迷宮映画館

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消えた天使

2007年09月03日 | か行 外国映画
全米で性犯罪で登録されているのは50万人。一応刑期を勤め上げ、また世の中に舞い戻ってくるが、その再犯率は高い。そのため、彼らを定期的に訪問し、保護司のような役割をするのが監察官だ。

18年間その仕事をしてきたエロルは、退職前に後任の新監察官の教育係となる。それが最後の仕事だ。

彼らにだまされるな。彼らはごく普通の顔をして、同情を買い、涙を流し、目をしっかとして話す。そして、性犯罪を犯すのだ。その現実の厳しさをたたき込もうとするのだが、その徹底したやり方に、反感を買うものも多かった。退職とは体のいい言い方で、中身はクビ。エロルは全身全霊を込めて、新監察官のアリソンを鍛える。

その頃、一人の少女が行方不明になる。単なる家出だろう・・・とする当局に対して、エロルは自分の担当する登録者の中に犯人がいると目星をつける。誰だ?誰だ?俺をあざ笑っているのは・・・・。

犯罪者は「私が犯罪者です」と名乗るはずがない。犯罪者の顔のなぞしてない。ごく普通の生活をして、当たり前の仕事をしている。でも、犯罪は起きる。人間の闇の部分なのだが、これは一体どうすればいいのか。

ちょうどこの映画を見る前に、名古屋で女性をいきなり誘拐し、簡単に殺して、幾ばくかの金を取ったという犯罪があった。仲間はネットで知り合った他人同士。あまりに無軌道で、あきれた事件で、それで命を落とされた方のことを思うと、本当に憤った。人間って、ここまであきれたことができるのかと。

そんなことがあったばかりだったので、どうにも映画!として簡単にくくるわけにもいかず、ものすごく痛みを感じながら見た。

監察官などという仕事を長く続けていたら、本当に精神が参ってしまいそうだ。割り切ってやれるのならいいが、被害者の気持ちになり、家族のことを思いやり、本当に犯人を憎んでいくと、この映画の主人公のエロルのようになってします。でもこういう人にいてほしい。こういう人までもがいなくなってしまったら、本当に世界は闇だ。

そんな多くの経験と、傷を抱えた壮年男、うーん、リチャード・ギアじゃあ、ちょっとノーマル過ぎたかな。ここは、監査官自体がもうちっとゆがんだ癖のある人の方が似合ってったかな、、などと感じてしまった。その辺の思い切った冒険ができなかったのが、初のハリウッド挑戦の安全パイかなあ。悪くはないんですが。

そう、全体にゆがんだ性犯罪で、重苦しいテーマで、ちょっとスプラッター的かなあと思ったのだが、おとなしく感じたのは否めない。最初はそんなもんかな。でも、もうちっと大胆に切り込んでもらって、アンドリュー・ラウらしさを見たかったかも。ラストはいかにもアジアの監督らしい締め方でしたが。

◎◎◎●

『消えた天使』

監督・製作 アンドリュー・ラウ
出演 リチャード・ギア クレア・デインズ ケイディー・ストリックランド アヴリル・ラヴィーン レイ・ワイズ ラッセル・サムズ マット・シュルツェ クリスティーナ・シスコ ドウェイン・バーンズ エド・アッカーマン フレンチ・スチュワート


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2 コメント

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確かに (miyu)
2007-11-03 23:08:57
エロルのような仕事のやり方をしていたら、
見張らなくちゃいけない犯罪者を憎む気持ちが
大きくなってしまいますものね。
熱心なのはいい事だけど、
あ~ゆう仕事は難しいのでしょうね。
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>miyuさま (sakurai)
2007-11-04 20:28:08
ほんと。
良心であり、過酷でもあり、本当はこんな仕事、あるべきでないのに、なければ困る・・・。
困った世の中です。
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