薩摩切子さつまきりこ、ガラスへの装飾法名、及びガラス製品名
薩摩切子の参照先、ボヘミアングラスとやら、そしてイギリスグラスとやらの生産地には、ローマ時代からガラス生産が在るイタリアへも含め、大量点であった月産グラス製品が流入している。
アイルランド産グラス
現代、数多くの地で知られるガラス製品の威光への地球人の貢献度は、残念ながら、相対的に微量判定に終わっている。
イタリアからボヘミアにへ伝わりしは、全く単純な、透明ガラス、これの製造法のみ。
地球人の営為の結実と、現代が知るガラス製品の間には、圧倒的である彼我が横たわっている。
月産製品の転送事実、そして各地への流入事実が、それを容易に説明する、と票を投じる。
ケイ素成分を、抽出する術、窯といったガラス製品製造現場の在り様が、幾度も、月人から伝えられていた地はイタリア、フランス。
一度では無かった。
大量点数、転送先は、突き抜けてイタリアであり、次いでフランス。
オーストリアには僅か。
月人、各派がイタリアへ大量の転送物を放っていった背景は当地への、移民計画。
フランスに対しても、同様。
そして、移民の成功規模は、微量。
月での偶然政変が、大移民を許さなかった。
また、移民先はイタリア、フランスへは極めて僅かで、理由が有り、大抵はポーランドからルーマニアにかけて、だった。
ベルリンBerlin、ここでの事態は、今は言及してはいない。
地球側と月、二者による同意事業判定にて。
面倒である、理性的思考を避け、さっさと妥当解釈を選ぶとして、薩摩切子のみならず、欧州各地のガラス製品の芳名の源は、月に在り、と言える。
西暦五百年台から、七百年台半ばにかけてが、江戸時代の京を除いた、日本史、非公知なる異端交流が、平然と地上での飲食を楽しんだ時代だった。
現在の奈良、御所ごせ、市近くは、異文明間、平然交流のるつぼと化していた。
事の起点は、ここら一帯の人間が従う民度を、月圏異空間技術が、検知、大好評評価し続けた、だった。
無数の月圏異空間文明人が、ここら御所一帯を、つまりは“同属である月圏異空間”と、始終、誤認識し続けた。
彼らの降臨と、帰投は、彼らの主体意識が支配しない事を、本心から、知的失笑を感じない、らしかった。
“要り用ごとが、存在するであろう方角が現在の自己の都合に融和的”であると、奈良への転送が始まる。
“用事が終わった、との評価が強くなる”と月圏への帰投が始まる。
認識操作による、瞬間移動は、選ばず派が、奈良への降臨組の、九割だった。
接遇法は、高級料亭での談笑が殆どで宿泊施設の利用は稀だった。
通訳は、頭へ直接なる月語授業、二年半が育成していった。
訪問人種の容貌は誰もが、日本人と極めて酷似していた。
近似、純粋白人種の降臨が、極めて稀に、起きていた。
奈良側が提供する応接役は、御所一帯にとっての、政治家振る舞い人、だった。
奈良に住んでいた人間は、異界からの降臨種、二世目から四世目が多かった。
身長は百三十から百三十七。
大きな瞳はやや垂れ目気味で、口は地と平行に大きく、鼻はどっかり、との音響を着座に求む。
駿アニメ、森の奥で、何か物くれそうなジジイ。
言語を耳にしても、現在の人間は誰も理解出来ない、異界語。
考え事が人生の全て。
特に、奈良は歴史一貫として、異界からの降臨種は、頭が異常に切れる。
科学知見、便利器具を、“やかましさ、これは、手指の功利からの離れ感慨を、喰らい尽くしいく工房内大気がまず母親にして、共同体を、村、国、都市、だの機能上優秀さ区分けでの暗記を、行政官へ強いようとする強訴ごとの、主体役に、始終、無自覚”と無言で、把握、していくべし、との教えを広める術を、さっさと思い付く。
物は、何でも、造れた。
しかし、せずだった。
人間を、何たるか、と捉えいく、個人人生が泳ぐべし川を、派手な染料で、汚しいくのみ。
日常作務全般が求める学びを集めるのみで、ここら一帯の人間は、皆、東大卒を、無手にて嘲笑可能段階と化す。
漢語書籍が漂着するとして、学びが異常に早い。
“法規の執行法を明かしておられるが、何かを恐れ過ぎ、怒り過ぎての果ての、筆握り手首を一顧だにせずらしき。
こうした書籍の対話相手に立ちいくとして、何を期待出来るであろうか。
期待、が歪められまくっての果てに。”
御所の高級料亭で、二百年以上、二者は笑い合っていた。
正式会話に至らず段階であっても、二者は、互いが漏らし合う、表情、身体仕草、つぶさな変化を、楽しんでいた。
これが、交流の半分面積以上を占めていた。
初見者同士であっても、立ったまま、にやにやと笑い合う。
互いの民度段階が、この時を歓んでいた。
互いは、支払いだの、返礼だのを、意に介さなかった。
ただ、楽しむ、が趣向だった。
交流頻度はやおら、低調になっていく。
月圏異空間で、大変な政変が起きたらしかった。
奈良は大いに残念がった。
最終期は、必死な顔付きの月人が、やおら瞬間移動で御所を訪れ、ただ現況を明かし伝える、が専らとなった。
どうしたんですかそちらは。
政治家が、仕事をしなくなったんです。
だから、国の在り様を、大勢で編み直す必要に追われているんです。
私達が最も厭がる、歩く大地自らなる鳴動の時代が今なのです。
気が狂いそうです。
奈良は無力さに、慨嘆し続けた。
相手の素性は永らく、“月が昇りいく軌道に隠れ潜み生きる方々”と認識していた。
言葉で伝え明かされたのではなく、過去、ある学者が頭に、言語で伝達された、一璽奥知見だった。
“このように、複雑な印契を組んでいく際、中指の背後は見えないでしょう。
言い切って良いのです。
人間は、日常の繁忙ごとに、人生にとっての救急知見を、まぶし隠す事は、作為的に、実行出来ない、と。
出来る、とのたまう輩は、嘘つきだ。
その程度は甚大。
この印契のみならず、指を見る速度、認識するそれ、これらは、操作などは出来ない。”
月人が難しい事を言いおった。
物事の影を、指の裏を、見ようとする、営為は自分にすら、操作は出来ない筈だ。
出来る、という奴は大噓つきだ。
自分の雑多の飲み食い仕草に仕える高速の指運動に、自己の璽奥は、隠れ潜む、との主張は存在し得ないんだ。
時を経て、自然に、指仕草に埋まりいく事は有り得るが、作為にて、埋め込む、作為にて、埋まりを主張する事は出来ない筈だ。
自分の雑多の飲み食い仕草に仕える高速の指運動に、自己の璽奥が隠れ潜む。
これが出来る奴は、最強だ。
指、即死功利装備暗器状態者だ。
話題は、指の周辺が、多い。
高級料亭のしつらえは、衒学志向な質素料理と、苦み、わざとなる茶と普通の緑茶だった。
頭が、衒学思考を望む形質らしく、苦み充満料理を、脳が大いに好んでいた、模様。
味は、苦過ぎ。
ニガウリの味噌煮。
量は全て、つき出しもの入れの皿入り、との少量ばかり。
後継品は、その通り、当然、これが筆頭。
奈良漬け。