第一容疑者 姿なき犯人

見たい、見たいと思いつつ、とんとレンタル屋に行く習慣がないもんで、カードの期限ぎりぎり、更新ということで、やっと借りました。メルさんありがとう！！
オレグ様！！！素敵でした。最高。



ということで、中身を。

ロンドンは今、移民、難民にあふれ、街の様相も変わってしまうほどだ。犯罪の温床となり、バルカン・マフィアなる言葉まで、闊歩している。

片や、殺人課の敏腕警視、ジェーン・テニスンは多くの殺人事件を抱えながら、そろそろ引退もほのめかされている。自分の上司は、かつての部下。自分を邪魔だと思っている部下もいる。そんな板挟みにあいながら、殺人事件に立ち向かっていた。

工事中のビルで見つかった若い女性の死体。どうやら東欧系の移民らしいが、身元がわからない。死体には新旧の拷問の跡があり、この女性の生い立ちが気になる。

ようやく身元がわかった。ボスニア出身のサミラ。姉と一緒に虐殺を逃れ、不法滞在をしていたイスラム教徒だった。

容疑者は意外に早く見つかった。警備会社に勤めるジギッチ。サラエボからの移民の男。ボスニアで起こった虐殺のときに、姉のジャスミーナとサミラを助けた男だった。でも、なぜ今になって・・・。

ジギッチの取り調べの時に、通訳が呼ばれた。ルキッチと名乗ったその男は、にこやかにハンサムで、素敵な紳士だった。ジギッチの容疑を立証することができず、釈放することになったが、テニスンはどうしても納得がいかない。



姉のジャスミーナの話から、サミラは殺される前に「悪魔を見た」と言っていたことがわかる。その悪魔こそが、虐殺の指揮官。裁かれるべき男だ。

サミラはその男に殺されたに違いない。そいつは次に姉を狙うはずだ。はやく犯人を確保しなければ・・・・。しかし・・・。

と、２００分の話を一気に見てしまった。すべては台風で、はやいお帰りだったもので。ヘレン・ミレンの演技の確かさは、いうに及ばずだが、本当にうまい。尋問のやりとりの表情に、凛とした指揮ぶり。小さな女の子に相対する優しさを見せたかと思うと、男と引けをとらない。

そして、あたくしの目当ては、久々のオレグ様でした。
うーん、素敵です。この前にウソンで完全に壊れて、あほをさらしましたが、やはりいい男はいいです。

にこやかなハンサムぶりはいつもの通りですが、その影に潜んでいる何かがちらちらっと見えてきます。複雑な内面が彼がやると、ものすごく魅力的になるから不思議でございます。



さすがに年をとったなあ、と感じましたが、そこも重みで渋みがぐぐっと深まったようです。あーー、素敵だった。

と、オレグ様ばっかほめててもしようがないですね。話はイギリスが抱える難民、不法滞在の問題や、旧ユーゴの内戦の傷跡。戦争のむなしさと、傷もさることながら、それらの問題を抱えている人たちが、今もその傷を抱え、現実と向き合って生きているということ。

テニスン警視のお父さんが、第二次世界大戦のことを今も消えない傷として語るシーンがあるが、戦争が残したものは、どうしても消えない。そして、それをなんとか自分なりに昇華させるために復讐という手段をとるのだという。

犯人を突き詰めていく妙も味わえるが、その他の問題もたっぷりと盛り込んで、しっかりと描かれていた。見ごたえ十二分だった。メル様、ありがとうです。

「第一容疑者　姿なき犯人」

監督　トム・フーパー
脚本　ピーター・ベリー
出演　ヘレン・ミレン　ベン・マイルズ　ロバート・ピュー　バーナビー・ケイ　インゲボルガ・ダクネーテ　ヴェリボール・トピッチ　オレグ・メンシコフ　クレア・ホルマン　ラド・ラザール　フランク・フィンレイ