ショートパンツにレギンスというファッションで街中を闊歩していると、「男のくせにレギンスなんて」と、嘲笑気味の一瞥をくれる偏見中年おばさんに出会う事がままある。ファッションは年々ユニセックス化、ボーダーレス化している、そういう事情を知らない保守的偏向主義的な中高年女性の存在をいちいち気にしていてもしょうがあるまい。他人がどう思おうと自分自身が心地良いと感じるお洒落なら、心身の健康に結びつくのだから我が道を行けば良い。よく思い出して欲しい、江戸時代、水戸黄門に付き添って全国を行脚した助さん格さんの二人の足元を。彼らは既にレギンスを穿いていたのだ。レギンスとは言わばお洒落なステテコである。これをフルレングスのパンツの下に穿いて隠す人と、堂々と人前に晒せる人との年齢の境目は30代である。つまり30代の体型や雰囲気を持った人でなければレギンスはうまく着こなせないし、30代でも足の太い人にはレギンスは似合わない。元々、ジョギングなどをする人々が防寒の意味で短パンの下に穿いていたアンダーウエアーを街着に転換し、ファッショナブルに装い始めたのがレギンス男子である。ここ数年間で彼らは徐々に増殖し、次第に市民権を得つつある。筆者はレギンス・ショーパン大好き人間である。今日もグラミチのポップな色合いのグリーンショーパンに黒レギンスで都心へと向かった。しかし、街で出会うレギンス男子のほとんどは何故か登山者風でリュックサックを背負っていたり、そして例外なく眼鏡をかけたり帽子を被っていたりする。中には一人で歩く勇気が無いらしく、女の子と一緒に歩いている人もちらほら見かける。見つめたくなるほどの着こなしぶりを示すレギンス男子に出会う事はまずないのが現状である。
着圧タイプの今年の新作モデルのグンゼのレギンスは起立時は太ももとヒップ周りの締め付けがかなり厳しいが、着席するとヒップ周りがぐーんと伸びるので不思議と楽になる。お尻の垂れた人がそれを持ち上げ矯正するのには良いレギンスかもしれない。負荷をかけて脂肪を燃焼させる作用のある加圧式のエクサレギンスと同じ効果である。さて、バレンタイン直前の2月13日、筆者はチョコ売り場前にひしめく女性達の喧騒さとは無縁の、帝国ホテルのタワー地下にあるレストラン街へと向かった。たまには鮨でも食べようと思い、「鮨源」さんに入ってみた。店内は4人掛けのテーブル席が4席ある以外は全てカウンター席。つけ場にはネクタイを締めた板さんが4人いた。筆者は一番安い(つまり一番量の少ない)、握りの「松」を注文した。サービス料込みの値段は5775円と、佐渡での特上鮨の2倍以上の料金だ。4人の板さんが分担して握るので7分ほどで出来上がった。どんな握りが出てくるのかと思っていたら、案の定凡庸なものだった。つけ場の板さんの中で親方と思われる人が、鮨を握った後、手にくっついたシャリの粒を指で弾いて捨てていた光景を見かけた時に、これは期待できないなと思ったからだ。ネタはさすがに5千円以上ふんだくるくらいだから良質なものを使用している。しかし、肝心のシャリは温度は人肌だが、少々ねばついており、口の中ではらりとほどけるという感じとは程遠い!両津の寿司屋「助六」さんほどではないが。。。一流の鮨職人に言わせると、鮨の味を規定する要因はシャリ、ネタ、それらの一体感の3要素だが、中でもシャリの占める重要性は8割ほどだという。はっきり言って、真野の寿司正や佐和田のりき寿司の方がレベルは遥かに上である。帝国ホテルがこの程度のシャリの寿司を出してていいのかな?終始小首を傾げながら寿司を食べ終えると筆者はそそくさとこのお店を去った。