扉に手をかけたのに、あなたはその扉をあけようとしなかった。
それは今までの悲しみを流すことができなかったから? それとも・・。
暗いところをもう抜け出せるというのに。これからは空の眺められる場所で生きていけるというのに・・。
あなたは扉に手を置いたまま、じっとなにかを待っている。耳をすましているように。感覚をすまして、なにかを待っているのです。
やがて、扉をたたく音がむこうから・・。
そして、あなたの瞳があいたのです。
はいと力なく。そして、むこうからの言葉を待っていたのです。
さりげなく息をついて、あなたはその扉をひらきました。まるでいままでのとまどいなどなかったかのように・・。
笑みさえ浮かべて、扉のむこうから入ってくるヒカリを受け入れていたのです。
そこに待っている人は、あなたをそっと胸へいざなって。
やさしい抱擁の中で、あなたは空を見上げたのです。
鳩が屋根の上から空へと飛び立っていきました。数多くのバラが庭先で色を輝かせています。
ゆっくりとふたりで歩いていきながら、交わす言葉もなく・・。
雨上がりの道はぬかるみもあり、大きな水たまりが時折ふたりの行方をはばみますが・・。
となりにいる人があなたの手をしっかりと支えてくれ、導いてくれるから。少しずつ先へ進んでいけるのです。
気遣う言葉に笑みを返し、あなたはこうつぶやくのです。
"胸の中に息づくヒカリ。天から愛がこうして今わたしの自由を授けてくれて。ヒカリに向いてこれから。
これからも彼方の愛がいつもわたしたちに降り注いでくださいますように・・。"
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