地球の静止する日 1951年版

２００８年１２月に上映されたキアヌ主演の「地球が静止する日」。
オリジナルは、さっぱり知らなかった。いろいろと賛否両論があったが、おおむね５１年に作られたオリジナル版の評価が高かった。
先日WOWOWで放送があったので、息子（小６）と一緒に鑑賞。これがなかなかよくできてた。つい見入ってしまったもので、アップを。


第二次大戦は終わったが、世界はもっと混沌とした時代に突入。共産圏の国家がどんどんと作られ、アメリカは脅威にさらされていると思い込んでる状態。

何か得体の知れないものは、すべて敵で、排除されなければならない。話し合い？そんなことができるはずもない。世界の指導者たるべき地位と思われている国連も頼れるもんではない。この世界はいったいどうなるんだ・・・。

と誰もが思っていたころのこと。我々は、人間には抑制不能の武器を手にしてしまった。それが原爆。その脅威を宇宙人を借りて、世界の人に訴えねばならない！と素直な気持ちで映画の中で語らせているのだ。

ある日、突然やってきたUFO。信じられないスピードで飛ぶ物体は、宇宙船に他ならない。ワシントンに降り立った宇宙船の中から、宇宙人が出てきた。タコみたいな恰好をしているわけでもなく、いたって紳士的。でも、敵は排除されなければならない！！と刷り込まされている銃を持ったアメリカ軍人は、やっぱ撃っちゃう。

病院に運び込まれた紳士はクラトウと名乗るが、驚異の力ですぐに治っちゃう。そして、はるばるこの地球にやってきた理由を語るのだが、それが上記のこと。このまま、地球をほっていては宇宙の脅威になる。それは地球で生み出された制御不能になる可能性の高い、原爆。

クラトウは必死で訴えるのだが、ちゃんと耳を貸す人はいない。病院から抜け出したクラトウは、街に中にもぐりこんで、ごく普通の家を借りる。今はありえないような、下宿屋さん。そこでのクラトウがいい。子どもと友達になって、ちゃんと子供と向き合う。

なんとか地球の名だたる科学者を集めて、クラトウの訴えを聞く場を設定することができたのだが、軍としては、逃げられてメンツをつぶされたまんまでいることはできない。この際、生死は問わずに、彼を捕まえるぞっと。

クラトウは、自分の主張が本当であることを示すために、地球上のすべての電源を止めて、ありとあらゆるものをストップさせる。エレベーターは当たり前。車、電車、信号、電話、とにかくすべてのものが止まる。

ここで、この映画を見た人から、止まった飛行機が落ちてきて、とんでもない惨状になるんだ・・・との話を聞いていたのだが、飛行機は堕ちてくることは一向になかった。「ええ？？」と思っていたら、ちゃんと説明がある。「命にかかわる病院と、飛行機は止めていない」と！なんだ、そうだったのか・・・。前に見た人は、そのセリフが頭にあって、思い込んでたのかも。

クラトウを守るためにものすごい破壊力を持つ、ロボットがいるのだが、これがなかなか・・・・しょぼい。人が入ってんのかな？くらいの大きさなのだが、入ってたのはアンドレ・ザ・ジャイアントかしらん？でも、するどい光線で、銃も戦車もいちころにしちゃう爆発的な力が！！

つうことで、敵は排除しなければならないと思い込んでる頭の固い軍と、何とかせねばならないともがく科学者、よかれと思ってやってることが、ものすごい間違いだったりと、結構普遍的なテーマも盛り込みつつ、時代を如実に表してて、なかなかおもしろかった。

最後は、地球人に託すのだが、それは間違いだったのかもよおおと、５０数年後にまったく反省してない地球人に訴えに来たのが、キアヌ＠クラトウだったのかもね。

今見ると、しょぼいことこの上ないのだが、これがなかなか面白い。宇宙人演じる紳士が本当に紳士。うまい展開だし、映画としていい流れだなあ・・と思っていたら、何とこの監督さんは「ウエスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」の監督さんだったのね！！！これはびっくり。

さて、宇宙人を見つけて、軍に密告する男がいうセリフが「おれは英雄になれるぞ！！」と。

そこでふと思い出したのが、沈没しそうな船から、人減らしするために掛ける声の違いというやつ。メリケンの方々に掛ける声は、さもありなんです。

見てた息子についこの話を聞かせてあげましたが、やけに受けてましたわ。

やはりこの映画は、時代が生んだものだったということがよーくわかった。このままでは冷戦構造に突入しちゃう。それじゃあまずいから、対話が一番大事なんだ！！とまっすぐ言ってるのですが、それは、どう取られたんでしょうね。子供むけのSF映画としてしか見られなかったのなら、もったいなかったですわ。


「地球が静止する日　１９５１年版」

監督　ロバート・ワイズ
出演　マイケル・レニー　パトリシア・ニール　ヒュー・マーロウ