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第179回 大阪弁講座−20

2016-08-19 | エッセイ

 この大阪弁講座も、プチ区切りの20回目になりました。調べてみたら、1回目は、3年ほど前(第26回目)でした。「なんやかんやいいながら」2か月に1回くらいのペースで、結構続いてます。
 前回の講座では、「地名の短縮」に、いつもの居庵さんに加えて、孫平さんからもコメントをいただき、嬉しかったです。まだまだ続けまっせ。ほな。さっそく・・・

<なんでやねん>
 ある関西出身のタレントが、なぜ東京に進出していかないのかと訊かれて、「「なんでやねん」が使えへんから(使えないから)」と答えていた。
 「なんで」というのは、どうして、なぜ、と理由を尋ねるのが基本の語義。「ねん」の部分に、相手の言い分が腑に落ちないので、あえて訊く、というニュアンスがある。
 「ええ話やないか?断るて、「なんでやねん?」
 それが、さらに進んで、「それはないやろ!」「ありえへん!」というツッコミの時にも使うのが大阪流。
 「おまえとの約束やけど、おまえの都合で、なかったことにしてくれへんか?」
 「なんでやねん!それはないやろっ」

<万円>
 「大阪学」(大谷晃一 新潮文庫)の表紙イラストです。

 

        


 「てんまん六丁目」の「てんまん」は、大阪人なら先刻承知の「天満(てんま)」のこと。東京あたりから来たとおぼしきサラリーマンのボケぶりがまずは可笑しい。
 「ハイ 300万円」と手を出す大阪のオヤジ。タダで教えてもらうのはムシが良すぎる、といわんばかりの対応も、大阪人の一面(あくまで、一面ですけど)をよく捉えていて、笑える。
  
 ケチのくせに、かくのごとく、景気よく金額を万単位にするのが大阪人は好き。
 「え~っと、全部で720万円やから、お釣りは、ほいっ、280万円でんな」「おおきに」
 まっ、こんなやりとりがあったりする。もちろん、市場とか、個人商店に限られるが、売り手と買い手の親密度が前提になる表現。「えらい高いやんか。もう100万円ほどまからんかな」などと使えるようになれば、値切る根性とあわせて、大阪人検定準1級。

<気ぃつけてや>
 「気をつけろっ」というと、ケンカ腰。「気をつけて」も言い方によっては、相手を叱責する響きがある。ヒトに注意するのは、なかなか難しい。
 大阪人もケンカ腰だと、「このガキ、どこに目ぇ付いとんどい。気ぃつけたらんかい、ボケッ!」てな具合。表現力の豊かさ、迫力に惚れ惚れする。その一方で、やわらかく注意を促す表現があるのが、いかにも大阪で、それが「気ぃつけてや」で、男女共用。
 そう目くじらを立てるほどのことでもない。いかにも気分を害してるのを、ムキムキ言うのも大人気(おとなげ)ない。だけど、なんか一言言わないと気が済まん。そんな時に使える言い回しで、大阪人の心性によくマッチするのか、しょっちゅう使ってる。

 「おニイちゃん、お釣りが100円足りへんで。この前もそうやったやん。「気ぃつけてや」」
 「オバちゃん、ウチの頼んだ定食、忘れてるんとちゃう?忙しいのは分かるけど、「気ぃつけてや」」
 こんな用例になります。理由(この前もそうやった)、気配り(忙しいのは分かるけど)などと合わせて使うのが効果的。う~ん、奥が深い。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。

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