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富士屋ホテルの本館ロビー階には、その内装を手掛けた人々の巧みな意匠が随所に散りばめられている。その一つ一つを順に紹介していこう。
本館回転ドア:このドアの上には羽を広げた白い鳳凰の姿があり、その上には優しい顔をした天使がいる。訪れる人を慈しみ祝福する古祥の意匠。
猿と蛇:サンパーラーの隅に、まるで手招きしているような愛嬌のある猿の彫刻がある。
その下の柱の側面には猿を狙う蛇の彫刻がある。
本館階段:本館中央の階段に取り付けられた木製の勾欄は、一本の木を少しずつ湾曲させて作る、曲げ木と呼ばれる技法で作られている。湿度に寄って変化する天然木をずれないように組み合わせるのは至難の業である。
尾長鶏の彫刻:ヘレンケラー女史が来館した際、ホテルで飼育していた尾長鶏をたいそう可愛がったと言う。再訪した際にはこの尾長鶏が亡くなっていたため、彼女のために彫刻を施し、愛でられるようにしたそうである。
19th Hole:仙石ゴルフコースの18ホールを終えた後にパーテイーを楽しんだ場所。カスケードルームに上がる階段前のテーブル付近が19番ホールの場所ではないかと言われている。
温水ヒーター:水をボイラーで温めて熱を生み出す。他の暖房器具に比べ空気を汚さず、肌や喉にも負担がかからない。優しいぬくもりを与える富士屋ホテルの懐かしいアイテム
初代フロントカウンター:明治24年に完成した本館のフロントカウンター。昭和5年に現在の主食堂が完成し、それに伴いフロントが移動するまで使用された。
マジックルーム:建設当時は6部屋の客室として使用されていた。西洋館増築により寛ぐスペースが必要になりロビーへと改装された。中国からマジシャンを呼んでカードマジックなどが行われたためこの呼び名になった。
マジクルームの照明:マジックルームに取り付けられた三灯式の照明器具はアンテイークとしても価値がある。木枠には花型のくり抜きが施され、鉄鎖にも時代を経た独特の風情が漂っている。
暖炉:ロビーに改装された後も暖炉は残っている。ここには縁起を担いだ鶴亀や松竹梅が描かれたタイルが貼られている。
暖炉の裏
達磨:「不撓不屈」の象徴であり、何度倒されても起き上がる達磨は、三代目社長・山口正造氏の座右の銘である。
ロビー階の天井シャンデリア
テラス前の花壇
ルームキーの
裏面は箱根寄木細工になっている
館内の柱の彫刻にも歴史を感じる
二階ロビーにある応接セット