第34弾をお届けします。
<往生する>
「堪忍」、「殺生」など漢語系で、古くさい言葉を、大阪人は、独特のニュアンスで、日常的に使い回すのが好き、というのか、飽きもせず、うまく使ってるといったらいいのでしょうか。
「往生」もご存知のとおり、仏教系の言葉で、「死ぬ」こと。極楽往生の「往生」です。「事故で電車が「立ち往生」」なんかは。全国的にもよく使われる。
本来は、そんな縁起でもない言葉を、「(自分が)死ぬほどの困難な状況」の表現として、大げさに、かつ自虐的に使うのが、大阪人。
「あっちからは、「支払いは、まだか~」て、ゆうてくるし、こっちからは、「早(はよ)う納品せえ~」ゆうてくるし・・・・ホンマ「往生してる」ねん」
<皆目(かいもく>
広辞苑にも「(多く下に打ち消しの語を伴う)全く、全然」と載ってますから、根っからの大阪弁、というわけでもなさそうです。現に東京出身の作家さんが使ってるのを目にしました。
でも、大阪人の使用頻度が圧倒的に高そうです。今どきは、ちょっと年寄りっぽい響きがあって、若い人はあまり使わなさそうでもありますが。
「急にそんなこと言われても、どないしたらええのか、「皆目」見当もつきまへん(つきません)がな!」
白か黒かはっきりさせない言い方が好きな大阪人ですが、「皆目」みたいに、きっぱり否定する表現が好きなのも大阪人。難儀な連中です。
<食べさしてへん子ォみたいに>
大阪というより、京都あたりでの使用頻度が高いような気がします。
(日頃から、ロクなものを食べさせてない子供のように)ガツガツと行儀悪く食べるんじゃありません、と子供と一対一で、ストレートにたしなめる時に使うのが、まずは基本。こんなイラストを見つけました。
だけど、京都あたりだと、イケズ(意地悪)とイヤミのニュアンスが加わることがあります。子連れの訪問先で食事を出された時などに・・・・
「いややわ、うちの子供いうたら、「食べさしてへん子ォみたいに」がつがつして。ホンマ、恥ずかしいですわ」
子供を叱りながら、「日頃は、ちゃんとしたものを食べさせてますので」という訪問先への申し開きの気分がひとつ込められてる。
そして、「(訪問先側が用意した)この程度のものをガツガツ食べて・・・・」と、決して口には出来ない思いも入ってたりするから、こりゃ一筋縄ではいきまへん。
<使(つ)こたって>
使って(利用して)やって、が、例によって、短縮化されて、「つこたって」という言い方になる。
飲み屋で、先輩が後輩に「なっ、安うて、ええ雰囲気の店やろ、また使こたってや」などと、先輩風を吹かせる様子が目に浮かびます。
「そやから、マスターも、コイツが来たら、「安うしたって」や」と、店のほうにも、きっちりとクギを刺すのを忘れないのも大阪流。ホンマ、しっかりしてますわ。
いかがでしたか?次回をお楽しみに。