★★★ 芦坊の書きたい放題 ★★★

   
           毎週金曜日更新

第302回 スゴい昆虫たち

2019-01-18 | エッセイ

 折に触れて、動物、植物の不思議な話、スゴい話をご紹介しています。そんな本を意識して探したり、チェックしたりしてるわけじゃないんですけど、その手の話題が好きなんでしょうね、やっぱり目に飛び込んで来ます。

 というわけで、今回は、「昆虫はすごい」(丸山宗利 光文社新書)と、まんまのタイトルの本から、驚異的なエピソードをいくつか、ご紹介します。

<ゾンビを操る>
 エメラルドセナガアナバチ(熱帯アジアに広く生息する蜂の一種)の幼虫は、ゴキブリを食べて成長します。親バチは、産卵のための場所であり、幼虫のエサともなるゴキブリ(当然、親バチより大きいです)を捉えなきゃいけないんですけど、その工夫がスゴいです。

 2回に分けて、ゴキブリに毒を注入するというのです。

 まず、1回目は、胸部神経節に注入して、前脚を緩やかにマヒさせます。
 そして、2回目は、逃げる反射神経を司る神経に刺します。これによって、かろうじて歩けるんですけど、逃げることはできない「ゾンビ」のようなゴキブリができあがります。そして、その触覚をくわえて、巣穴まで運んできて、そのゴキブリに産卵する、というわけです。

 蜂ですから、その種の毒を体内で造るのは、そう不思議でもないんですけど、2回にわたって、ピオンポイントで、的確に毒を注入する技術に唖然とします。そういう能力、スキルが遺伝子情報として組み込まれてる、ということなんでしょうけど・・・

<贈り物作戦>
 オドリバエというハエの仲間のオスは、獲物の昆虫をメスに見せ、それを目当てに飛びかかるメスと交尾を行う、というんです(なんだか身につまされるやり方ですが)。

こんなハチです。


 ただ見せるだけじゃないんですね。このハエの中には、獲物を前脚から出る糸でくるみ、いわばギフトラッピングして、渡すものもあるのが可笑しいです。

 また、中味はからっぽで、糸だけでできた風船状の偽の贈り物でメスと交尾する種もいる、というから、一種の結婚詐欺みたいなやり方。昆虫の世界もいろいろ大変なようです。

<宝くじ並みの寄生>
 カギバラバチ(蜂の一種)は、植物の上に、膨大な数の繊細な卵を産みつけます。
 次に、「たまたま」その葉を食べたイモムシの体内で、卵が孵化します。そして、そのイモムシを「たまたま」捕えたスズメバチが、その身を肉団子にして、幼虫に与えます。

 運良く(といっても「たまたま」が2度続かなければならないわけで、奇跡に近いです)、スズメバチの幼虫の体内に入ったカギバラバチの幼虫は、スズメバチの体内を食べ、それを食い破り、さらに外から食べ尽くす、という次第です。
 宝くじ並みの極めて低い確率ですけど、数に頼って、種を保存する。こんなアイディアもありなんですね。

<動物界最速の動き>
 アギトアリ(世界中の熱帯に生息するアリの一種)は、その長く発達した大顎が特徴です。狩りに出かける時、その大顎を全開にして、獲物を見つけると、ゆっくりと近づきます。

 大顎のつけねに長い毛が生えていて、それが獲物に触れると、時速230キロメートルで閉じ、獲物を挟むというのです。時間にすれば、わずか、わずか0.13ミリ秒(1ミリ秒は、1000分の1秒)。これじゃあ、逃げようがありません。確かに、動物界最速かも。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。

この記事についてブログを書く
« 第301回 プロレス界の悪役の変遷 | トップ | 第303回 ひけらかしコメ... »
最新の画像もっと見る