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第462回 数学の楽園から

2022-03-04 | エッセイ
 小難しい話題は出てきません(たぶん?)ので、気軽に最後までお付き合いください。ネタ元は、「数学者たちの楽園」(サイモン・シン 新潮文庫)です。アメリカには「ザ・シンプソンズ」という人気アニメがあり、登場するのはこんなユニークな人たちです。


 シンプソン一家のちょっとしたドタバタを描いたアニメで、数学者が台本作りに関わっています。そのため、会話に数学のジョークが入っていたり、数式がなにげなく画面に登場したりと、結構ハイソで、遊び心に溢れているのを、本書で知りました。

 手軽で馴染みのある話題を選んで、ご紹介することにします。

★円周率の今★
 円周率(パイ)の値には、かのアルキメデスが、正96角形で円を挟むという長大な計算を、筆算だけでやってのけて、その値が、3.141と3.143の間にまで追いつめました。
 オランダの数学者コーレンは、なんと40億の10億倍という多角形を使い、円周率を小数点以下45桁まで求めたのです。彼の墓石には、その数字が書き込まれているといいます。円周率に捧げた一生、お疲れさまでした。

 さて、コンピュータが登場し、円周率の計算は、コンピュータの性能と、計算ロジックで勝負する時代になりました。
 1961年の10万0265桁から始まって、1981年100万桁、1989年10億桁と進み、2002年には1兆桁に達しました。こうなるとヤケクソでやってる気がします。
 
 そんな円周率を記憶する競争(?)があるんですね。本書執筆時点での記録保持者は、中国の呂超で、2005年に6万7890桁を暗唱した、といいますからスゴいです。
 そこまでは無理にしても、本書で、下7桁まで記憶する方法が紹介されています。
 "May I have a large container of coffee"という文を覚えます。各単語の文字数を並べると、
 3.1415926 というわけです。
 日本には、語呂合わせを利用したもっとスゴい記憶法があります。アタマの方だけ覚えていたのをネットで調べたらこうでした。
 「産医師異国(さんいしいこくに)に向(む)こう」で、3.14159265
 そして、「産後薬なく産婦みやしろに・虫さんざん闇に鳴くころにや・弥生急な色草・九九見ないと小屋に置く」と続きます。なんと、小数点以下、55桁まで覚えられます(文を覚えられれば、ですけど)。日本人の語呂合わせスキルが存分に発揮されてます。

★図形パズルで小休止★
 息抜きとして、シンプソン・アニメに登場したという図形パズルをお楽しみいただきましょう。左から右に5つの図形がある法則で並んでいます。6つ目の図形を当ててください。



 お分かりになりましたか?
 最初の図形は、数字の1と、その左右反転したもの(鏡像)をくっつけて並べたものです。以下、2から5まで、この法則で作った図形です。なので、正解は、数字の6を背中合わせか向かい合わせにした図形、ということになります。いかがでしたか?

★フェルマーもどっきり?★
 最後は、ちょっぴり数学っぽい話題に戻りましょう。
 「フェルマーの定理」のことを知ったのは、高校の数学の時間でした。言わんとすることはよく分かる定理なんですけど、300年近く経っても解決していないというのを聞いて、ちょっぴりロマンを感じました。その定理です。



 nが2の場合は、ピタゴラスの定理でお馴染みのように、x,y,zがそれぞれ 3、4、5とか、5、12、13とかいくらでもあります。ところが、nが3以上では、成り立たせる自然数がないというのが不思議です。1995年にイギリスの数学者・アンドリュー・ワイルズによって証明されましたが、アニメの画面にちらっと、こんな式が登場したというのです。
(1782の12乗)プラス(1841の12乗)イコール(1922の12乗)

 もし成り立てば大変です。フェルマーは間違ってたということになりますから。残念ながら、アタマの8桁までは同じ(254121025)ですが、残り32桁は違う数字です。惜しいっ!それにしても、どこからこんな数字を引っ張ってきたのでしょう。数学者の頭の中を見てみたいです。

 いかがでしたか?最後までお付き合いありがとうございました。それでは次回をお楽しみに。
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