欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

自然と真理

2008-04-22 | poem
太陽が沈み、広大な大地が闇に包まれていく頃、老人は荒野に出て、地の果てを眺めながらこうつぶやいた。
"自然よ。大いなる自然に宿る神よ。今日を生きられた我らの感謝をここに・・。"
老人の目は曇りなく、空と大地の境へとしっかりと向けられていた。
まだ子供だった私には何の意味かよくわからなかったが、老人のつぶやく言葉とそこにある威厳だけは感じていた。
頭上に夜空が広がれば、私たちは星を見上げ話をした。老人はそこから予言をうけとり、私にやさしく教えてくれた。
昼は暑さの中で大地を耕し、大いなる自然の恵みを感受していた。
老人とともにいた数年間、私はいろんなことを学んだ。
そこでの経験は大いなる恵みとなって、今の私の胸にある。

夜、老人と星を見上げながら、老人の口から出る謎めいた言葉に耳を傾けていた。
"あの星はお前の輝きだ。
私の星はお前のすぐそばにある。
しかし、お前はもうすぐ西へと旅立っていくだろう。
私たちに別れがきても、これだけはけっして忘れてないように。
いつもお前の血を意識していることだ。
永遠の愛に包まれていながらも、お前は血によって生かされているのだ。そのことをけっして忘れないように。
このことは今のお前にはまだ難しいだろう。
しかし、いずれわかる時がくるから。そして、この言葉はお前を助けてくれるだろうから。"
月あかりの中で、優しく語ってくれる老人の言葉を私は必死におぼえようとしていた。
その時は意味などわからないながらも、ただ老人の言葉を頭の中に焼きつけようとしていた。

何日か後、私は本当に街に戻ることになった。
両親が私を連れ戻しにきたから。
老人といた荒野での生活は、生きることに深く向き合っていた時期だった。
自然がいつも私たちの身近にいることをそこで学んだのだ。
その後、生きるのに何度かつらい時期がきた。
しかし、自然の恩恵と老人の言葉が、いつも私とともにいて、その度に私を救ってくれたのである。


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