迷宮映画館

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マエストロ!

2015年02月12日 | ま行 日本映画
音楽で食っていくということは、真面目に難しいことで、ちょっとやそっとの実力ではまず無理。あとは環境と、運もいるだろうけど、DNAもそりゃ大事でしょう。さて、名門のオーケストラということらしいが、解散を余儀なくされて、団員たちはちりじりに。コンマスのバイオリニスト・香坂も浪々の身。ヨーロッパのオーケストラにも売り込んでみてもうまくいかない。

そこふってわいた再結成の話。声をかけられた元団員が三々五々集まって、再起をかける。で、その仕掛け人が謎の指揮者・天道。場所は廃工場、指揮棒はトンカチ、共鳴板はその辺にある木材。やることなすことハチャメチャなはずなのに、彼の振るトンカチに引き込まれていく。もしや、すごいおっさん?

団員たちもわがまま勝手で、生活もあるし、仕事もほしいけど、やっぱり音楽が好きで好きでたまらない。楽器を奏で、音楽を作っていく。音楽を作り出すっていうことがいかに素晴らしいことで、すごいことで、自分たちを最上に光り輝かせるんだ!ということをよーくわかってる。

自分たちの主張を通しながらも、この指揮者は自分たちの演奏を輝かせてくれる力を持っているのもわかる。問題は・・・・金。現実的だけど一番大事だわよね。

つうことで、天道には借金があり、にっちもさっちもいかない。かつて、団員と対立して演奏会を失敗している。でも、どうしても天道には演奏会を行わなければならない理由があった。それは見ての・・・・なのだが、なんかいろいろとすっきりしないことが多くて、自分の中ですとんと落ちてない。

まず、香坂はいいとこの坊ちゃんなわけ?億の単位のバイオリンってことは、ストラディバリあたりを持ってるのですよね。でも、お父さんははやくに死んでるし、それにしてはいい暮らしだし、ちょっと違う世界の人みたいな感じで、切迫感がなかった。余裕の音楽家ってことなんだろうけど、なんか違うんじゃない感が漂う。他の団員たちもなんか浮世離れ。そんなもんなんでしょうか。「のだめカンタービレ」の団員達みたいな緊迫感が感じられなかった。

スポンサーがおりて、一旦演奏会がだめになりかかるんだけど、そこからの乾坤一擲、逆転の様子がさらっとしすぎ。え?いつの間に上演できるようになった?と、頭がついて行かない。で、どうしても引っ掛かったのが当の演奏。

一番重要な演奏。それ自体はさすがにプロのオケで見事な演奏だった。素晴らしかった。なのだが、ポイント、ポイントの音の表し方がサラッとしすぎ?クラシックの演奏に不可欠な大仰で、大げさで、無理やり引っ張るカタルシス。これがなかった。音の後の無音の世界。それが効くのは、最高のカタルシスがあってからだからだと思うのです。私には、それが感じられなかったのでした。

演奏の演技もきっちりやりこみ、演技には文句のつけようもないです。みなさんお見事。単に自分の見たかった展開と違っただけなのかもしれませんが、いろいろと自分の中ですとんと落ちてません。そつなく作りました・・・って風がどっかで引っかかってます。

オーボエの小林且弥さん。「凶悪」の時に目つけたあの人でしたね。なかなか出てこないなあ。もっと映画に出てほしいわ。

◎◎◎●

「マエストロ!」

監督 小林聖太郎
出演 松坂桃李 miwa 西田敏行 古館寛治 大石吾朗


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2 コメント

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こんにちは (maki)
2015-08-22 08:35:09
確かに、音楽映画にはあるはずの
カタルシスがなかったですね
ぶつ切り、二段構えで
殺すつもりで弾いたら本当に死んじゃうという
ちょっと、笑わせてるの?という作り
だいたいあの4小節で「逝かせる部分」というのも、
あまり伝わってこなかったような
マイナーでももう少しわかりやすい曲を選んだほうが良かったんじゃなかろうか、と思ってしまいました
>makiさま (sakurai)
2015-10-05 17:12:25
そうなんですよ。
音楽映画の一番大事なとこが薄いってのは、だめですよね。
音楽映画ってだけで、結構期待値上がってて、楽しみにしてたもんで、がっくり感も大きかったですわ。

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