Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

リハーサル 8/27

2008-08-28 | 参加ユニット『Kaolune Cafe』

Percの点を意識しながら
歌にまとわりつくようにGuitarを置く

体が固くならぬよう
次に置くビートの位置の、一切の心配事を捨て去り
ゆっくり息を吐くように奏でる

分解能は序々に細かくなってゆき
時間の流れが、ゆっくりに感じられ始める

一拍が長くなり、爪弾く右手はどんどん自由になってゆく

歌の言霊が、長く尾を引いたその直後、その左側に
fp(フォルテ.ピアノ)のオブリガードをひとつ差し込むと
すぐPercが、似た言葉で相づちを打ってくる

それに押されて、僕の音は右側に揺らめいて
そのあと、長い長い3秒間くらいは、左右に揺れ続ける

その間、一切、Bassの音は聞こえない

Bassは、Bass以外の会話を全て聞きながら
黙っているからなのだ

そのことに一瞬、思いが及んだ時
足の先から胸のあたりまで温かいものに包まれる

それらの者達に包まれながら
歌は静かに昇ってゆく

こんな時間が永遠に続いてほしいと願う思いが
一音も逃したくないという思いが
僕の姿勢を前屈みにしてゆく

気付けば、愛しいものを抱くように
顔が付くほどギターを抱え込んでいた



音の夢

温かな海

無限の自由


それらは虚像ではなく
この世に存在する










夢から覚めた ただのアホ二人



Kaoluneがこの写真の時に始めたブログ
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「ムフフ音楽隊~業務連絡~」

2008-08-27 | 過去のライブ後記


隊長のバラさんより隊員のチェリーへ


8/5に行った、施設での演奏
写真を送っていただいたので
載せとくよ


君のPCアドレス知らないから
気付いたら見てちょんまげ








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『ギターの栄養』

2008-08-25 | ギターの栄養


僕から、無秩序に放出される文字たちは
ギターという「種」が芽を出すまでの
ただの「水やり」にすぎない


土の中でじっくり熟成され、発芽した「本物の文字」
とは全く違うもの


それらを、うまく説明出来ない「言葉」とは
なんて不自由で未成熟な道具だろう




ある日、土の上に
可愛らしい芽が出るのを
慈しみの心で、ただ待つのだ


撒かれる水の、一粒一粒に、
大きな意味はない


慈しみの心で
水をやりながら
ただ、待つのだ
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『別れ』

2008-08-25 | ギターの栄養


誰かとの別れは人を成長させる



「誰か」とは、
そこに託した自分の夢

「別れ」とは、
夢が叶わぬと、自ら決定を下した時




誰かと別れて独りとなった人に、僕は慰めの言葉を掛けない
(それが自分のときであっても)


それは
「何故、夢が叶わなかったか考える時間」を
その人から奪うことになるから
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『契り』

2008-08-24 | ギターの栄養


愛する人が言う




失われた片方の 手袋のように

行方知れずの もう片方のスリッパのように

ありとあらゆる 無数のもう片方たちのために

ぼくたちは
へん と つくり となって






我が言う



そして無明の闇に 聖なる文字を刻むのだ 


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『恋』

2008-08-24 | ギターの栄養


目を見れば、一目で分かる
琥珀色の奥に「恋」が居るかどうか


だから、見れない?
見ようとしない?


それが居たって、別にいいさ


どうせ音符のように
ユラユラ揺れながら旅してくだけなんだから



キミが不自由と引き換えに手にしたものは
何…

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『キミと僕 3』

2008-08-24 | ギターの栄養



キライと言われても全然平気なんだよ



好き

と言われる方が

何倍も怖いのさ






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『垂直下降』

2008-08-24 | ギターの栄養



聞こえてる?

さっきから雨が降ってるよ…



体は垂直の状態で
顔だけ上を向いたまま
海の底に沈んでく


誰も助けてくれなくていい
下に行くほど楽になるから



キミの名は
何ていったっけ?

いや…
嘘だよ

そんなこと答えないで




1週間ほど前に、今年初めてのコオロギの声を聞いた
1匹だけ、なんだか遠慮がちに鳴いていた


きっとキミも聞いただろ?


いや…
それも答えないでいい






上の光はもう見えない
下に行く程、水温が暖かくなるのは何故だろうね


こんなに垂直なまま沈んでく僕って
面白いだろ



好きかい?

好きなら、もう少しだけ待ってて




そしたらキミの隣に行くから


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『風』

2008-08-23 | ギターの栄養

中庸でいるには
緩やかな風に吹かれてるのが一番いい


頬に当たる風に目を細めても
悲しくならず
哀しくなるだけだし

耳を掠める風音には意識が霧散して
自分の鼓動に脅かされないで済む


晴れてても雨でもどっちでもいい


キミに逢いに行く日は
緩やかな風さえ吹いていれば






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『... 』

2008-08-23 | ギターの栄養

dareka...


muhouchitai no mannakade

hontono ai wo

katareru yatu

inaika?

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『メッセージ』

2008-08-23 | ギターの栄養

届いたメッセージの向こうにあるものを

ちゃんと感じてるよ



でも

それを口にすると

「ダメ」っていう人がいるから黙ってるけどね
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『蒼』

2008-08-22 | ギターの栄養
カーテンの隙間から入ってくる青白い稲光が
細く鋭く、部屋の闇を切り取ってく

雷鳴がしないのをいいことに、ベランダに出て夜空を見ると
暗いグレーの空に、それより少しだけ明るいグレーの雲が
速い気流に乗って流されてゆく

いきなり広い空の左の方で光る
と同時に、空と雲の明暗が逆転する

今度は全体で光る、と同時にまた逆転する



「こんな面白いアトラクション、なかなか見れないよな
しかも、冴えた感じで美しいし…
こういうのを『草カンムリに倉と書いて読ませる方の【蒼】』
ってことなんだろうな…」とか
ブツブツ心の中で独り言をいいながら、しばらく見物するうち
法則性なく次々に左右全体と光る稲妻が
「空という広い舞台」で、大声で言葉を交わし合っている「神」
かなんかに思えてくる



この10階のベランダから、
今、目の前に見えているビル郡が、もし一つも無かったら
原始時代に、原っぱの真ん中で、独りで稲妻を見いてたら
きっと僕は怖いんだろうな

怖いから、きっと雷のことを「神」だとか思うんだろうな

だから「捧げ物」でもしないといられない気分になるんだろうな

そして、自分の中の負い目なんかを、神の前で懺悔したくなるんだろうな



人は、「現実での自分の声」が届かない相手のことを
こんな風に擬人化してゆくのだろう



ギターのことを「彼」とか「彼女」とか「友達」とか
「分かってくれた」とか「そっぽを向かれた」とか思うのも
言ってみれば「擬人化」という名の独り遊び

でも僕は、その遊びが好きなんだから、まぁいい






いつの間にか稲妻もおさまり
もっと夜が更けた頃、またベランダに出ると、目に入ってきたのは
ヒョロッと縦長に伸びた高層ビルの上の両角に
ゆっくり瞬いている、二つの赤い点滅灯


ん?サソリじゃん…
明らかに…巨大Roboサソリでしょ
十匹以上いるし…

(まだ、擬人化遊び続いてたんだ...自分)


中でも一番大きな奴が、右側しか点滅してない

ウインク?…
 いや…違うか…何かの信号…

(そろそろ今日は止めといたほうが良いよな、この遊び)


あっ!
僕という司令塔からの、出動命令を待ってるわけね?

ふ~ん…
じゃ
しばらくそこで待機せよ

(調子に乗りすぎるなよ  おまえ...)


とか考えながら、ベランダで煙草を吸ってると
今、体も脳も疲れ切っているからか
目の前の物が、大きな力を持ったかのような装いで、のしかかってくる

自分の中の自制心も効かなくなってゆく

(ほら、だから言ったじゃん)


何やら自分の内部がヤバい感じになってくる

(あ~ぁ... もう戻れない...)




思春期に、高校を辞めてアウトサイドに転がり出た
雑草のような「僕の中の不良」が目覚めてくる




古代人が文献とかに残した神って何なんだよ?
それを、研究してる行為ってのは何なんだ?
そんなものは、今も、いつも、そばに、沢山居るじゃん
近いうちに「神への反逆」っていう美しい曲を書いてやる




他に客が居ない喫茶店の2階で
静かに喫煙していた17歳の僕のセブンスターを取り上げ、
目の前で握りつぶした私服刑事に
「未成年が喫煙出来ないという法律の本質を言ってみろ」
と食ってかかった

その時の自分が、全く変わらず、今、ここに居る

負い目が無いことに対して受ける不条理に
物凄く、破壊的に反発する自分が
今も変わらずに居る


(危ないなぁ…  自分)

いや
危なくて全然良いんだよ

危ないってことを知ってる方が危なくないんだよ.......

..............................................................................................................................

.........................................................................................................................................................


普段、全くテレビなんか見ないのに
たまたま夕べ見てしまった「DEATH NOTE」と
稲妻が「蒼」かったせいにして
もう眠ってしまおう...
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『大地 穂(おおち すい) ソロライブ』  2008/9/28(日) 

2008-08-20 | 過去のスケジュール記録




『~温故知新~ はじめの一歩”』


会場;赤坂グラフティ

開場 12:30/開演 13:00

前売 1,800/当日 2,300(1DRINK 別)

チケット : ぴあ(08/28より 発売)


出演:大地 穂 (Vo)  榊原長紀 (アコースティックギター)




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昨年の夏ごろ、「パン・スクール・オブ・ミュージック」という学校の
音楽ビジネス科のCD制作実習で、アレンジ件、プロデュースを依頼された


その際、歌物を制作することになり
一般公募をかけた中で選ばれたのが「大地 穂さん(すいすい)」だった
その時から、お付き合いが始まった

声に、中高域の張りと、琴線に触れてくる切ない艶を持つ、
落ち着いた大人な風合いの女性ボーカリスト



中国と日本の二つの血を持つ彼女は
普段は、人懐っこい現代っ子風だが
どこか、そこらへんの子達と違う「空気」を持っている

僕の「ギター」は、「それが何なのか」
を、知りたがっている

というより
「そこ」と会話したがっている




今回の赤坂グラフティーは、彼女とのデュオという形で
2回目のライブになる


すいすいの歌に織り込まれた心を、
ギターを介して、またじっくり聞けるのを楽しみにしている





一見、華やかに見えるステージに立つ人達にも
当然、人としての紆余曲折がある

そんなことまで含め、ミュージシャンと関わってゆくやり方が
どうも僕は好きなようだ


すいすいとのデュオライブは
「お互いどれだけ自分らしくいられるか~1本勝負~」って感じ

彼女のオリジナルとカバーを織り交ぜたステージになる予定


大地穂さんのブログ


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『カレーライスと遊ぼう~お母さんと楽しむコンサート~』  2008/10/5(日)

2008-08-20 | 過去のスケジュール記録


福島で幼児とお母さんが一緒に楽しめるコンサートをします



事業名:こどもまつり『南会津っこ 笑顔がいっぱい』

場所:会津田島  御蔵入り交流館

住所:福島県南会津郡南会津町田島字宮本東22

コンサートタイトル:『カレーライスと遊ぼう~お母さんと楽しむコンサート~』

演奏時間:13:00~14:30

お問い合わせ:0241-62-6311

入場料はかからないそうです
もし、近くにお住まいで、小さなお子様を育ててる方がいらっしゃれば、是非、聞きにいらしてください









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実は、自分のバンドである「Kaolune Cafe」のメンバーで
以前から保育所や高齢者施設で演奏をしてきたのですが
そういう時だけ『カレーライス』と名乗ってるんです

子供に親しみのある名前を、ということで付けた名前なんだけど
ちょっと、まだ照れがある...けど


以前から子供のためのコンサート活動をなさっている叶 高さん
木村真紀さん 横田和子さんのコンサートに参加させていただくごとに吸収したもの
(ぶっちゃけアイディア泥棒ともいう...高さん 木村さん、ヨコヨコ、すみません ペコッ)を
自分達なりにまとめたものをメニューにしています


ちなみに、こんな感じ


1、 勇気100% (オープニング)
2、 いろんな楽器紹介 ベースとギター編 (どんな音なんだろう?)
3、 間違い歌探し (参加型の歌遊び)
4、 不思議なポケット (パフォーマンス型の歌遊び)
5、 変な音の楽器で演奏~アンパンマンのマーチ (パフォーマンス型の歌遊び)
6、 パーカツ紹介フューチャーと紙コップシェイカー遊び
  ~風になりたい (パフォーマンスと参加、合体型)
7、 コップの音階遊び~しゃぼんだま (パフォーマンス型)
8、 ブレーメンの音楽隊 (大型スクリーンを使用しての歌と語りで進める紙芝居)

    ~休憩~

9、Kaolune Cafe 演奏


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『Kaolune Cafe 制作日記 2008/8/19』

2008-08-18 | 参加ユニット『Kaolune Cafe』




僕が一つだけやっているユニット
というよりバンドだと思っている「kaolune Cafe」の
配信発売(10/8予定)に向けての
レコーディングとアーティスト写真の撮影にここ数日追われていた


my spaceで視聴出来る「Feel Like Makin' Love」と「I Wish I Knew」の
リテイク、リマスタリングを施し
iTune、mora他、PC、携帯サイトで配信してゆく
というところまでなんとか漕ぎ着けることが出来た



(Kaolune Cafe所属)R-LabのアーチストFields of Gold
も先駆けて08/20より発売開始


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15歳の時にフォークギターに出会い。17歳でエレキを弾き始め
6本の弦さえ張ってあれば、Hard Rock、FORK、JAZZ、BOSSA、etc..と
その時々で、何でも心惹かれる音楽を奏でてきた

その結果、プレイスタイルは、規則性なく広がり
自分が、器用貧乏なプレイヤーなのではないか、というジレンマが
常にどこかでチラついていた

しかし、自分が惹かれる音楽が、複数のジャンルにまたがっていたとしても
その根底には、きっとスピリチュアルな「一貫性」があるはずだと、
それを探し当てたくて
30代の時期に沢山のバンドを、それこそ息も出来ないくらい体験した


その頃出会った沢山のミュージシャンの中で
音楽のバックボーンが自分とは遠く、声量も小さく、派手な押し出しも無かったが
一番にその言霊が沁みたのが「Kaolune Cafe」のVo、矢野かおりさんだった

また、十数年弾いてきたエレキを捨て、ギミックが通用しないアコースティックへと
自分が移行していってる時期でもあった

そしてあるコンサートで生まれて初めて、矢野さんの歌と
自分のガットギターとのデュオを体験した
15年以上前のことである

たった1曲だったが、演奏の間ずっと、自分の足全体がコチコチに緊張していたのを
よく憶えている
それと同時に、今まで感じたことの無い充実感を感じた体験でもあった
その時からずっと、矢野さんとの音楽を育ててきた



チャイルドボイスともいえる彼女の「声」
また発せられる「儚い言霊」のほとんどは、
自身の楽器である「声帯の形が小さなこと」から生まれるものであろう
しかし「人」である以上、野太く「シャウト」したい想いも沢山あるはずだ

自分が与えられた「小さな楽器」と向き合いながら
「大音量でシャウト出来ないこと」と向き合いながら
彼女の「歌」は育ってきた

そんな彼女の葛藤と成長は、
弱音楽器であるアコースティックギターを、自分の「道」に選んだ僕に対し
数え切れないことを教えてくれた


いつの間にやら「矢野かおり」という名を脇に置き、済ました顔で
「Kaolune」と名乗っていることに、可笑しさを感じながらも
彼女の中の「自由への成長過程」なんだろうと思ったりしている





Kaoluneとの長い活動は、全ての贅肉を削ぎ落とした「デュオ」という形を取りながら
「吹けば飛ぶような儚いもの」を、どうやってポップスのフィールドにのせてゆくか
という模索だった





演奏に緩急を持たせるため、ガットギターのCDをコピーしまくり
あらゆるジャンルからの可能性を当てはめてみては失敗を繰り返した

成功したものの一つをあげてみれば
クラシック等の音楽にある「テンポの揺らぎ」という
ポップスフィールドでは、ほぼ使用されない方法論を取り入れたことだと思う


弦楽四重奏やシンフォニー等の、内声ラインやテンポの揺らぎを研究しては
自分のプレイにエッセンスとして取り入れていった

しかしそれを、現実の演奏で生かすために一番難しかったのが
アンサンブルの中に、テンポチェンジを指示する「指揮者が居ない」
ということだった




お互いが、指揮者と演奏者という、二つの立場を瞬時に行き来しながら
今、どちらが演奏のイニシアチブをとっているか、ということを
瞬間瞬間で感じあってゆかなければ成立しない
お互いがこの能力を身につけるために、リハーサルのほぼ全てを費やしてきた


これによって、緩やかな演奏に、緊張と艶が生まれ
少ない音の中でも説得力が失われなくなっていった



残る課題は、緩急の「急」の部分
アップ曲をどう表現するか、というテーマだけが残った


実際レパートリーは、ミディアムから下のテンポが多くなっていたし
スタンダードなプレイスタイルが好きな僕は
タック&パティのようなスタイルは好きになれず、フラメンコをやりたいわけでもなく
デュオという形を取りながらのアップ曲の演奏に限界を感じていた





アコースティックベースと、パーカッションを取り入れることで
そこを打破しようとしたが、面白いくらいに、ことごとく失敗した

そして、その失敗から得たことは
アコースティック楽器を用いることが大事なのではなく
「音色の中にアコースティックな心が織り込まれているか」
ということが大事だという気付きだった


自分たちが音に織り込んだ想いは、ドラムのような強い音には吹き飛ばされてしまうし
ドラムFeelなパーカッションや、エレベFeelなアコベでも同じことだった





この煮詰まりが続く中、ある時ある現場で
美しいパーカッションプレイと出会った

GanzaやSlighBell、 WoodPecker、WindChime等の小物類を複合的に使い
その一つ一つの音の帯は、非常に滑らかなカーブを描き
それら全てが絶妙なバランスの上で、一つの「言葉」になっているのを感じた


そのパーカッショニストと、初めて交わしたメールの内容は、
こんな感じだったのを憶えている

「キミの好きな『儚いもの』の話を聞かせて欲しい」と頼んだ僕に対し
即座に彼は、20個近い回答を返して来た

そのどれもが、淡く静かで、絵画的なものばかりだった


「彼となら、一つのキャンバスに絵を描けるかもしれない」という想いにかられ
近いうちに演奏を共にする約束をした

そしてそのまま彼は、いたって自然な流れで
「Kaolune Cafe」のメンバーになってしまった



そのパーカッショニストは、こんなやつ




そして、こんなやつ








こ~んなやつ





パーカッショニストの「ハーヤン」こと早川智弘くんと
交流を持つようになって、間もなく
僕に会わせたい若いベーシストが居る、とのことで、
ハーヤンに連れられ、ウチに遊びにやってきたのが
「フトちゃん」こと酒井太くんだった





初対面の日から、お互いに全く気を使わない不思議な空気が生まれた


午後2時頃やって来たと思ったら
いきなり観念の世界に片足を突っ込んで
ぼーっとしながら話したり、黙ったままだったり
あっという間に時間は過ぎ、気付くと24時を回っていた

「疲れない子だな...」
それだけでも、僕にとって有り難い相手なのに
深夜の時間帯に入り、僕等は更に深くナチュラルハイになってゆき
最終的には、ぶっ壊れた領域にまで突入し
とても説明不可能な会話で、腹の皮が捩れるほど笑った

初対面としては頂点まで突入した出会いだった





「音楽や楽器の話を一つもせず、こんなに楽しい、ってのが良いやね
むしろ、そんなこと、話さない方が素敵だな」
と言ってはまたゲラゲラ笑った

「楽しいから、そのうちいつか、ついでに楽器で遊んでみようか
何か、やりたくない、ってこととかはあるの?」と聞いたら
「なんにもありません、何でもいいんです」と答えた

「何でもいいんだ?」
「何でもいいんです」
そしてまた笑った

その後、彼とは一番始めに、高齢者施設でのボランティア演奏を一緒にした


もう動くことが出来ない、寝たきりのお年寄りの枕元に立ったまま一緒に演奏したが
そこでの彼の立ち振る舞いも、最初にウチに来た日と何一つ変わらない
ナチュラルなものだった

ハーヤンと同じに、彼もまた、いたって自然に
気付けば「Kaolune Cafe」のメンバーになっていた



そんなフトちゃんは、こんなやつ





そして、こんなやつ




もひとつ







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出来上がったばかりの音源と
撮影したての自分たちの写真を
スライドショウで繰り返し繰り返し流しながら
僕等は疲れてることも忘れ、何時間も黙ったまま時を過ごした

長い紆余曲折を経て出会った
言葉にならぬ大切なものを、空気のように共有しあえる
このメンバーと、このバンドを、心から愛している

そして、この先もまだ成長してゆく「Kaolune Cafe」の音楽を楽しんでいただけるよう
最大の努力を重ねてゆきたい




また、この場を借りて
ジャケットのデザインをしていただいた中川洋子さんと
撮影をしていただいた長井順司さんに、心からお礼申し上げます

ありがとうございました




Kaolune Cafe




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