怠慢主婦 ドイツで同居 

日本食を食べなくなり義両親のしもべと化し、すでに何年になるだろう。遠い目しながら今日も行き抜いてやるぞっ

難民住居は難民が警備に当たる、それって、ここの歴史で似たような物事があったなあ、とちょいとぞっとした。

2018年10月31日 | 奉仕活動
多くの難民住居では入り口に警備員がいる。

警備員自身も難民であることを知った。
アフガニスタン人Sさんがその仕事をやっていたのだそうだ。
警備員として働くために講習を受けている彼だ。
「りすさんは人を見る目がまったくない」と彼に言われた。
「ここに入ってきて、視線がきょろきょろ動く人物は要注意だ!大抵のドイツ人はまっすぐ歩いて、視線もまっすぐ向いている。彼らはなにか悪巧みをしている可能性は非常に低い。だが、きょろきょろと視線が動く難民たちは隙あらば何か持ち去ろうとするんだ、よく観察してね」
なるほど。
ボディーガードたちがサングラスをかけているのは、視線をしょっちゅう動かしていて人々の動きや視線、表情を観察しているからなのだそう。
難民住居警備ではサングラスをしないが、催し物会場などではSさんもサングラスをかけるらしい。
大柄でいつも鍛えているSさんがスーツにサングラスをしているのを見たことはないが、きっと迫力に満ちているだろう。

夜中に難民住居にやってきて強制送還のために難民たちをバスに乗せて空港に向かわせる荒行はすでに公になっている。
その現場にいることも多いSさん。
「わめく人たちは着の身着のまま、おとなしく従う人たちは準備をさせるんだ」
うわ・・・っ
警備の彼も難民だ、まだ正式な長期滞在許可を持っていない。Sさん自身が目の前で惨状が起こっている当人になる可能性は高い。毎日が緊張の連続だろう。それでも明るく振舞っているSさんだ。

「まともな難民は送還され、問題のある奴らがここに残ってしまう妙なシステムさ」
ともぼやいていた。

新たに知り合ったウクライナ人G子さんは8歳の男児を連れていた。
二人で難民住居に住んでいるらしい。
「国は戦争でね」と解説していた。
「昔、ウクライナ人男性と日本人女性の間にできた子と知り合いだったの」
ウソか本当かわからないが、私に気に入ってもらおうと一生懸命なのが伝わってくる。
その日本人についての詳細を尋ねても「昔のことなので忘れてしまったわ」だし。
「日本人は皆、ほっそりしてていいわね。私のこのおなか、どうにかしたい」
と、セーターの上から自分の肉をつまんで見せたりした。
「あなたは親切だわ。ドイツ人たちはみな私に冷たいの」
そりゃあ、そうだろう。
先日の選挙結果で難民に否定的なこの地域が明確になった。彼女は在独2年の新人難民だ。これ以上そんな新人いらないってドイツ人でなくても思ってしまう。
「ここに馴染むには時間がかかります」
と、わたしは冷静に言った。
「そうね、仕方がないわね」
と納得。
「次はいつここにいますか?」としつこく私に尋ねるのが困った。

さて、彼女が去ったあと、私たちを観察していたSさんが言った。
「あの女、気をつけたほうがいいよ」
警備員として鍛えた眼が感じた感覚だ。私は全くわからなかった。
外に出てみると、G子さんは同じウクライナ人難民仲間数人と数十メートル先で何やら話しこんでいた。
その彼らの醸しだす雰囲気が、ちょいと怪しかった。

世界的に貧しい地域から金のあるところへの移住が盛んになっているようだ。
大昔は、貧しい欧州からせっせと世界各地を訪れてその土地の産物や人間を漁っていたのだから、歴史が繰り返しているだけなのかもしれない。













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