ニコンD810は、標準レンズの倍率を高めて近接撮影を行うと被写界深度が浅くなるため、単品のお料理撮影の際は前ボケ、中ピン、後ろボケの、狙った被写体だけを綺麗に丸く浮かび上がらせる写真を撮ってくれる。これはニコンD810の特徴らしく、要するに真ん中にピントを合わせる構造になっているからだ。EOS-1DXも同様である。ところが、ソニーα99の標準レンズ使用では例え真ん中にピントを合わせるプログラムで撮影したとしても前方にもピントを合わせるため、前ピン、中ピン、後ろボケの写真しか撮れない。要するにパンフォに近い写真にしか仕上がらないのだ。従って見た目は高画質なコンデジ写真と言う感じになる。素人目には幅広く焦点が合った写真の方が綺麗で見栄えがするように感じるが、実はそういう写真はいろんな物がごちゃごちゃ写り込んでおり、お料理自体の焦点がボケてしまう写真でさほど印象には残らない。例えば、魚のポアレの写真を撮る時は、ポアレした魚だけを浮かび上がらせればよく、付け合わせの野菜や周囲に敷かれたソースなどは不要なので、これらをボカしてはぶいた方がプロっぽい写真になる。ガシマ2photo-lifeさんがニコン製カメラでマクロ撮影の手法で撮影していらっしゃるし、華岡君も単焦点レンズ使用で同様の手法で撮影している。いずれもD810に比べれば低画素数のカメラを御使用だが、鮮明で綺麗な作品に仕上がっている。お料理写真やポートレートは風景写真とは違うので、狙った被写体以外の物は全て排除する撮影方法で撮影せねばならない。
さて、筆者は昨年の11月21日、終業後に新宿西口にあるパークハイアット東京の40階にある日本料理のお店「梢」を訪ねてみた。当日にウエブで予約をしてからお店にお邪魔した。新宿の夜景が見える窓際席は宿泊客用で、外来客はそこから離れた場所にあるテーブル席やソファー席へと案内された。筆者は4人掛けのソファー席へ案内され、まず飲み物として島根の辛口「王禄」を注文した。そして12000円のコース料理「楽」を注文した。
店内は円安効果の影響か8割ほどが外国人宿泊客で埋まっていた。窓際席の一角には、幼稚園の女児を連れた親子三人組みの米国人家族が座っていた。筆者はこの女児が何を食べているのか非常に気になった。仲居のおねーさんに尋ねたところ、キッヅメニューとして、「玉子焼き、茶碗蒸し、フライドチキン、蕎麦、ハンバーグ、栗きんとん」などを用意しているそうだ。さすがに子供が好きな納豆巻きはなさそうだった。筆者は窓際席に座ったフランス人女性の横顔を撮影してみた。だが、低照度に加えて笑いながら微妙に動く被写体を撮影するにはニコンD810の荷は重かった。画像のような仕上がりにしかならなかったので、このカメラでの夜の動く被写体撮影は無理と諦めた方がいい。
店内の様子
行燈
新宿の夜景を見ながら懐石料理を楽しむ
島根の辛口酒
この外人女児が気になった
先付
梢の箸置き
やはりニコンD810は標準モードでは動く人物の撮影は苦手だ