関西商法というと、百貨店でも値切る、と言われるほどの駆け引きの厳しさ・執拗さ、新奇なもの、珍奇なものへの飽くなきチャレンジ精神などなど、いろいろありますが・・・・
今回は、商売につきものの広告宣伝を切り口に、関西の商売人のありようを探ってみようと思います。
まずもって、「利用出来るものは、なんでも利用したろ精神」が旺盛なことを取り上げなければなりません。代表格がこれ
大阪市営地下鉄の駅の構内の階段を利用したもの。各段の垂直面を広告スペースに利用するというもの。まあ、確かに階段を登る時、いやでも目にするところには違いない。随分前からやってる手法で、初めて導入した時には、ニュースで取り上げられたのを記憶している。
慣れてなかったら、段を踏み間違えそうで、ちょっと怖い。東京でも、安売りチェーンの店内の階段なんかでは時折見かけるけど、公共的な場所で、これだけ堂々とやるのは、いかにも関西。
鉄道関係を中心に、エスカレータのハンドレールを利用したのがこれ。
じっと乗ってれば、いやでも目に入る仕組みだけど、関西人の場合、だいたいが、じっと乗ってないから、効果のほどはやや疑問。
昔、京都の市バスの回数券の各片(11枚綴りの一枚一枚)の裏面(!)に広告が入ってました。スポンサーは、確か、京都信用金庫でしたかね。今でも、名前だけは覚えてるくらいだから、広告効果はあったみたいです。
値引き分と印刷代を少しでも浮かそうという魂胆だったんでしょうね。京都もしっかりしてますわ。
そうそう、車内放送で、駅名を案内したついでに、「○×商店前」などと、コマーシャルを入れるのも、関西発祥のはず。首都圏でもバスなんかは、やってるのが多いですが、大阪だと、大阪市営地下鉄のような鉄道も負けずにやってるのが、かなりユニークです。品位とか乗客の反発とか気にせず「やったもん勝ち」といったとこでしょうか。
さて、「ムキムキに、分かりやすさ第一でいく」というのも特徴かもしれません。
真っ赤で、大きな字で「ぢ」とだけ。
大阪の人はみんな知ってますが、「痔疾」の薬を専門に扱う「ヒサヤ大黒堂」の看板です。客が恥ずかしがるのでは、と考えるのが普通ですが、「分かりやすいのがエエやん」と恥ずかしがりもせず、割り切るのが、関西人。
それから、関西のタクシーの行灯(あんどんー屋根の上に乗ってる社名の入った標識灯)にも、ちょっとした工夫があります。夜、客が乗って、メーターを入れたら、行灯が消灯する仕掛けになってます。
点灯してるのが空車ですから、夜、タクシーを拾う時に、客がムダに手を挙げる必要がないし、タクシーの方も、空車である事をアピール、宣伝できる、というわけです。
いかがでしたか?今回は、広告宣伝に絞ってお届けしましたが、機会があれば、関西商法を、別の切り口で取り上げてみようと思います。
それでは、次回をお楽しみに。
<追記>関西商法の話題を、その後、「立ち飲み編」(第257回)、「鉄道編」(第280回)、「えべっさん編」(第352回)としてアップしています。お立ち寄りいただければ嬉しいです。