青龍神界鏡

次はまた首相してみんかお前。
https://www.youtube.com/watch?v=CsI7GSs4d1s

七十三面目   厭世感 その一

2012年09月29日 12時00分00秒 | 投稿

(登場人物は仮名です)
日本のある政党には、異星人との面会経験を持つ議員の所属が起きています。
その政治家はある国の政治家に異星人の紹介を求め、その国で異星人との面会を果たしました。
その政治家の目的はただ権益にありました。
異星人という強力な地下権力の政治回路を開く書架の書籍の日本側の販路を掌握すれば、莫大な秘密権益の流入が起きてくると踏んでいたのです。
その政治家は次に、その異星人の許容範囲内の振る舞いとして、別のある日本人の政治家にその異星人の存在を知らせました。
知らせた方を甲、異星人を知らされた方を乙とします。
甲と乙は内心半目し合っていました。
互いに政治手法が気に入らなかったのです。
しかし両者は各々の利益の為には共同歩調が可能である事を知っていました。
甲は、乙の政治的窮状を知っていました。
乙は普段の立ち居振る舞いを原因として、方々から追い詰められていたのです。
甲は乙を利用する事にしました。
甲は乙に知らせた異星人の他、対等な情報交換を通じて主にドイツとイスラエルから得た欧州降臨組の異星人の情報を乙に流し出します。
すると甲の予想通り乙は自身の窮状の打開を図り出し、ついには日本人の五万人の人命を対価とした異星人との契約の締結に向けて明示的な意思を示すに至りました。
乙側にとっての契約の主たる利益は異星人の科学機器などではなく、簡略に表現すると要するに大金でした。
乙の認識では、契約の受益者は乙と乙の所属政党の最高幹部のみです。
甲は、乙が異星人を知らされた後に至った異星人との契約の締結を始めから予測しており、止めませんでした。
政治的窮状にある乙が脱出を試みる非常扉は、表立って主張出来ない地下権力である事。
その際、垂らしておいた異星人情報の糸を、乙は藁をも掴む思いで縋ってくるであろうという事。
異星人への乙の接近を見逃す際の態度を始終優越的に維持出来れば、気に入らなかった乙の支配が期待出来るだろうという図絵、分析が当初より頭に収まっていたからです。
その後、乙を秘密の遊泳場で上手く泳がせていれば、湧き立ってくるであろう巨大な地下権益の渦の圏内は日本全土にいずれ及び、それに対する一定の操作権を自動的に手に入れられると甲は踏んでいました。
案の定、乙は異星人情報への縋りつきを見せ出しました。
乙は昔からいざとなっては地下権力への親和性を見せる事で政界では有名でした。
乙の方としては、以前から気に入らなかった甲にへつらいを見せても、得られる利益と甲に対する巧妙な立ち回りで、甲に対する劣位はどうにか希釈出来るだろうと踏んでいました。
乙は甲にこうせがみます。
「君が教えてくれた、某国で面会した事があるという異星人の情報、もう少し詳しく教えてくれないかな。
日本に於ける異星人の脅威に対する防波堤を強化したいと思っているんだ。」
「ああ、構わないよ。
ところでその情報をもしあなたに教えたのならば、あなたからどんな対価を貰えるのかな。」
「そうだね、その異星人情報の運用から派生する権益に関する情報でどうだい。
あなたに優先的に教えるよ。」
乙には甲により、公安が諜報活動で入手した複数種の異星人情報が小刻みに流れていきました。
甲は乙に情報を与える一方、遠間から罠をかけていきます。
人脈を駆使した包囲網です。
乙はその策略に気付きません。
実のところ乙は策略には、気付かない事にしていた、という姿が実相でした。
そして甲の策により、追い詰められた乙はこう仄めかし出します。
「某国軍は異星人技術をもはや公然と導入しているだろう。
歴史的に某国の異星人戦略は脅威だ。
日本の地下権力の強化の為にその異星人と何らかの穏当な契約に勇気を持って乗り出したいところだ。
もちろん異星人の存在は表沙汰に出来ない。
私なら地下での動きは慣れている。
汚い仕事もな。
そんな仕事があれば私が引き受けて構わない。
ところであなたは与党の将来の要職を担う重要な政治家だ。
経歴に染みがついては日本の為にならない。
もし話が前に進んだら私に任せてもらえないか。」
予想通りの流れに、甲はほくそ笑みます。
甲は乙とのやりとりを適宜、異星人に報告していました。
そして甲は締結可能な契約の細目を異星人から知らされます。
選択肢は三つでした。

い・地下権力経由契約に対する明示的理解
ろ・衛星軌道上射出光線兵器の一定期間の貸与
は・政治経済文化力指向性高性能算定装置の一定期間の貸与

対価は皆、日本人の生命です。
日本側の義務の“人体細胞の大部分の提供”を担う国籍の規定はそうあったのです。
“い”は五万人の日本人の命を原資とした大金を意味していました。
“ろ”は二十万人の日本人の命を対価とした、地球上全地域及び地下数キロの深度を範囲とする、小型核四分の一の破壊力を有する衛星軌道上兵器の貸与です。
“は”の対価は八万人の日本人の命で、貸与物は他国の重要政治項目を見抜ける算定装置でした。
甲は乙に三つ全てを知らせます。
乙は決定的な意思の明示をついに行います。
「異星人と契約を締結したい。
“い”を選択する。
異星人と会わせてくれないか。」
甲は勝負所への気合いが漲ります。
「分かった。
私に異星人を紹介してくれた某国人の立ち会いの下で異星人に会わせてやろう。
二人だけで某国へ向かおう。」
甲と乙は某国で落ち合い、その国の政府関連施設の地下にある機密性が保たれる部屋で某国人を待ちます。
一人の某国人の政治家と、複数の諜報官庁職員がその部屋を訪れて来ました。
すると、その一団の中央には明らかに地球外知的生命体と思われる二足歩行の形象が威容を誇っています。
周囲の某国人は知的営為と身体動作の繊細性の全力駆動に伴い、終始緊張の面持ちです。
一方、異星人はその黒く大きな眼と幽玄な歩行動作で周囲への必要な威圧が容易に波打っています。
部屋を来訪してきた某国人は既に何らかの峻烈且つ地球外由来の科学的脅威の水行を経験済みであろう事を乙の嗅覚はすぐに察知しました。
“これが・・・異星人か・・・。
何という恐ろしい風貌だ。
粗相があっては断じてならない。
死ぬ。”
乙はこう直感します。
地球人の一団は互いに英語で自己紹介をし始めます。
すると、乙は異星人から言葉を投げかけられました。
「日本国丙党乙議員、お会い出来て光栄です。
私は異星人"G"蛍光灯下秀麗書架事務同時微笑点灯率先系双翼的互恵関係推進玉砂利参道潔斎官僚在籍者ハシュガァフスでございます。」
乙は最敬礼の笑顔の即座調整を決心し、その丁寧な出力を顔で行います。
「は・・・初めまして、私は日本国丙党乙議員でございます。
私めからのご挨拶が出遅れまして申し訳ございません。
お会い出来て光栄でございます。
異星人"G"蛍光灯下秀麗書架事務同時微笑点灯率先系双翼的互恵関係推進玉砂利参道潔斎官僚在籍者ハシュガァフス様。」
乙は何と、異星人"G"に流暢な日本語で話しかけられた衝撃を受け流しつつ、即座に異星人の役職名を覚える難業を成功させたのです。
乙は集中力を高しめる神経亢進剤を摂取済みであり、これは医師の処方箋外で違法に手に入れたものでした。
つまり芸当の可能性の根拠を置いていたのは法規外です。
異星人"G"ハシュガァフスは、乙の立ち居振る舞いに一定の評価を与えます。
“この男は優秀だ。
また私に敬意を持って接してきた。
悪い印象ではない。”
一方、甲は乙の面接の様子をたぎる様な優越的意識で見詰めています。
“俺だ。
俺が乙にこの緊張と喜びを与えてやったのだ。
故にこの力場での異星人に対する乙の態度はそっくりそのまま俺の乙に対する優越性、ひいては俺による日本の地下権益の出元の支配を意味するのだ。
絶対に成功させる。
既に乙の弱みは掌握してある。
金、女、任侠団体との深い関わり、中国で形成した不埒な人脈、ロシアの自然資源に接近した際のこの男の弱み、何もかもだ。”


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七十三面目   厭世感 その二

2012年09月29日 12時00分00秒 | 投稿

異星人"G"の小柄な体躯はそれだけではもちろん既に部屋に屹立している地球規格外の知性的巨魁さを明かしません。
他者理解に要される地球人側の知的誠意の総量たるや現在、開帳中の地下権益の賭場の声の風で常に吹き飛ばされ続けているのです。
地球人達の情動に理解を有する異星人"G"はにこやかな笑みを統制的に許しつつ、地球人達の狂奔を評します。
“愚かな連中だ。
巨大な地下権益である、異星人象限の厨房を覗きよだれを垂らす連中は皆とどのつまり同じ穴のむじななのだ。
特殊利益はその運用に要する知性的誠実さが必要なのだ。
その事を理解していない。
そしてその理解の為には、知性を欲望に隷属させる特殊状況が必要なのだ。
ところで特殊利益とは資本主義体制の伸展が必然的に発注する、学生への授業配布物である。
そして資本主義体制の学校が不可避的に在籍を許す衆愚政治家が必然的に接触し得る特殊利益は、甚大な地下被害をまず齎す。
特殊利益を統御する知性的誠実さの不足について対策がなされていない為だ。
知性的誠実さの必要性の理解を訴える特殊状況授業への参加と入念な復習が必要なのだ。
この段階の資本主義国の政治家が異星人象限の特殊利益に自らの意思で跪(ひざまず)いた時点で、統御を担う知性的理解の大幅な不足が概観的に指摘出来る。
資本主義体制の学校が計画する修学旅行により、これから等比級数的に拡大していく地球の特殊利益の規模を考慮すれば、知性的理解の不足や必要性の理解を求める特殊状況授業の未経験は地球にとって致命的なのだ。
そして知性的理解に関する成績表の発行すら待たぬまま、なし崩し的な宇宙への進出による苦境の打開がとどのつまり修学旅行ならば、宇宙の倫理育成環境が著しく棄損されてしまうのだ。
私の許可によりここで私との知己を得た地球人は、呑み込んだ特殊利益の程度に応じ、知性内部に進駐した特殊利益による原始的衝動に突き動かされていく事になるであろう。
他国籍の顧問の命令に反意を決心する際の身体の仕草は原始的かもしれぬが、命題“暴君の君臨者へ怒る鍬は知性的洗練を受けずとも古来より気高いのか”に対する学生渾身の卒業論文なのである。
学ぶのだ。
地球人よ。
宇宙の同胞よ。
ならないのだ。
知性による調伏を待たずして欲望に跪いてはならないのだ・・・。”
異星人"G"はその部屋の政治家達に異星人が係数の特殊利益を教材とした真の命題を教えません。
地上での診察聴診器を某国で手に入れた異星人"G"は、一定条件下での自身の紹介を某国に命令していきますが服従者はそれに同意済みです。
日本の甲へ某国人による異星人"G"の紹介が起きたのはその直線上で、そして甲が乙に異星人"G"の存在を知らせたのは異星人の許容の下です。
そしてこの部屋の地球人は異星人"G"の下へ自らの意思で参集しました。
異星人の脚本の舞台演劇が地球人によって始められようとしているのです。
乙にとって異星人契約の当初の動機は地下権力を介した政治的安定性の追及にありましたが、途中から乙を支配し出したのは厭世感でした。
何もかもが嫌になったのです。
嫌っていた甲に屈していくのが大きな理由ではなく、政治の世界のしがらみを投げ出して何もかもから逃げ出したくなったのです。
その際の逃避行資金への渇望が異星人契約を進ませたのでした。
乙の展望は異星人契約による秘密資金を高跳び棒とした観光地の和風旅館への隠遁と数十人もの好みの女性の囲い込みです。
甲の頭にも同様に、政治的安定性の向上と同様に数十人もの女性がありました。
乙の動機の変遷の理由とは、異星人が関わる契約のやりとりの緊張を和らげていた複数の愛人の中の二、三人に逃げられた事にありました。
そこで、政治の世界で長らく自身に向かっている怒り、疑惑、不信の目による精神疲労の一挙解消と、精神疲労を癒すべくの存在を裏切ると分かった愛人の代替人材確保先が同時に視野に入る、地下権益を流用しての旅館への隠遁を疾走衝動とする事に、したのです。

特殊利益

四千七百九十三青字


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七十一面目   何故だ その二

2012年09月28日 12時00分00秒 | 投稿

酒と肉への胡椒を好む地球人、隷元に比し小柄な異星人達は静かに微笑を湛えています。
一方緊張にある隷元はか細い声で返事を返します。
「あ・・・ああ、初めまして。
私は某国、隷元元大統領です。」
「元大統領とは、何代目を指すのだろうかな。」
隷元は恐怖で記憶の引き出しが動きません。
「え・・・ええと・・・・・・・・・。」
「第四十代、でしょう・・・。
忘れたのでしょうか。」
「・・・・・・。」
「忘れたのか、とお伺い、しているところです。」
「答える事が、出来ませんでした。
恐怖で・・・。」
「・・・何故恐怖を覚える、のでしょうかな。」
「それは・・・宇宙人との・・・対話の機が・・・我が国の政経上、甚大なる畏怖象限、最深部に在ると思われるからです。」
「言語の直接用法に頼るところ、互いは宇宙人と言える筈です。
何故そうも怯える、のでしょうか。」
「・・・。」
「早くは、答えられない、のでしょうか。
答えをここで考案せずのまま。」
隷元の人種構造上、先刻より突如開いたままである記憶の引き出しは、異星人との関係にまつわる、あらゆる奇形情報を隷元の頭に閲覧させています。
「・・・今ここで何かしら、契約に於けるこちら側の不履行項目や、落ち度を咎められるかもしれないと思ったからです。」
「互いの関係に於いて、不手際との捉えは、当方は、察知せずで、ありました。
何故咎めを受けると、考えるに、お至りになった、のでしょう、か。」
隷元はこの時、高速であるが、濃密ではない狼狽へ全身を委ねます。
「・・・既に過去、接していた情報が、呼び出しを受けた軍人や政治家が、叱責を単に受けたのみに終わらず、処刑を伴っていったとの強固憶測を求めてきた事があったからです。」
隷元は、酒といった嗜好品の影響を無視し、生来の人種形質から、突如なる想起を、自己の言語が、掌握した試しとは無縁続きであった人生人が隷元でした。
いつ、何を、想起したのか、を隷元は索引化せずながら、口走る対象がいわゆる、想起にとっての乙方情報であったとして、しかし想起との観念とは俯瞰上、無縁続きなのが例えば現在のようです。
質問が狼狽を襲います。
「何故、その情報に、接触するに、至ったと、思っているところでしょうか。」
「・・・分かりません。
本当です。」
隷元は“過去の情報を記憶してはおらず”、ではなく肉体性能による理解機能の混濁状態を如実に明かす語として、“現在の自己には、当該理由が理解出来ず”に値する意味を素早く口走ってしまいます。
「では、熟慮の指先、無数本を記憶の引き出しへお延ばしになってみて下さい。
その、お時間を、ここで、設ける事と、致しましょう。
眩しき新啓示の時を、共にお待ちして、みましょう。」
「・・・この場での、私めへのご許容の程に御礼申し上げます。」
隷元はこの時既に、某国と民生上の密接関係が世界に公知である、軍事拍動政経を用いずの国、そことはつまり日本の、障子と畳繊維、銃創のみならず乱暴手仕草でも容易に破らずべしとの心持ちを、乙側の政治家は無言で、領収、体得していくべしと諭されていました。
隷元は四人の眼前で、自己の知的営為にとっての楷書作法、思考に精神力を集中します。
異星人"G"は隷元の佇みを、無言であるも、確かに知的観察で、応じ続けます。
その地球人は絶対に知的営為を実行しているという確信を、無作為のまま容易に、領収していた時でもありました。
「・・・判明致しました。
それは・・」
隷元はすぐさま言葉を遮られます。
「眩しき新啓示を、待っていた、時に在った筈でしょう私達は。
何故あなたは、自己を包んでいた許容的雰囲気を、到達した判明事で、容易に破ろうとするのですか。」
「も・・・申し訳ありません。
大変申し訳ありませんでした。
自己の都合へ、あなた様方を従わせてしまうこの瞬間の所以を、全く考えておりませんでした。
自己の頭部に、あなた様方を組み入れてしまう、軍事拍動政経をさっさと露呈、実践してしまっておりました。
至らず様を、ご指摘させてしまいました。」
「私はこう問いました。
何故あなたは、自己を先刻より包みし許容的雰囲気を、自己のみが到達した判明事にとっての、廃棄物に貶めるか、と。
理由を教えて欲しい。」
「そ・・・それは・・・この状況に私が身を置き続けて感じる恐怖と狼狽が、私の応対態度を緊張させ、すぐさま判明事を開陳しようと、してしまった為です。」
「知的営為の機を先程、お設け致したのは、あなたに、あなた本来の在り様を、恐怖の霧から取り戻して頂きたかったからだ。
あなたの自由な知的営為が、恐怖を減じずであった理由は何故でしょうか。
教えて欲しい。」
「私が重度に、・・・落ち度のある振る舞いを・・・行った果てに、軍人達の失踪情報と接触していったとの判明に、自己の行動足跡への分析を通じ、知的到達し続けていたからです・・・・・・。
また失踪情報への接触所以をここで披露するとなれば、私は恐らくここで、致命的なまでに悪辣な印象を帯びてしまうと思っていた、と告白致します。」
隷元はこう言いますが、“致命的悪辣印象へ至ると思い続けていた”、との意味内成分、“至ると思い続けていた”との知的索引とは無縁続きであった人生人が隷元でした。
「何故、致命的なまでに悪辣な印象とやらを予期するに至ったと考えているのでしょうか。
今度こそはゆっくりとした開示を、お待ち致します。」
こうして隷元を再び、思考の機が襲来します。
「それは・・・軍人や政治家の失踪情報は・・・・・・契約上、何らかの不履行沙汰の末路との強固憶測を求めてきており・・・私による落ち度のある振る舞いたる・・・軍事機密情報の取り扱い履歴を、ここで開示するとなれば、その時間は・・・ここでの私の立ち位置を決定付けてしまう、と予測・・・・・・してしまったからです。」
隷元は“予測してしまった”と言いますが、“今、予測してしまったと言っている”が実相でした。
「良くぞご回答下さいました。」
異星人"G"は口元が既に知るらしい怜悧な動きで、相手に笑顔認識を許容します。
「では次は、そうした情報の取り扱い履歴をお残しになった理由を、教えて頂けないでしょうか。」
「それは・・・私、いや私達が・・・異星人"G"様に対する畏怖と攻略衝動の混濁に呑まれ続けており・・・、異星人"G"様に関する情報が乱雑に漏洩していく様を傍観していれば、私達の利益に資しゆく筈、との算段が立ったが故、と今ここで告白致します。」
「何故、主語を言い変えるのでしょうかね。」
表情は怒りを表示します。
隷元の顔は蒼白になり、こう言わしめらるに至ります。
「私一人・・・ではなく私達と複数形にして、傍観者の責任を分散したいと・・・思いました。
追求の恐ろしさを霧散する為です。」
隷元は“思いました”と言っていますが、実際は思うより先に、“追求の恐ろしさを霧散すると今言っている”が実相でした。
「何故、今の状況で提案する主語、複数化企画との自他知性に対する責任分散段階が、あなたの捉え曰くの、私、達、側、が増幅役との、追求の恐ろしさとやらへの、霧散効能を発揮すると考えるに至った、のでしょうかね。」
「それは・・・私が傍観し続けた情報漏洩の規模は・・・ここに立つ私の運命にとって致命的の筈と考えたからです。」
隷元は、考えてはいませんでした。
「そこで主語を複数化する事で、集団謀議に付随する逼迫表情数、対話中者周囲の傍観議席数を演出し、私の行為の正当化に貢献する雰囲気を瀰漫(びまん)させようと試みた次第でございます。」
「・・・何故、致命的だと考えた、のでしょうか。」
「軍人や政治家の・・・失踪との・・・契約上の粗相者の末路を伝える情報に触れていたからです。」
「先の質問に戻りましょう。
何故、あなたは軍人や政治家の失踪情報に触れたのでしょうか。」
「それは・・・・・・・・・」
隷元には、理由はありませんでした。
異星人に対する警戒意識や、異星人情報を利用しての権勢拡張欲望を伴わず、何も考えずのまま、地球人曰くの思考や判断の先に繁茂していく筈の行動を実行する、つまりは無思考人間だったからです。
何も考えずのまま失踪情報との接触を選ぶに至っていた隷元には、接触の理由と接触出来ようにはありませんでした。
「・・・・・・もう結構、です。
あなたの知的論理がまとう藻構造の虚ろさを鑑みると、知性脊髄が欲望の始源段階たる恐怖衝動、臆病だがこそこそと何かを窃視し複写したい、を照射された期間が長期であったと推論出来る。
あなたは私の前で、独自構成なる知的論理を主張出来ない。
自らの意思を以って自身が構成したとする論理について、自らの意思が宿る知的価値が備わると主張する事は出来ない。
そして
私との相互対話型知的論理営為の継続や完了は不可能、と私の知的論理履歴が講評する。
この対話を、終えましょう。
第四十代、某国、大統領、隷元殿。」
「・・・・・・・・・。」
隷元との対話を担当した異星人は部屋から無言で去っていきます。
その様を見やりもしない残りの三名の異星人は無言のまま隷元を見詰めています。
隷元には緊張からの解放による安堵が訪れません。
隷元はその理由を、眼前の異星人がまとう異端なる存在感に探し求めます。
一名の地球人と三名の異星人は水色の無機質な寝台構造を挟み、薄水色の電灯の下を、無言で佇みます。
地球の地下の、ある室内空間は地球人と異星人達に、この間合いを七十五秒過ごさせます。
「・・・・・・・・・。」
隷元は茫然と佇んではいるものの、落ち着かせる先の無い、異動先不明との惨めさを湛える視線に確かに支配されています。
一人の異星人が口を開きます。
「あなた、何故、ここに、居るのだろうかね。」
隷元は衰えず続けである戸惑そのままの態度で答えます。
「私は・・・手紙で・・・ここに来るように呼ばれました。」
「確かに、お呼びした。
契約の一期満了を祝すべく、あなたをここに、ご招待したのですよ。
(I invited you to here in order to celebrate the smooth completion of the contract for the first term we made.)
何故、あのような問答に至ったとお考えでしょうかね。
対話の出だしを思い出してみては如何か。」
「・・・何代目の大統領か、との質問を受けました。」
「私もその、一時系列内項目を記憶している。
その質問に対する回答を阻害したあなたの恐怖を起点として、知的論理構成の試みが先程まで続く事となったのですよ。」
「・・・はい。」
「I say again, I invited you to here in order to celebrate the smooth completion of the contract for the first term we made.」
「あなたが作為を弄する事無く、恐怖の露呈へ至らずのまま、ただ私達と対話を済ませる事が出来れば、私達両者は契約の一期満了を祝す事が出来た筈ですよ。」
隷元は気付きを得ます。
“私はただすんなりと答えてしまえば良かったのだ。
ただそれで良かったのだ。”
隷元は安堵の笑みを浮かべ、後ろ頭を掻きつつ、こう口にします。
「ああ・・・そうでしたか。
お気分を害してしまい、申し訳ありませんでした。
不慣れな状況に大変緊張、恐怖してしまった挙句、過去の恐怖が立て続けに私の矮小なる知性に殺到してしまったようでして、これに服従するがままの私の口は回答には不得手続きとなってしまった次第でございました。
私は第四十代某国大統領でございます。」
この時、この男は私的領域人格への遷移を、高速かつ無作為にて、外界へ伝達します。
“人当たりの良さを現在無指向発散するこの男が、一国家の雲上御殿の主との公的職権の素性と相まって伝える事柄とは、当該国家、賭博場の筐体の上下への回転動態と三つ並び、二者双方を希望中との成文を、国家内誰ぞに競売で落札せしめ中”。
“国家主権、大構成属性は現在のみならず、過去より長らく、享楽への高速敗北が生来なる肉体衝動”。
“建国期前後、大構成属性への放物線推移に在る享楽人種が不可避であろう、派閥同士の相互衝突期間を透明通過すべくの、政治議決機構の存在を真剣議論する頭部にとっての机素材、頭部内戦慄量、大量をこの男の君臨推移は、説明出来ようにはなく、つまりは外来”。
「・・・・・・。
あなたは何故、安堵の表情を浮かべ、大統領の役職継承順を今更口にするのだろうか。」
「・・・私はただ・・・すぐに回答出来なかった質問について改めて明朗にお答えし、私由来の至らなさを霧散しようと振る舞ったまででございます。
「今は、問うては、おりません。
あなたの社会的基本情報に対する知的接近を通じての、表層的対応の質に関する調査は既に終わっております。」
「あなたが今を選び、答えを滑らかに披露したところで、私達との対話の継続や完了は不可能であると、私、達、は断定済みです。
あなたは、相互対話型知的論理営為、不適格者であると。」
異星人曰くの、これが意味するところとは何であるのか、との説明が続き、一方の隷元は愕然の表情で佇んでいます。
水色の電灯曰く、“黒いコートは祝賀行事、堂々登場俳優なれど、上に咲く顔の洗練慄然支援筋肉曰く、祝賀行事を本気で祝った試しは無くつまり、意匠は剽窃”、“細い網目が高速で駆け巡る、濃い緑がやや混じる漆黒のネクタイ曰く、忘却推移へ高機能を装填したい”、転じて“この機を祝うつもりは毛頭無く、さっさと、真剣に、忘れてしまいたい”。
(そうですか・・・。
こちらも、祝うつもりは無かった、と内心にて述べておく。)
“異星人象限に於いて、あなたは何をやっているのか、不明でありながら、他人をけしかけ続けて、結果的に、野放図に沸いて来る戦慄染みた情報を、洗練していく術は、他人を情報へ突き当て続け、以上との俯瞰上観察可能である振る舞いを自覚すべきでありながら、更に深みに沈んでいる事に、自己が所掌せし政務すら、忘却している。”
愕然の表情にある黒いコート、黒いネクタイは知的省察により祝われていきます。
「・・・・・・・・・。」
「・・・。」
室内は沈黙の時、五十秒に移ります。
異星人の別の一人が隷元は話し掛けます。
「何でここに居るのかねえ。(What has brought you here?)」
「・・・もう私はここから立ち消えてしまっても良ろしいでしょうか。」
「ところで、あなたは一体何の為にここに来たのだろうかな。」
「・・・届いた手紙に従い・・・契約の一期満了を祝すべく・・・ここに来ました。」
隷元は恐怖と緊張の連続に精神が耐えられないらしく、半泣きを始めています。
「満了を祝さずのまま、今ここから立ち去る、とするのか。」
「不可能ならば・・・もう結構です。」
「そうか。
立ち去ろうと試みる事へ、当方は論難しない。
ところで先程説明した通り、お前は、相互対話型知的論理営為不適格者だ。
この表現に関する理解の明示を、言語営為で可能だろうか。」
「はい。」
「それでは明示頂こう。」
「自己が編む知的な論理を、相手と相互展開する資格が無い人間と、捉え置いております。」
「そうだ。
大まかはそれで良い。
お前は先刻より、ここから立ち去る計画を仄めかしているが、実現意思は在るのか。」
「はい、そうです。」
「実現能力が自己に備わると確信しているのか。」
「・・・はい、徒歩で地上へ出ていきます。
距離があっても構いません。」
「お前は既に、自己が構成したとする論理について、知的価値を自己主張する事は出来ない状態にある。

お前が徒歩で地上に出ると言ったところで、お前が自己の内に存在を信じるらしい徒歩能力の真贋は疑わしいと推論せざるを得ないのだ。」
「・・・・・・では、どうすれば良いでしょうか。
うっうっうううう・・・ううっ・・・ああ・・・怖い・・・。
お助けくんなせ・・・christianity!
ああ、主イエス・キリストよ・・・。」
隷元は完全に泣き出します。
対する異星人"G"は、地球の宗教史を明かす端末画面への閲覧時間を長く経ています。
「お前は古代中東の人物、アブラハムの末裔、ナザレの羊飼い、ユダヤ人、イエス・キリストの御名を口にしたな。
何故だ。
さすればお前は相互対話型知的論理営為の回復を見る、との推論に至っていたのか。」
「・・・違います・・・うっうっうっ・・・。
ただ、今の状況が私にとって恐ろしい限りで・・・助けを・・・偉大な宗教的指導者に求める声を発してしまったまでで、知的論理は伴わない、哀願の叫びでございました。」
「イエス・キリストは宗教的指導者とは言い難い。
彼(HeのHを特殊な発音で強調する)は旧来の価値観の伝道者だ。
こうした捉えが宗教的指導者に値するとは、当該時代そして現代の地球文明の価値観に照合したとして、そうとは言い難いのだ。
何故なら宗教的指導者とは、旧来の価値観に対する変革者との立ち位置を迫られる事によってその地位を獲得するのだ。
イエス・キリストが宗教的指導者であるとの評価は欧州中世の宗教改革の進展の中、プロテスタント側がカソリックに対する抗議的主張の中で獲得したのだ。
イエスは革新主義者であったが今や誰もが受容している、とのプロテスタント側の言い触れでだ。
一方宗教学としては、プロテスタントが時代の群雄趨勢の中で結果的に為せし経済的興隆とそれによるキリスト教への貢献を見過ごせずに、なし崩し的にプロテスタント曰くの評価を追認せざるを得ない状況が続く事となったが、その状況にカソリック側も、そして後にイエスの評価に疑義を呈し出した当のプロテスタント側も巻き込まれていった。
そして現代ともなり、その評価の覆しは双方にとって有益に非ずとの無言総意の結果、不動の蓋構造と似る理解が共有されるに至ったのだ。
しかしながら、イエス・キリストは宗教的指導者であるとの評価に対し厳密な理解を開陳すると、答えは否だ。
イエス・キリストは宗教的指導者とは厳密には言い難いのだ。
何故なら厳密な理解とは、如何なる政治的、そして宗教的、歴史趨勢におもねる事のない、厳格なる一社会常識であるべきだからだ。
私、異星人"G"相互互恵的隠密評価実地調査経由及び学理譲渡仄めかし系完全潔白無罪官僚在籍者シュフウヮアスルは、自身の相互対話型知的論理営為の全面的協力により、キリスト教開祖被認定者イエス・キリストに関する宗教学的見識を、必要に応じた範囲述べた。
隷元よ、哀願を、世で言い触れていれば、それはイエス・キリストに届くと考えるよすがは何であろうか。」
「・・・・・・。」

七千三百三十三青字


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七十二面目   何故だ その三

2012年09月28日 00時00分00秒 | 投稿

「お前は哀願という精神営為と、この先に君臨するらしい宗教関連認識の関係を問われているのだ。
これは人間にとって極めて稀少な知的構成の筈だ。
どう答えるのだ。」
「哀願は届くとは思いません。
また私は主イエス・キリストに関して誤った学識を持っておりました。」
「そうか。
哀願はキリストには届かぬという事を、どのようにして知ったのだ。
答えよ。」
そして隷元は詰問の末、次のように言わしめられます。
「異星人"G"相互互恵的隠密評価実地調査経由及び学理譲渡仄めかし系完全潔白無罪官僚在籍者シュフウヮアスル様のご学識のご開陳により知るに至りました。
大変ありがたい事でございます。」
「そうか、では私、異星人"G"相互互恵的隠密評価実地調査経由及び学理譲渡仄めかし系完全潔白無罪官僚在籍者シュフウヮアスルの学識の開陳はどのような機縁によって発生したとお前は考えるか。
答えよ。」
「それは誤った学識を抱える私による非現実的な哀願の吐露の時でございます。」
「そうか、ではこの状況下で、自己はどのように、在るべきと考えるか。
先程のように、再び問うてみる。」
「それは・・・もう分かりません。
勘弁して下さい。
恐ろしいです・・・。
何もかも勘弁して下さい・・・。
ここから帰して下さい・・・。
お願いです、何でもしますので・・・。」
「そうか。
帰してやるぞ。
お前がここで発生させた対話に倫理的完結価値をもたらしたならば帰してやる。
つまりだ、お前が欠損させている相互対話型知的論理営為を、お前が回復させたならば、お前は家に帰れるのだ。
どうすれば良いと考えるか。」
「分かりません。
何も分かりません。
私とは、その答えを分かりいく人生を過ごした試しはありません。
本当です。」
シュフウヮアスルはゆっくりと隷元に近づき、異人種の顔を見詰めさせる営為を実行します。
こうして異星人"G"の特徴的な大きな瞳に、隷元の知的屈服が深呼吸されていきます。
以降の時の相互応酬を支える二者の肉体血流が、互いの間に疑似信頼を唱えゆく奇怪さを前もって侮蔑する儀式でした。
「そうか。
では私の指示に従え。(Then, obey my instruction.)」
隷元の聴覚は確かに地球外知的生命体が発する英語音声を捉えると同時に、自己とは圧倒的彼我なる知性者への服従元たる自己の脳の存在を認識します。
そして脳内で追唱されゆく異人種の英語発音は、視野に映る異人種形象に血流を宿していき、これに服従する脳は疑似信頼を異人種に対し灯してしまいますが、見詰めている異人種への畏怖により、疑似は侮蔑されていきます。
“これから私はどうなるのだろうか。”
嗚咽まみれの英語はこうのたまいます。
そこでシュフウヮアスルは、尻もちをついての泣き崩れに、知的な洗練が済まされた笑みと、その意味の推測時間を、与えます。
隷元にとって頼るべくの言い触れ、イエス・キリストはもはや居ません。
何故なら知的理解が統べるここに於いて、知的理解外言動は排除されるべしという認識が既に在り、言わば知的理解が宗教的指導者でした。
水色の光が満ちる部屋で隷元はしかし、むせび泣くばかりです。
「私はイエスではない。
異星人"G"の官僚シュフウヮアスルだ。
そのような哀願めいた眼差しを私に向けるのは止めるのだ。
私達にも情動はある。
気分が悪いのだ。
第四十代某国大統領隷元に私が向けた、今しがたの笑みの意味を理解する事は出来たか。
問うてみる。」
「分かりません。
シュフウヮアスル様。」
隷元は精神緊張の果てに虚ろな目を天井へ灯しての放心状態にあります。
「私の官職名を省略してはならない。
知的営為を怠けてはならない。」
「はい・・・。
異星人"G"・・・相互互恵的・・・隠密・・・評価実地調査・・・・・・経由・・・・・・及び学理譲渡仄めかし系・・・完全・・・潔白・・・無罪・・・・・・官僚・・・在籍者・・・。」
「途切らせずに、再度言え。
また私の氏名を分離させるな。」
嗚咽が、情動が、隷元の知的営為の邪魔をします。
「はい・・・。
異星人"G"相互互恵的・・・隠密評価・・・実地調査経由及び・・・学理譲渡・・・仄めかし系・・・完全潔白無罪・・・官僚在籍者シュフウヮアスル様・・・。」
「途切れせずに、言うのだ。
何度でも、しつように、命じてやる。(I command you again and again.)」
「はい・・・・・・。」
シュフウヮアスルは無表情を保ったままです。
一方の隷元の顔は、疲労成分を濃度で無視した絶望が満ちています。
「異星人"G"相互互恵的・・・」
「やり直しだ。」
こうした問答が十六回ほど繰り返された果てに、ようやく隷元は完全に言い終える事が出来ました。
シュフウヮアスルは無表情で告げます。
「良くやった。
十七回目に言えたな。
隷元よ。
知的営為の継続を怠ってはならない。
如何なる時であっても、だ。
断じてだ。
覚えておくのだ。」
この時シュフウヮアスルは、頼み込むような表情を隷元に向けてつくろいます。
隷元はその意味を分かりません。
しかしシュフウヮアスルの表情を、心理的接近の機に分類してしまった隷元は、安堵の血流を自己に流し出します。
「はい・・・分かりました・・・シュフウヮアスル様・・・。」
隷元は高速で、しかし確かに口元に微笑を湛え、シュフウヮアスルの更なる心理接近を期待しますが、シュフウヮアスルはいつの間にか無表情に戻っています。
隷元は結果的に、微妙な辛さを浴びてしまいました。
部屋には三十五秒間、沈黙が満ちます。
へたり込む隷元の眼前で両膝を開いて座っていたシュフウヮアスルは楷書作法なる動きで膝をゆっくりと伸ばしていき、屹立します。
「お前を待ち受ける長い旅路は、人生未経験の筈だ。(Awaiting ahead is a long journey you have not ever tasted in your life.)
Persistent obsession tendency in pleasure hobby, meaningless smiles that only lead to burn behavioral impluse, not trying to govern improvisation comment and idea, ・・・intention for leaking information of us is, not, so, imperative, is it.
What sort of awkwardness really matters to you?
Which aspects above tells?
Plural, singular, why do they suddenly get popular in you?」
シュフウヮアスルは云いません。
“政治的高位権力者が、自由に発する威圧を後見とするその言動は、劣位階位者にとっては毎秒、立法価値”を。
しかし、自己責任を自覚する倫理的劣位階位者は今、自己が肉体生理を野放図に深呼吸させ続けての、配下の者への、認めさせ行為の真価たるや、異星人による真剣憎悪象限への羅針盤と確信する時を過ごします。
「Go aboard your pirate ship, captain.
Come on.」
シュフウヮアスルは口を大きく開く作為性と共に大声量を放ちます。
“今こそは、自己の内に存在を認める至らなさに、指を引っ掛けていく自己を、前方へ進ませいったらどうだ、自己責任で”。
隷元は挑発ではない、人生の操舵室への自己の引っ掛かり指に関する使役を感じます。
別室への移動を促された隷元は、前方に立つシュフウヮアスルともう一人、背後に立つ一人によって、囲まれます。
乱れたネクタイと髪型の隷元はよたよたとした二足歩行です。
隷元の頭は疲労していましたが、しかし飢えていました。
“Come on・・・ Come on・・・ Come on・・・ Come on・・・何という特徴的な響きなのだ。
二語の単語のあらゆる意味を余すところなく認識、そして理知的使用を予定実行が発音から伺える、いや伝えて来る。”
背後を振り返り、隷元へ入室への首仕草を向けようとしたシュフウヮアスルは隷元の表情から、集中力の指向先の存在を即座に見抜きます。
「What is bothering your concentration, Mr.President?
Do you need to heed the instruction again?
Come on.」
「W・・・WW・・・Why?
How did you detect my reiteration in my mind?」
即興の知的推論へ、僅かな満足を許容するシュフウヮアスルの口元は、冷徹な表情ににこりとした笑みを浮かべます。
「お前の顔の筋肉は歩行中も両手側の異星人文明景色に注意を奪われていなかったと見る。
私が突然振り返った際に表示されていた活力の無い目元と口元が根拠だ。
そして当該状況による緊張下に於いて、その茫然硬直視線の故を明かす理由は、その疲労困憊(こんぱい)表情に乗る二眼球の奥事態、思考への耽溺に他ならない。
題材は何か。
今までの問答は緊張の増加を齎すが故、思考の起点とはならない。
然るに先程私が発した英語発音に可能性は絞られる。
お前は私が発した“Come on”という単純な二語表現を追唱していた筈だ。
お前支配の歩行能力、鈍重水分が主なる体重、思考性癖、これらにより発生する鈍重さに関する雌雄口論事態が即時に支配愉悦で舐め溶かせない角砂糖が乗る水面上の葉は、この発音だ。
私の英語発音の珍しさが、強欲注視の正確恋愛先としての単純和菓子構造に当選し、緊張精神状態が続くお前を癒してしまったのだろう。
またその表現を舐め呑みしお前は、肉体の移動のみならず、精神緊張の弛緩をも続けてしまったようだ。
今度はそうはするな。
この部屋の内部へ進め、という意味を受け取れ。
Then I command you again.
COME ON the path ahead of you,in which your phisical metabolism should logically swims.
Your indulgence tendency in political duty is now to meet the appropriate medical symptom.
All non credited behavings of you from now would lures grave situations.」
シュフウヮアスルは"come on"の発音を異星人英語で強調して発します。
シュフウヮアスルによる分析の開陳と、怜悧な英語発音に圧倒される隷元は、そうする事で非意図的に耽溺していた精神弛緩を緊張に変えられていきます。
この推移はまた、異星人の行動羅針盤が在ると思われる真剣憎悪象限を、隷元が肉体生理で深呼吸する時でもありました。
“come”という目的語を要しない動詞、自動詞には“来る”、以外に、“行く”という意味があります。
また“come”に連なる“on”には前置詞の用法だけではなく、継続的状態の意味を示す用法があります。
“Come on”を合図に、精神的の弛緩方向へ、行き続けた、状態にあった隷元にとっての“Come on”の薬効理解を正したのは、異星人の鋭い目付けだったのでした。
部屋の奥では地球人一人が収容可能な大きさの浴槽構造寝台が薄い水色の電灯光に照らされています。
異星人により精神弛緩を正されていた隷元は水色の液体が満ちる寝台を見て、くつろぎを得る事はありませんでした。
隷元には液体寝台が見えており、この中へ横たえる自己の肉体の図絵を想像してしまいます。
精神弛緩はありませんが、緊張もしておりません。
何故か。
もういっぱいいっぱいでした。
かつても同様にこうであった、を大背景として、無思考のまま、当人も理由を選ばずのまま、何故か、軍人や政治家の失踪情報と接触しており、また、部下の放牧を通じ、異星人情報の粗雑な取り扱いへ隷元を至らせたのも、この背景でした。

立法価値

四千九十九青字


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七十面目   何故だ その一

2012年09月27日 21時00分00秒 | 投稿

(登場人物は仮名です)
隷元はくつろいでいます。
二期の任期を務めあげ一線から身を引いた彼は、
私的な時間を充実させるべくの着想の時の長さを喜んでいる模様です。
“さあ、これからはゆっくりとした日々を過ごせるな。
充実の日々であった。
満足している。
これからはいちいち部下が伝える概況報告に耳を傾ける事もあるまい。
代わりに趣味の酒と昼間までの睡眠を楽しむとしよう。”
そんな彼の日常構想をあっさりと頓挫させたのは、突然の手紙でした。
封筒を開き、手紙を抱える彼の指は戦慄で凍りつきます。
“異星人"G"だ・・・・・・・・・”。
未知である英文の書体と脳機能に言及する医学用語らしきは理解の支援より畏怖をもたらしてきます。
英語圏人の理解、総動員を要する英文法と単語性能、相互による網目状構造の葉脈の表に乗る歌い詩は、彼を茫然とさせる以前、異星人の医師がほんの僅か、英語の手書き学習を済ませた後に手書きしていました。
“貴殿、某軍事基地地下、某軍指定の機密区画へ来たるべし。
契約の一期満了を祝したし候(そうろう、です)。
未出頭にて、貴殿の政治権勢の不可解さを、この筆力は追及する。”
隷元は解釈します。
“来なければ、政治的行動はおろか私的移動すらの自由をも奪う、畏怖の圧力が立て続けに襲い掛かりくるが、無視は死”。
隷元は言葉を失います。
異星人との関係に関する自己の政治判断の記憶は、地上政務にまつわる緊張と笑顔の織り成しの結果、完全に忘却済みです。
“彼らとは悪い関係であったとは思えない。
代価はきちんと支払ってきた、と思われる。
支払いの遅延が発生したとの狼狽を耳にした試しは無かった、筈だ。
しかし何だろう。
何故一線から退(しりぞ)いた私を今になって彼らは呼ぶのだろうか。
地球人との面会はよほど重い意味が無ければ発生しないと聞いている。”
手紙に載る返信期限に判断を迫られた隷元は地下基地へ赴く事にします。
僅かな人数の従者と共に隷元が向かった某軍管轄の軍事基地では、無数人数の大尉階級兵が軍用飛行機の着陸を待っていました。
夕方六時半の僅かな日光量が照らすのは、分類先は緊張の面持ちではなく畏怖の漏れを隠せずとの、つまりは失敗中表情です。
隷元の緊張は尚更増すばかりです。
機密区画専用の移動車両が大型の車庫状へ入溝し、中を進むと道が下り斜面に変わり、緑色の光を灯す電灯が彼の戦慄の顔を数米間隔で照らすようになります。
“こんな巨大な地下構造を構築したのは一体どこの金なのだろうか。
私の在任中の予算編成には、片鱗すら見えなかった。”
今、隷元が居るのは某国、建国期に起源を遡る奇形経理神経が頭部に見せてくる肉質を伴う夢の中でした。
車両
を降りる彼へ、精悍な風貌の四人の大尉が案内を申し出てきます。
元大統領との遭遇の機に際し、表情は僅かな変化すら見せません。
緊張続きの彼は、そうした応対ぶりを驚きもしません。
精神構造がいちいちの反応を面倒臭がっている、が実相です。
隷元一行五名が車庫構造を奥に進むに連れ、
彼だけの瞳は驚愕を灯します。
無表情の大尉達を尻目に、歩みの左右側に並び立ち続ける試験管には約一米大の巨大なアメーバ形象が、生きている蛸のように蠢いていました。
“何だこれは・・・。”
アメーバの衛兵達の整列の最後尾に待っていたのは、試験管の中の漆黒の猿です。
両目が全て真っ白で、黒い毛に覆われている猿はただ凶悪な金切り声を試験管の外へまで漏らしています。
“キィーーーェエカッキィーーーェエカッキィーーーェエカッ”
尻尾が三本、腕が左右に二本、一本、顔は皺だらけで全て赤茶色の両目、見るだけで不快感を誘う鈍い茶色の毛、体長九十糎の猿が液体が満ちていない試験管の中で、空中浮遊し続けています。
物理技術を不要とした、死後科による標本化措置、こう在るべしとの命令の結果でした。
オオアリクイの顔ほど細長いタヌキ顔、薄い水色の毛、黒と白が交互なるタヌキ系の長い尻尾が二本、両目はハクビシンとの死後科による創生生物の死体を浮かせる試験管の転送含意は“超絶の怒り”でした。
この創生に於いて、遺伝子が斥力を互いに発し合っての口論を無視せしめる、体毛縫合との侮蔑的措置の果ての、眼球形成余裕段階への何らかの遺伝子、適当降臨との夜間斥候利益を内包する物体の転送先を、“他生物との無企画なる乱交属性”と怒鳴っていました。
試験管の中で浮いている死体、体長一・四米のゴリラ状生物には黒人の遺伝子が卵子に注入された結果、上下に大きく開いている顎から上下に尖る歯はかなりの白さを帯びていました。
口が開いての叫び、“黒人の退化、ゴリラの進化、これらを弁別出来ず共よ、とのゴリラ慟哭、聞けやコラっ、効けやコラっ”が響くのは某国の地下です。
黒人ゴリラ、黒ゴリ、人ラ万象時の運、黒人ゴリラ、黒ラ、人ゴリ、人ラ、ゴリ黒、黒ゴラ、レンホー(人和)。
“何なんだ・・・一体どのような製造関連利益を追求しているのだ。
それは我が国の国益に適っていると確かに判断されたのか・・・。”
彼の前で地球外の知的洗練意匠が溢れる門が慄然をまとい出すと、四人の大尉は無言で左右へ去っていきます。
隷元は今日の景色に始終圧倒され続けていましたが、誰の指示も受けずのまま、門に対する知的観察を始めます。
暫くの時が過ぎると、砂時計の中で
砂の柱が立ち上がっていくかのように、門がゆっくりと開いていきます。
「内部への進入を提案してみる。」
音声の緊張標高が一定続きとの知的企画声量に乗る英語から隷元は直感します。
“"G"だ・・・。”
彼は過去に過ぎ去った戦慄の邂逅を思い出し始め、その記憶が支配する隷元は内部への流入に身を任せます。
そして門に向かって進みいく彼の足は恐怖の震えに支配されています。
門へ近づくにつれ彼の目は、その内側で佇む地球外人種を捉えていきます。
頭部に流入してくる慄然は新たな恐怖に毎瞬変換されていきます。
“恐ろしい・・・恐ろしい・・・。”
隷元は、眼前に
四人の異星人が立つとの運命と出会うに至ります。
一人が隷元へ告げます。
「医学用語、厳正運用の果てのこたびの出会いにて、二者双方、春を分け隔てずとの肉体ホルモンの分泌模様を、知的識別せず、ただ毎秒忘我、医学状態。」
隷元は、こうした解釈を瞬時に発生させます。
“良くおいでなさったな、懸念事の首魁殿よ”。
異星人が発した英語に混入していたのは、某軍の軍事作戦の演習に伴いし自他疾走状態との間抜けさへの警戒意識への察知結果であり、隷元はこの時、知的決別の真贋段階が相手が抱く懸念に関わっているのではないか、と疑ってしまいます。
“戦闘機の離陸段階に運用される操作英語などを、何故見咎め、そして発話音声へ導入したのだろうか・・・
”。
隷元にとって異星人"G"との二度目の邂逅の時はこうした始まりました。
前回と同様に、恐怖と戦慄が彼を支配していきます。

隷元

二千七百八十一青字


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