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こっちもやらな!  ドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズの冒険 《恒例の資料編》

2014年03月30日 23時42分35秒 | ミステリーまわり
ドラマシリーズ『シャーロック・ホームズの冒険』(原題 The Adventures of Sherlock Holmes )とはァアア!!

 『シャーロック・ホームズの冒険』(原題 The Adventures of Sherlock Holmes )は、1984~94年にイギリスのグラナダTV が制作したテレビドラマシリーズである。全41回。日本では、NHK 総合において日本語吹替版が1985~95年に初回放映、その後何度も再放送がなされている。

 コナン=ドイルによる原作に忠実であることを意識して作られており、物語の背景となる19世紀ヴィクトリア朝の、古き良き高雅なロンドンを再現。その時代考証には特筆すべきものがある。また、鹿撃ち帽にインバネスコートといったホームズおなじみの姿は本作ではほとんど姿を見せないなど、当時の風俗考証も徹底している。
 また、相棒にしてホームズの伝記作家でもあるワトスン医師の描かれ方も特徴的であり、それまでの映像作品ではどちらかと言えば騒がしく愚鈍な人物として描かれてきた彼を、信頼できる真の英国紳士として復活させた。
 ただしシリーズ後半では、原作に映像化が困難な設定があるもの、原作の評価自体が低いものを鑑賞に堪える内容にするため、様々なアレンジが加えられるエピソードも多く、中には非難の声の大きいものもある。

 2012年に発売された12枚組 Blu-Rayボックスでは、スタンダードサイズ撮影フィルムからの HDテレシネにより高解像度化が実現し、2013年10月からは、同マスターを使用した「ハイビジョンリマスター版」が NHK BSプレミアムで放送されている。


主要登場人物
シャーロック=ホームズ …… ジェレミー=ブレット(露口茂/諸角憲一)
 世界で最も有名な探偵。常に知的刺激を求めることを最優先とし、世間的には変人と観られることが多い。風変わりな事件の捜査には寝食を惜しんで当たるが、退屈をもてあますと自暴自棄になって荒れ、コカインに手を出す悪癖も持つ。本質は騎士道精神に満ち溢れた礼儀正しい紳士で、友情にも非常に篤い。相棒のワトスンに全幅の信頼を置いている。趣味はバイオリンの鑑賞と演奏。
 「在り得ない事を全て除いて残った可能性こそが、如何に信じられないことであろうと真実である。」という信条を持つ。多種多様な犯罪捜査に関する知識を持ち、当時の警察よりも先んじて指紋捜査等の重要性に気付いている辺りに、先見性がうかがわれる。女性に対する視線は辛辣そのものだが、才気や行動力を見せる女性に対してはその限りではなく、大家のハドスン夫人には慈愛を持って接している。
 演じるジェレミー=ブレットは、舞台を中心に活躍していた名優であり、エキセントリックかつ紳士という複雑なホームズ像を見事に表現。「最高のホームズ役者」として今なお知られている。世界的に著名なホームズを演じる重圧、妻の死去による双極性障害(いわゆる躁鬱病)の悪化などから、幾度も降板の意志を示していたが、要望に応え続投した。シリーズ後半では、幼少時から弱かった心臓を喫煙や双極性障害の治療薬の副作用などで悪化させ、更には心臓病の薬の副作用で急激に太ってしまうなど体調の芳しくない中、撮影途中に倒れてしまう事態に陥る。第6シリーズの終了後、心臓麻痺で死去(享年61歳)。原作全てのブレットによる映像化という本シリーズファンの夢は潰えてしまった。
 NHK 放送版での日本語吹替は、俳優の露口茂が担当した。後に発売された DVD完全版では、露口が引退状態であるためか、NHK 放送版でカットされた部分は諸角憲一が担当した。ただし、露口とさほど声質は似ていない。

 ちなみに、原作小説でのホームズの年齢設定は「1854年生まれ(推定される最有力説)」の「23~49歳(私立探偵を開業していた時期)」で、没年は明らかではないが、少なくとも1926年の「72歳」までは生存している。ホームズを演じた期間のブレットの年齢は、「50~60歳」だった。

ジョン=H=ワトスン
第1・2シリーズ …… デイヴィッド=バーク(長門裕之/金尾哲夫/立木文彦)
第3シリーズ以降 …… エドワード=ハードウィック(福田豊土/園江治)
 ホームズの同居人かつ唯一無二の親友であり、物語の語り手でもある医師。インド戦線での軍医経験があるが負傷して帰国し、友人を介してホームズと知り合う。奔放なホームズに悩まされることも多いが、常に友情と尊敬の念で彼を見守る。ホームズ曰く「最高の相棒」である。
 なおドラマ版のワトスンは、原作小説よりも観察力や推理力が鋭くなっている描写が多い。
 原作では、結婚後に医院を開業してホームズとの同居生活に終止符を打つが、ドラマ版では結婚をにおわせる描写がないまま開業している。
 シリーズ初期では血気盛んな若き元軍医をデイヴィッド=バークが好演したが、原作でも『最後の事件』から『空き家の怪事件』まで約3年の空白があることから、俳優交代はスムーズに行われた。2代目ワトスンのエドワード=ハードウィックは穏やかな初老のワトスンを見事に演じ、作品のムードに落ち着きを与えている。
 DVD 完全版では、長門、福田ともに逝去していることなどから、追加吹替は代役が行った。

ハドスン夫人 …… ロザリー=ウィリアムズ(竹口安芸子)
 ホームズが下宿するベーカー街221B の家主。奔放な下宿人に相当手を焼いている。とは言え、ホームズの金払いの良さ、また彼が尊敬できる人物であることから、母のような立場から彼を見守っている。事件解決のためホームズが仮病を使った時、朝まで帰ってこなかった時などは心底心配している様子が見られ、ドラマ版での両者の人間関係の暖かさを象徴している。

レストレイド警部 …… コリン=ジェボンズ(川辺久造)
 ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の警部。ある時はホームズに敵愾心を燃やして対抗し、またある時はホームズの才能を見せつけられて驚嘆する。尊大なところはあるが、自分の手に余る難事件の相談をもちかけにベーカー街の2人を訪ねることもある。ホームズが名声に興味を示さない気質のために、事件解決の手柄を譲り受けている。

マイクロフト=ホームズ …… チャールズ=グレイ(松村達雄、久米明)
 シャーロック=ホームズの兄。「ディオゲネス・クラブ」というロンドン一風変わりなクラブの創設者。シャーロックよりも頭脳は明晰であるが、行動力がないために探偵には向かないと兄弟は自分達を評している。その頭脳を買われて、イギリス帝国政府の情報分析や政策決定に深く関わっているとされる。
 ドラマ版では、制作上の事情から登場作数が原作よりも増えた。演じるチャールズ=グレイの明朗なキャラクターもあってか、行動的な好々爺として描かれている。

ジェイムズ=モリアーティ教授 …… エリック=ポーター(南原宏治)
 ホームズ最大の敵。天才数学者という表の顔を持ちながらも、ヨーロッパ全域の重大犯罪を影で操る怪人物。ホームズの度重なる妨害に業を煮やし、彼の抹殺に乗り出す。ドラマ版では、原作での登場作となる『最後の事件』以前に放映された『赤髪連盟』で初登場する。わずか2話のみの活躍ながら、エリックの重厚な演技により「ホームズの仇敵」に恐ろしいまでの現実感が与えられた。


各話一覧
 イギリス本国ではシリーズタイトルがシーズンごとに変化していたが、日本では一貫して『シャーロック・ホームズの冒険』だった。

第1シリーズ『シャーロック・ホームズの冒険』(第1~7話)
第1話 1984年4月24日(日本初放送1985年4月13日) 『ボヘミアの醜聞』(1891年)
第2話 1984年5月1日(日本初放送1985年4月20日) 『踊る人形』(1903年)
第3話 1984年5月8日(日本初放送1985年5月4日) 『海軍条約事件』(1893年)
第4話 1984年5月15日(日本初放送1985年5月11日) 『美しき自転車乗り』(1903年)
第5話 1984年5月22日(日本初放送1985年5月25日) 『まがった男』(1893年)
第6話 1984年5月29日(日本初放送1985年6月8日) 『まだらの紐』(1892年)
 ※原作において設定に無理のあるシーンも、スタッフの創意工夫によって可能な限り忠実に映像化された。
第7話 1984年6月5日(日本初放送1985年6月15日) 『青いガーネット』(1892年)

第2シリーズ『シャーロック・ホームズの冒険 第2シーズン』(第8~13話)
第8話 1985年8月25日(日本初放送1985年6月29日) 『ぶなの木屋敷の怪』(1892年)
第9話 1985年9月1日(日本初放送1985年7月6日) 『ギリシャ語通訳』(1893年)
 ※ホームズの兄マイクロフトが初登場する。
第10話 1985年9月8日(日本初放送1985年7月13日) 『ノーウッドの建築業者』(1903年)
 ※レストレイド警部が初登場する。
第11話 1985年9月15日(日本初放送1985年7月20日) 『入院患者』(1893年)
第12話 1985年9月22日(日本初放送1985年9月14日) 『赤髪連盟』(1891年)
 ※ドラマ版では次回への伏線としてモリアーティ教授が登場する。
第13話 1985年9月29日(日本初放送1985年9月21日) 『最後の事件』(1893年)

第3シリーズ『シャーロック・ホームズの帰還』(第14~20話)
第14話 1986年7月9日(日本初放送1988年1月9日) 『空き家の怪事件』(1903年)
 ※ホームズの帰還を描く。2代目ワトスンことエドワード=ハードウィックの初登場となる。
第15話 1986年7月16日(日本初放送1988年1月16日) 『プライオリ・スクール』(1904年)
第16話 1986年7月23日(日本初放送1988年1月23日) 『第二のしみ』(1904年)
第17話 1986年7月30日(日本初放送1988年1月30日) 『マスグレーブ家の儀式書』(1893年)
 ※原作はホームズの個人活動時代の回想譚だが、本作ではワトスンとの活動時代の事件に変更されている。
第18話 1986年8月6日(日本初放送1988年2月6日) 『修道院屋敷』(1904年)
第19話 1986年8月13日(日本初放送1988年2月20日) 『もうひとつの顔(唇のねじれた男)』(1891年)
第20話 1986年8月20日(日本初放送1988年2月27日) 『六つのナポレオン像』(1904年)

第4シリーズ『シャーロック・ホームズの帰還 第2シーズン』(第21~26話)
第21話 1987年12月29日(日本初放送1988年3月5・12日) 『四人の署名』(1890年)
 ※2時間スペシャルで、日本では前後編として放送された。
第22話 1988年4月6日(日本初放送1989年1月21日) 『悪魔の足』(1910年)
第23話 1988年4月13日(日本初放送1989年1月14日) 『銀星号事件』(1892年)
第24話 1988年4月20日(日本初放送1989年1月28日) 『ウィスタリア荘』(1908年)
第25話 1988年4月27日(日本初放送1989年2月4日) 『ブルース・パーティントン設計書』(1908年)
第26話 1988年8月31日(日本初放送1989年2月11・18日) 『バスカヴィル家の犬』(1901年)
 ※2時間スペシャルで、日本では前後編として放送された。

第5シリーズ『シャーロック・ホームズの事件簿』(第27~32話)
第27話 1991年2月21日(日本初放送1991年8月28日) 『レディ・フランシスの失踪』(1911年)
第28話 1991年2月28日(日本初放送1991年8月30日) 『ソア橋の謎』(1922年)
 ※まだ馬車が主流だった時代に、シリーズ初の自動車(1901年型メルセデス)が登場する。
第29話 1991年3月7日(日本初放送1991年8月31日) 『ショスコム荘』(1927年)
 ※当時19歳の俳優ジュード=ロウがゲスト出演している。
第30話 1991年3月14日(日本初放送1991年8月29日) 『ボスコム渓谷の惨劇』(1891年)
第31話 1991年3月21日(日本初放送1992年1月4日) 『高名の依頼人』(1924年)
第32話 1991年3月28日(日本初放送1992年1月5日) 『這う人』(1923年)

2時間スペシャルシリーズ
第33話 1992年1月2日(日本初放送1993年9月23日) 『犯人は二人(チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン)』(1904年)
 ※シリーズ唯一のホームズのキスシーンが見られる、非常に珍しい作品。
第34話 1992年1月27日(日本初放送1993年4月29日) 『サセックスの吸血鬼』(1924年)
 ※同名の短編を元にしてはいるが脚色が多く、話としては別物になっている。
第35話 1993年2月3日(日本初放送1994年1月1日) 『未婚の貴族(花嫁失踪事件)』(1892年)

第6シリーズ『シャーロック・ホームズの思い出』
第36話 1994年3月7日(日本初放送1994年7月2日) 『三破風館』
 ※原作ではホームズが黒人をののしるシーンがあるが、ドラマ版ではセリフも態度も紳士的なものに変更された。
第37話 1994年3月14日(日本初放送1994年7月16日) 『瀕死の探偵』
第38話 1994年3月21日(日本初放送1994年12月18日) 『金縁の鼻眼鏡』
 ※ハードウィックが撮影スケジュールの都合で出演できなかったため、ワトスンの役割をホームズの兄マイクロフトが担当した。
第39話 1994年3月28日(日本初放送1994年7月29日) 『赤い輪』
第40話 1994年4月4日(日本初放送1995年2月11日) 『マザランの宝石/ガリデブが三人』
 ※2作の短編を組み合わせて映像化。ブレットが心臓発作を起こし撮影直前に緊急入院したため、ホームズの活躍は兄のマイクロフトに変更された。冒頭と終盤のブレットの出演シーンは退院後の撮影である。
第41話 1994年4月11日(日本初放送1994年9月3日) 『ボール箱』
 ※ブレットが演じる最後のホームズとなった。

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