欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

雪からのメッセージ

2006-10-27 | poem
ほら、目をつぶってごらん。
あたりに降ってくる雪の精たちの姿を感じてごらん。
僕たちをとりかこむようにして舞い降りてくる雪の精たち。
目をつぶっていれば、そんな雪の精たちがなにかをささやいてくれているのか、わかるはずだよ。
しいんとしたこの感覚の中で、そっと雪の精たちの声に耳を澄ましてごらん。
きっと聞こえてくるはずさ。雪の精たちからのメッセージが。

僕たちをとりかこむようにして、舞い降りてくる雪の精たち。
僕たちはしあわせなんだね。
こうしてたくさんの雪の精たちに囲まれて、今同じときを過ごしている。
たくさんの雪の精たちが僕たちになにかささやいてくれる。
まぶたのむこうに、ひとつひとつ違ったたくさんの雪の精たちの姿が写るはずだよ。
このしいんと静まりかえった空気の中で、そんなひとつひとつの雪の精たちのささやきが耳に届いてくるだろう?
みんなが僕たちのことを祝福してくれているんだよ。みんなが僕たちをとりかこんでいる。

ほら、多くの雪の精たちからのメッセージを聞いてごらん。
雪の精たちからのメッセージを胸の中に受け入れてごらん。
みんなからの思いのこもった伝言(メッセージ)。
それは僕たちへの、立ち止まりそうになってすこし落ち込んでいる君への、心からのメッセージなんだよ。

澄んだ夜空に降る雪は

2006-10-27 | story
澄んだ夜空に降る雪は、みんなに希望を運んでくるよ。
一つ一つ希望のカタチは違うけど、降り続くその雪の一つ一つは、澄んだ夜空からみんなの住む街へと希望を運んでくれているよ。

ねぇ、見てみて。雪だよ。雪が降ってきた。
赤い毛糸の手袋をつけた女の子が、美しい照明の灯る街の中から、そう叫んだ。
女の子の声に、街を行く見知らぬ誰もが夜空を見上げる。
ゆっくりとゆっくりと、照明のある夜の街へと、雪が舞い降りてくる。
すごいね。雪だ、雪だよ。パパ、ほら、雪が手の上にのったよ。
赤い毛糸の手袋にのっている雪のかけら。
女の子は両手に雪を受け取りながら、とびっきりの笑顔をみせている。
そんな女の子が手にしているのは、まさに天からの贈り物である。

郊外の道をひた走る自動車。
助手席に仕事の書類をたくさんのせた女は、今家路につこうとしている。
この林を抜け、坂を上ったところに我が家はあるのである。
子供たちが待っている。パパも待っている。早く我が家に帰りたい・・。
んっ?
車のフロントガラスに、一つまた一つと白いものが降りてくる。
それは見る見るうちに増えてきて、あたりの景色を白く包み込む。
暗い林の道は一瞬にして白銀の世界へと変わっていくのだ。
ああ、雪だわ。
ようやく事態をのみこめた女は、家の子供たちに知らせてあげようかと考える。
しかし、パパがすぐに気がつくだろう。そして、子供たちを庭に出してあげるだろう。
自動車はようやく坂道へとさしかかる。
この坂道を上がったところに我が家はあるのだ。
早く帰って、みんなと一緒に雪を楽しみたい。
女はそう思いながら、ふと窓を開けてみる。
冷たい風が入ってきて、そこに雪が混ざっている。
自分の肩についた雪を女は頬で感じてみる。
女の頬にも冷たい感触の天からの贈り物が届いたのである。

詩人は議事堂へと上る長い階段をひたすら上がっていく。
一人、黒いコートの襟をたてて、手にはペンとノートを携えて、長い階段を上っていく。
今夜はとても空気が澄んでいる。夜空はかぎりなく澄み切っているし、こんな夜にはなにかあるに違いないと、確信をもって詩人は議事堂へと上っていく。
階段を上りきると、自分たちの住む街全体が望める、その高台から夜の空、夜の街を詩人は眺めるのである。
今夜はかぎりなく空気が澄んでいる。きっとこんな夜にはなにかがあるに違いない。
詩人は議事堂の前につくと、振り返り、そこから夜の空、夜の街を眺める。
ただじっと眺め続ける。
すると、大きな流れ星がひとつ、夜の空を横切った。
そして、間もなく、ぼんやりとあらわれた白い雪の群れが、夜の街に向けて舞い降りてきたのだ。
まるで巨大な白いカーテンが下りてくるように、ゆっくりと夜の街にむけて雪が舞い降りてくる。
詩人の胸ははちきれんばかりである。
しかし、わき上がってくる興奮を必死に押さえながら、目の前の情景をただ見つめ続ける。
ゆっくりとゆっくりと雪は夜の街へと降りてくる。
あたりがぼんやりと白銀の世界へ変わっていく。
詩人の身体もそのカーテンの中に包まれていく。
詩人はじっと夜の空、夜の街を眺め続けている。
そして、おもむろに持っていたノートを開くと、ペンを走らせはじめる。
しばらくして、手を止めると、詩人はノートを閉じ、また夜の空、夜の街を眺めはじめる。
ずっと、ただじっと詩人は目の前の情景を眺め続けている。

『澄んだ夜空に降る雪は、みんなに希望を運んでくれる。
一つ一つ、希望のカタチは違うけど、そんな一つ一つの雪は澄んだ夜空からみんなの住む街へと降り続いていくよ。
一つ一つ。雪はみんなに希望を運んでくるよ。
一つ一つ。それは天からの贈り物。
一つ一つ。みんなの身体に。みんなの心に。みんなの胸に希望を灯すために。
一つ一つ。雪はこうして大きな白いカーテンのように。雪はみんなの胸に希望を運んでくれているよ。』