代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

安倍首相の戦後70年談話の中の長州史観

2015年08月15日 | 長州史観から日本を取り戻す
 昨晩発表された安倍首相の戦後70年談話。その歴史解釈のウンチクの部分が、まさに「公式長州史観」に彩られたものだった。安倍公式長州史観の誤謬を指摘してみたい。他の箇所も指摘したい部分は多いのですが、とりあえず、何点か指摘しておきます。水色字が安倍70年談話からの引用。白地は、安倍首相が本当に不戦を誓うのであれば、本来口にすべきと思われる談話です。


× 植民地支配の波は、19世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって近代化の原動力となったことは間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。

○ 植民地支配の波は、19世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感から、尊王攘夷運動という民族排外主義運動が巻き起こり、中でも長州においてそれがエスカレートし、下関戦争という国際的テロ行為にまで発展し、その敗戦が、列強諸国に対し、日本に対する内政干渉を強める恰好の口実を与える結果となってしまいました。
 その民族排外主義者たちが、宗旨替えして、列強からの軍事支援を受けて政権を取ると、幕末から芽生えていた立憲民主主義を希求する人々の声をテロによって圧殺し、立憲政治の外皮をまとった、実質的な官僚独裁政治を開始し、日常的に列強からの干渉を受けるという独立心のない国になってしまいました。まず私たちは、誤った排外主義が、下関戦争という無謀な戦争に帰結し、それが日本の近代化を原点から歪めてしまったことを反省せねばなりません。
 

× 世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失ってしまいました。

○ 自由放任主義の市場経済のグローバル化の帰結として世界恐慌が発生すると、帝国主義諸国は、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めました。
 その中で日本では、長州藩士・吉田松陰より引き続く排外主義思想・神国思想・アジア蔑視の侵略主義思想が息を吹き返し、長州閥・伊藤博文がつくった欽定憲法の中に盛り込まれた、長州閥・山縣有朋発案の「統帥権の独立」が破滅への引き金として機能しました。戦争を踏みとどまらせようとするあらゆる努力が、「統帥権干犯」の名のもとに圧殺され、抵抗する政治家は、浜口雄幸首相や高橋是清蔵相のように、テロによって殺害されていきました。
 国内の政治システムは、長州が正当化したテロリズムの伝統と、長州閥がつくった統帥権、天皇を主権者としつつ実質的に官僚が専横し、しかも誰も責任を取らないという無責任体制によって、戦争への歯止めは全て機能することができなかったのです。まさに私の長州の先輩たちが犯してしまった、近代化の原点の誤りが、先の大戦につながったのです。


× 私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、わが国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界のさらなる繁栄をけん引して参ります。

○ 私たちは、貿易自由化・金融自由化が世界恐慌と貧困を生み出し、それが紛争の芽となって、その結果として排他的ブロック化にに至った過去をこの胸に刻みつけます。だからこそわが国は、恐慌と失業の原因となる行き過ぎた自由貿易と規制緩和の流れに歯止めをかけ、公正で秩序ある国際経済システムを発展させます。そのためには、他国の政府と企業を盗聴し、情報を盗んでまで、政治的・経済的覇権を維持しようとする、不公正な行いをする大国が専横するTPP協定を拒否し、発展途上国など中小国が対等な立場で参加し、繁栄を希求できる新たな経済協定を模索して参ります。


× 私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、わが国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国ぐにと手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献してまいります。

○ 私たちは、長州的近代化の誤りによって国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。それゆえ、長州出身の私が率先して長州(靖国)神社への参拝を止め、戦争と戦死を美化する原因を絶つことを、ここに誓います。
 わが国は、先の大戦の反省を踏まえ、自由、民主主義、人権といった価値観を誤った形で振り回して、ベトナム戦争やニカラグア戦争やパナマ戦争やアフガニスタン戦争やイラク戦争などの侵略戦争を行ってきた大国に対し、その誤りを指摘し、それを抑止して参ります。先の大戦の反省を踏まえればこそ、他の国が過去の日本の誤りを繰り返さぬよう、戦争を抑止する機能を果たさねばなりません。そのためには、誤った侵略戦争を続ける大国への従属を止め、大国の先兵として誤った戦争への加担を強いられるであろう安保法制を廃案にし、世界の平和と安定に貢献していくことを誓います。
 
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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-08-18 23:06:56
なんか山口県に恨みでもあんの?
安倍首相の改憲思想の根源 (関)
2016-08-20 00:07:25
 山口県の皆様にはご迷惑をおかけしています。

 安倍首相の改憲への情念が、「長州への誇り」とともに存在します。
 長州は日本の近代全体に巨大な影響を与えてきた、すごい地域です。
 しかし、国家神道の強要、廃仏毀釈・・・・・。伊藤のつくった欽定憲法、山縣のつくった天皇の統帥権・・・・・、数多くの誤りがありました。それらは反省の上に乗り超えていかねばなりません。

 しかるに安倍首相の場合、かつての長州の「偉大な栄光」の記憶から逃れることができないようです。言論の自由や、個人の尊重の否定など、かつての誤りを繰り返そうとしているからです。
 それゆえ、その情念が発生する根源を問題にせざるを得ないわけです。
 ご寛容のほど、お願いいたします。

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