代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

八ツ場ダム建設: 国交省による審議会資料捏造問題 その1

2010年09月19日 | 治水と緑のダム
 ひさびさに八ツ場ダム問題について投稿させていただきます。この間、私は八ツ場ダム住民訴訟の原告側弁護団の依頼を受け、国土交通省がダム建設の根拠としている、利根川の基本高水22000m3/秒の虚構を明らかにする作業に取り組んでまいりました。原告側弁護団、学生・大学院生を含めた多くの人々との共同作業でした。その結果、国土交通省の計算は虚偽と捏造で塗り固められたものであることをほぼ証明できました。現段階で、国交省の捏造は99.9%証明できていますが、その証明を100%確実なものにするために必要な情報の開示を、同省はかたくなに拒み続けています。

 私は研究者生命にかけて断言します。国交省側が八ツ場ダム建設を正当化するために、計算結果を捏造していたことは、もはや疑う余地がありません。これは「公文書偽造」の犯罪なのです。
 もし私の主張が誤りで、国交省の主張が正しい場合、私は恥じて研究者であることを辞めます。二度と論文も書きません。このブログも閉鎖して断筆します。

 前原国交大臣は、私たちの検証計算の結果を真摯に受け止めて、解明に前向きな対応を取ろうとしていました。その前原さんが志半ばにして離任したのは大変に残念なことです。しかし後任の馬淵大臣が、しっかりと前原氏のやり残した仕事を引き継ぎ、真実の解明に努力して下さることを切望いたします。
 また、物理学専攻だった菅首相のリーダーシップにも期待します。理系の菅さんなら、以下に私が書くことの重大性はたちどころに理解できるはずです。この問題は、単に八ツ場ダムのみならず、「基本高水疑獄」と呼ぶべき問題であり、全国のすべての河川のダム計画に波及するのです。この問題を解決できれば、菅政権の功績として歴史的意義を持つことでしょう。菅さん、薬害エイズ事件のときに見せたあの輝きを再び見せて下さい。

 国交省河川局による、このような愚劣きわまりない組織的犯罪を見逃して、今後も全国でダム建設が強行されるようなことがあれば、この国の法治主義は崩壊し、民主主義も衰滅し、川は死滅して、国家財政は破綻します。

 国交省の虚偽を明らかにした意見書は、既に東京高裁に提出されました。詳細に関しては以下のページをご覧ください。

意見書「森林の機能を無視した国土交通省による基本高水計算の誤謬」
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_seki.pdf

意見書2「利根川の基本高水流量毎秒22,000の計算モデルの虚構」
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_seki_2.pdf
 
 意見書は2本あります。意見書2の「基本高水の虚構」という文書が、より重要なもので、国交省の基本高水計算の虚構を明らかにしています。この意見書の内容に関しては、既に東京新聞が今月9月12日に一面および特報面で詳細に報道しています。以下に書くことは、東京高裁に提出した上記の意見書ならびに東京新聞の記事の補足解説です。
 東京新聞を見て、「意見書の内容をもう少し分かりやすく解説して欲しい」という要望が、私の周囲からいくつか寄せられました。できるだけ分かりやすく解説したいと思います。詳しくは、ぜひ意見書の現物を見てください。ブログに張り付けた図は縮小版で小さいですが、意見書の現物では図も大きく鮮明に出ます。

 では、次の記事から具体的な解説に入ります。(つづく) 

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