欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

Christian Dior という人

2006-10-17 | essay
「もっとも優れたエレガンスの象徴」
「女性に着飾る喜びを与えた美の王様」
「モード界の革命児」

クリスチャン・ディオールに捧げられる賛辞をあげればきりがないが、彼の人生をひも解くとひとつのキーワードが見えてくる。
"女性は美しいもの"ということである。
彼が生きていた時代は2度の世界大戦などがあり、失業者は後をたたず、物資も不足し、不安と混乱が社会に渦巻いていた。
彼はいわゆるブルジョアの出身である。
彼が幼い頃、母親や妹と過ごす生活のなかで自然と美というものが培われていったに違いない。
彼は自分がデザインした洋服のイラストをみんなに見せてまわるのが喜びだったようである。
彼がずっと裕福でいたかというとそうではない。
ディオール家の繁栄はそう長くは続かなかったのだ。
彼は画廊などを開いたが、結局店も閉めることとなった。
そんな折、その日のパンにも困るような生活が続いた。
しかし、行き先の見えない、まさにそんな時に彼の脳裏に浮かんだのは、幼い時母や妹に書いては見せたあの洋服のデザインだったのである。
たくさんの色あざやかな洋服をデザインすることに喜びを感じていた、あの頃。

やがて、彼は服飾の仕事に就くことになる。
時代は戦争に振り回されながらも、自由と美を待ちわびている民衆の時代。
そんな折、彼はこう語っている。
「自分の名のつくメゾンを作り、そのアトリエでクチュールの優れた技術をいかして、丁寧に一点一点作品を作り上げていきたいのです。女性を最大限に美しくさせるようなエレガントな服を作らなければならないのです。そして、それこそ世界の女性たちが今待ち望んでいることなのです」

こうして、クリスチャン・ディオールの華麗なる成功ははじまったのである。
彼の作り出す作品は繊細で優美で、まるで魔法がかかったような洋服(ドレス)であった。
「ウェストは折れるように細く、そこから胸にむかうラインは撫でるように繊細で、バストは強調され、パットをいれたヒップは豊かであった」

彼の洋服に対する情熱もさることながら、"女性は美しくもの"という、女性の美に対する追求をお手伝いしていくのだという、そんな彼の一貫した姿勢に、私はひどく惹かれるのである。

彼は終生スズランを愛していたという。
スズランの花。
その不思議な魅力も相まって、私はクリスチャン・ディオールという人の生き方に多くの共感をおぼえるのである。


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