ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

金・プラチナの高騰について思うこと・・・ その3

2008年03月13日 | ジュエリーよもやま話
さて、地金高騰の話題、その3です。

 ■その1はこちら (なぜ地金が高騰しているか?のお勉強)  
 ■その2はこちら (地金高騰によるジュエリートレンドの考察)

今日は、地金高騰がもたらす、ジュエリーの『装着性』の問題と、しめくくりとしてROSEのスタンスはどうなの?というお話です。

   

先日、あるファッションジュエリーのお店の商品を拝見させていただきました。(買い物客を偽装した、”造り研究隊”参上!)そこで手に取ったゴールドのリングが、手が切れそうなほど薄くて、最低限の指馴染みさえろくにとっていなかったことに驚きました。

(気に入ったフリして店員のうんちくが上の空で試着しながらの心の声)

『こんなに薄くなるまで裏抜きするのは至難の業だなぁ。たぶん厚みは0.2位しかないかも・・・。この値段でこの薄さということはキャストじゃなくて、プレスかなぁ・・・。石留めもこの粗さだと、きっと日本製じゃないよなぁ。。。』

付け心地が悪いだけでなく、これほどペラペラでは、いくらゴールドでも強度が保てず、どこかにぶつけたらおそらく一発でひしゃげるでしょう。試着したところ、指どおりが悪くザリザリとしたひっかかりを感じて着用感はよくありませんでした。店員と話ながらずっとつけているとバリが痛くて、『なんじゃじゃこりゃー!』と叫びそうでした。

いつも店頭で見るだけでは申し訳ないので、”見学料”として、フックピアスを買ったのですが、K18のワイヤー部分が細すぎて1度つけたらぐにゃっと曲がりました。しかも、フックの長さがギリギリまで短いので耳穴から簡単に脱落してしまうので、フック式なのにわざわざ耳裏に自前のシリコンキャッチをつけてます・・・。 


(これも金が安かった時代の彫金による作品。
しかも、ROSEの”金デビュー”作品。
かなり重いです。私のタカラモノです。
アメジストと、真珠は花珠を使いました。)

話 が脱線してしまいましたが、自分自身のことに照らしてみますと、自分の中では、貴金属でいちば ん好きなのがシルバーだし、師と仰ぐのは、Txxxnyではなく、オオブリ路線のGeorge Jensen、Joaquin Beraoだし、他の金属が高騰しても、最初から”ギンモノ”で一貫しているのでブレはありません。

私のデザインは自分の好みから、存在感の ある大きめのものが多いのですが、シルバーなら制作予算を気にせずたっぷり地金を使い、自由に楽しくデザイニングが出来ますし、つけ心地のよいジュエ リーを造りことができます。いかに地金に目方を落とすかを考えならチッチャイオブジェクトをちまちま作るより、おおらかとのびのび、造りたいものが作れる点でシルバー以外ありえないと思っています。

しかもシルバーは、コンパニオンとなるマテリアルを選びません。天然石だけでなく、シンセティックストーン、ガラス、木、樹脂、布、皮・・・、どんな素材でもお友達 にしてしまう懐の深さもシルバーの魅力です。私のような、自称”アーティスト”にとってはこの上なく楽しく遊べる素材なのです。お客様にとっても遊べる価格ですしね。

『シルバーなんかジュエリーじゃない。』、『ほっとくと黒くなって面倒だから嫌い』というアンチ・シルバー派の人もいますが、私は、シルバーが大好きで、きちんとお手入れをしながら愛情を持って大切にできる人々とだけ価値を共有できたら良いと思っています。

でも、石との相性を考えた結果、金やPtを使うこともありますし、頼まれたらもちろん断りません。あしからず・・・。(^^;;

最後に、、おまけ。
もし着用中にリングをぶつけたりして変形してどうしても指が抜けなくなったら、最寄の消防署に駆け込みましょう。たいていの署は、リングカッターを持っています。ダイヤなどの高価な石つきでしたら、ビニール袋は必携です。袋の中でリングをカットしてもらってください。カットしたときに石がどこかに飛んで行ってしまうことがあるからです。