づくり、
そして縫製。各工場にも専門加工委託もあり、それに、流通・卸業をはじめ、デザイナーも関わる。

天然繊維に至っては、羊毛の飼育?、綿の栽培、お蚕さんを飼うためには、桑畑も必要となります。
先月、訪ねて来てくれた、茜染の工房さんは、茜畑で苗を育てる事業もやっているとの事だった。

「モノづくり」が一人の力でも完成できるなんて、大きな間違いです。見えない、材料づくりや
加工技術。それらの一つ一つ、一人一人が仕事として、生業(なりわい)として生活している。


「産業城下町」と言われる地域があります。いわゆる「産地」です。
そこには、同業他社や関連業者・工場が集まっています。専門加工工場も多くあります。

単に、同業者が多い訳でもありません。各工場には工員さんや女工さん。その人たちの技術が凄い
のです。笑い話でもないが、社長は言いたいことを言っているだけの役割です。

よく、伝統工芸の後継者がいないって話も聞くが、その仕事をしたいと思っている人は必ずいます。
只、儲からないから、二の足を踏んでしまう。あこがれや理想だけでは、飯が食えない現実がある。

それと同じことが、工場でも起こりつつあります。技術者が高齢退社してからの、雇用募集。
これでは、技術が伝承されるワケがありません。技術者が技術を教え、伝えていくのが大切です。

育てるための雇用なんて、大袈裟かも知れないが、企業が生き残るためには大切かと思います。
その為には、社長の仕事は、工員の技術を少しでも高く売る事です。社長自信が作っては黙阿弥です。

人を雇ってこその企業であり工場でもあるとも思います。それが技術の伝承ともなり、生活の糧です。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ







メンテお気楽日記 5月22日 糸切りハサミ

2018-05-22 | メンテナンスお気楽日記
幡屋さんの生地から、糸繋ぎの端糸が見つかりました。約2㎝強の飛び出しですが、結び目がダンゴ結び?
だそうです。当然?幡屋さんから糸商へクレームが入りました。

糸商は撚糸屋さんに飛んで行き、ワインダーでの仕上げ巻きにクレームを付けました。しかし、撚糸屋さんでは
ゼッタイ、うちではない。と言い張ります。女工さんは年配者ばかりで?「幡結び」しかしないと。

そうなると、糸加工のルートつぶしが始まります。撚糸屋のコーン巻きは、染色工場の前巻き(ソフト巻き)工場
に運ばれ、染色ボビンに巻き上げ、それが染色加工されれば、今度は仕上げ巻きコーン巻きとして、幡屋さんに
納品されます。他にも、経糸は分割ワインダー工場にも運ばれ、長さが揃えられます。

どっかの国のお役人と一緒で?「自分が悪かった」とは、絶対言わない。認めれば「ゴメンね」だけでは
収まらない。不安はあっても、責任は取りたくないのが本心。そもそも、自分の工場で不良糸を出荷するハズも
ないとも思っている。もう一つ言えば、チェックもままならない現状もある。

結局は、ムヤムヤになるか?糸を作った撚糸屋さんに責任がくる事が多い。不条理でもあるが誰かが悪者にならな
ければ、収まらない。製造責任は厳しいが、販売者責任は見えてこない。「信用していた」で終わりか?


そもそも、生地になってからの「不良糸」ってのもオカシイ。ヒケや織ムラなら、まだって事も。撚りムラでもない。
糸に目が届いていない以上に、各工場の機械を通って来た事自体も不思議なところ。

仮に、節取り装置は付いていなくとも、糸口やスリットゲージで大きな結び目は引っ掛かることになっている。
ゲージが甘いのも認めるが、糸が切れた時、繋ぎ直す人員が不足している方に、原因があるような気がする。

女工さんの仕事は「糸を繋ぐこと」と言っても過言ではない。切れた糸を手繰り寄せ、撚りムラのない様に
手先で器用に「幡結び」をする。仕上げは、糸切り鋏でチョンチョンと糸端を揃える。

だから、女工さんのエプロンのポケットには、自分専用の糸切り鋏が入っている。ひも付きが主流。

問題は、女工さんの技術が伝承されない事にあります。高齢退職した後は、パート募集のお姉さん?に引継ぎます。
工場主は出来るのが当たり前と思ってはいるが、大きな間違いです。教えてこそ習ってこその、技術の伝承です。

ノッターを支給すれば、って対応もありますが、これも問題があります。幡結びを知らないまま仕事を続けます。
機器が壊れたときの対応が出来ない。その結果、自分勝手な方法で対処することとなる。

多分、今回の事故も「何気ない行動」からだろう。「後、で誰かが直してくれるだろう」悪気はない。


次回は「雇用」について考えたいと思います。「人を雇ってこその工場」が厳しくなっている。
生産率の低下はもちろんのこと、見守りや担当責任のムヤムヤにより、品質さえ危ぶまれています。

もっと大事なのは、技術の伝承が途絶えるという事です。跡継ぎがいない以上に、影響は大きい。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ


メンテお気楽日記 5月15日 機械への思いいれ

2018-05-16 | メンテナンスお気楽日記
もう十何年前の話になるが、当時はメンテナンスで知り得た情報を、売り手と買い手を紹介する事で、
仕事を得ていた。移設に始まり、仕様変更、整備とそれなりのメンテナンスの仕事として成り立った。

双方から感謝され、自分の仕事も確保できる、それこそ、お気楽とは言わないまでも、楽しみながら
お仕事ができる。困った時のメンテナンス(修理屋)だが、やはり、笑顔の中で仕事がしたい。


そんな時、機械を売りたいとの相談に、ある染色工場を紹介しました。話はトントンと進み、
経理?部長が最終契約のため、売り手のおばちゃんとの顔合わせの段取りを組みました。

ところが、部長の一言が、おばちゃんの逆鱗に触れ?へそを曲げてしまった。
「使わなくなった機械はゴミより厄介だから・・」少しでも安く譲ってもらいたい一言だったと思うが、
これまで、この機械で仕事をし、生活の糧として来たおばちゃんには、耐えられなかった。

その機械は、別工場を紹介する事によって、今でも稼働しているが、中古機械を設備と見るか、産廃と
見なすかは、タイミング以上に、運命的?出会いによって、決定されてしまう。


今でも「機械を売れないか?」の問い合わせや情報は入ってきます。でも、6割7割はちょっとちょっとの
状態です。ホコリまみれで、相当ほったらかし状態は想像されます。正に、処分したいが見え見え。

一応、ドラムのキズやイモノの減り具合、サビの程度は確認しますが、昔みたいに次のお客を紹介できる
状態とは、ほど遠い。たとえ部品取りとしても、解体・運搬経費がかかるのも現状です。

使わなくなった機械は惨めです。ホコリすら払ってもらえない。機械に限らず、家(建物)や自動車なども。
新車の時はセッセとワックスがけしていたのは何なんだろう。一言でいうと「思い入れ」って事かも。

ワインダーでも、正月休みに徹底掃除をして、グリースアップが効きすぎて?正月明けに動かないなんて
事故も笑い話になってしまった。それに、機械にお鏡モチを飾った気持ちって、理解できますか?


昔話はさておき、現状でも「心配事」がある。それは、自分の機械ではない「会社設備」です。
「自社一括設備」とは聞こえはイイが、4時5時になったら帰ってしまうパート工員。
ベアリングが熱を持とうが、騒音が出ていようが、そんなモノだと、勝手に決め込んでしまう。

海外研修生の時は、多少なりとも我慢?もしたが、後継者自体も自分が買った機械でもないから
「思い入れ」を求めることも無理なのかも知れない。せめて、お金を稼いでくれる機械と自覚して欲しい。

「投資をした分、それ以上の利益がある」と言い切った経営者もいたが、巷の話では、それが3年先なのか?
10年先なのかって事です。おいおい、中古機械で目の前の仕事に対応せざるを得ない。

「中古機械ももっと高く売れば、機械を大切に扱ってもらえる?」これも、冗談とは言い切れないかも。

「工具を大切にしてこそ、一人前の職人」とも教えられたが、気が付けば、不要のスパナがごちゃごちゃ。
これじゃ、他人の事をとやかく観察するまえに、目先のスパナをつまんでいる自分すら見えていない。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ


メンテお気楽日記 5月14日 中古機整備渡し

2018-05-15 | メンテナンスお気楽日記
久しぶりの工場立ち上げです。12錘機4台の注文をいただきました。
もちろん、直ぐにお仕事ができる様、整備渡しの約束です。試験巻きの確認後、納品します。

ところが、3錘機・6錘機慣れ?で、塗装仕上げの「手間仕事」が慣れっこになっていました。
しかし、12錘機4台となると、とても分解清掃・塗装までは手が回らない。清掃はするとしても、
せめて、クレドール部とテンション装置は、徹底的に整備仕上げの段取りです。


集めた機台は、後期製作台ばかりで、けっこうきれいな機台です。自信をもってのお勧め機です。
でも、やっぱり、30年の?汚れは気になります。塗装とまではいかなくとも、肝心のクレドールと
テンション装置は分解洗浄して、モノマ汚れをさっぱりしての整備に掛かりました。

でも、きれいになればなるほど、小さな汚れでも気になるものです。

当初は、汚れだけ落とせば、それなりに・・なんて思っていたが、洗浄を終え、乾燥のため並べていたが
やっぱり気になります。いくら、にらめっこしても決断は付きません。

で、やっぱり?塗装する事にしました。ひと手間どころか、二手間三手間増えることになるが、
気持ちよく納品したい。手間は見えないぶん、整備工料には変わらないが、自分への納得です。


「整備渡し」って、本当に難しいです。どこまでってのが、決まっていない。

もちろん「仕事ができる事」が、最低条件ですが、どの状態での納品か?となると、機械の状態や
客先の状態で、大きく変わって来る。どこまで手を掛けられるか?って事です。

新品部品に交換すれば一番ベストとは解っていても、客先の望んでいる価格とかけ離れてしまう。
繊維機械の新品価格を知らない世代に、機械をお世話する一番難しい処でもある。

何年か前(十何?年)なら「現状渡し」のお世話でも、それなりの機台は紹介できた。
それこそ、売り手は高く売れ、買い手は安く買えるお世話。自分の仕事はメンテナンスで充分。

ところが、現在は「手を掛けないで良い」機械は、まず、無いと考えた方がいい。
買い手がそこそこの価格を望むとしたら、売り手側は処分価格で手放すこととなる。

そこに「整備費」をいくら掛けられると言うことです。それに「運搬費」もバカにならない。

綺麗だから良い機械とも限らない。ペンキ塗装だけの仕事?も見てきました。
イモノ製品の品質で言わせてもらえば、新型?はガタが出やすく、旧型は今だにしっかりとしている。


「整備渡し」は暗黙の了解でもある。「中古ですから・・」の言い訳をしない為には、、
「中古機でもこれだけの仕事が出来る」客先からの、あたたかい感謝の気持ちも必要です。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

ブログランキングに参加しています!1日1回クリックをお願いします!!
↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ