迷宮映画館

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モリエール 恋こそ喜劇

2010年09月10日 | ま行 外国映画
旅芸人率いる劇団が、久しぶりにパリに帰ってきた。13年ぶり。それはかつて若き役者として、身を立てようとしていたモリエールの劇団だった。

その昔、借金にまみれて、結局投獄されてしまったモリエール。彼を助けたのが、商人のジュルダンだった。美しく才気あふれる妻に、年頃の娘、たっぷりのお金とお屋敷。なんでも持ってたジュルダンが持ってないのは、爵位と愛・・。

なんとか貴族のお仲間に入ろうと、せっせと絵やらダンスやらなにやらの家庭教師を雇い、サロンでこの人あり!と言われていた侯爵夫人のセメリーヌの気を引こうと、脚本を書いて、演じようとしていた。演劇の家庭教師として雇われたわけ。

当然、奥様には内緒。浮気の指南をまさかいうわけにはいかない。さあて、ジュルダンの演劇はうまくいくのか!!そうはいかないと、いろんな邪魔が入ったり、モリエールに意外な愛が芽生えたり、一体結末はどうなる???

ということで、最終日にやっと見れたのですが、待ちに待ってた作品。これぞおフランスを堪能できるぞ!!と、首を長くして待ってた。その甲斐あり!!もう最高。

モリエールを演った・・・は、いままでピンとくる役柄がなかったのでそこだけがネックだったのだが、今回の役柄はぴったり。髪の毛とひげでお顔が隠れていたのがよかったかな・・。ちょっと胡散臭いところやら、さびしげな表情に、何といっても演技がうまい!!

そう、俳優としての演技ではなく、役者としての演技。どこかわざとらしく、大仰だが、それが見事だ。

モリエールの演劇で、ちゃんと知ってるのは「町人貴族」ぐらいだが、彼が生み出した傑作コメディは、こうやって生まれたのかもしれない、という大胆な話で、なんだか妙に説得力がある。

慇懃な貧乏貴族のやることやら、娘を政略結婚の道具としてしか見てない親父とか、鼻もちならないサロンのきれいどころやら、どの表し方も見事。これぞ台詞の妙、エスプリ、フランス映画の醍醐味だ。

舞台を見ているかのように笑い、ざまあみろと溜飲を下げ、そして最後に押し寄せる美しい情感。見事な余韻を残して幕を下ろす。素敵なトレビアンな作品でした。

◎◎◎◎○●

「モリエール 恋こそ喜劇」

監督 ローラン・ティラール
出演 ロマン・デュリス ファブリス・ルキーニ リュディヴィーヌ・サニエ ラウラ・モランテ エドゥアール・ベール


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4 コメント

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Unknown (KLY)
2010-09-11 22:15:32
予告編でひたすら「俳優・江守徹の名前の由来になった」とご本人が言ってるから観たって感じだったのですが、面白かった!
軽くて、ユーモアたっぷりだけど変に捻ってはいないから、日頃重いフランス映画はダメだ~って人にうってつけじゃないでしょうか。
ウチの嫁は全くフランス映画だめなんですが、「解りやすくて面白かったよ!」といっておりました。w
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>KLYさま (sakurai)
2010-09-12 07:50:25
予告、一回くらいしか見てないので、その印象薄かったです。
彼がデビューしたとき、それを強調してたのを思い出しました。
同じころを舞台にした「女優マルキーズ」ってのが以前ありましたが、あっちはとっても勉強になって、こっちは演劇の妙を味わった。。。そんな感じ。
奥様、フランス映画苦手ですか?
尊大ぶったものも多いですし、首かしげるものも多いですもんね。
その気持ちもわかりますが、こういうフランス映画見ると、快哉あげたくなります。
本当に素晴らしかった。
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Unknown (長右衛門)
2010-09-20 09:58:57
モリエールの名前は知っていても、本は読んだことないんですよ。ああ、無情!  10代の後半はの頃、石膏像はよくデッサンさせていただきました。なかなかうまく描けず、にっくきモリエール。いえいえ僕の腕の未熟さを嘆くべきです。ロマン・デュリス、僕の知っている石膏像モリエールにそっくりです。
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>長右衛門さま (sakurai)
2010-09-23 20:39:16
私も残念ながら活字はないですわ。
せいぜい映画で見るくらいで。
フランスで言うと近松みたいなもんなんでしょうかねえ。
だったら、いまどきのフランス人も読まないのかも。でも皆が知ってる!
あの石膏像は目にしたことがありますが、ぜひデッサンをUPで。
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