カナダ人少女キャスリン(仮名)十六才の最後
髪は薄い金色、一つ編みに束ねた後ろ髪のキャスリンはごく普通の十六才の女子高生です。
今から約十数年前、カナダの某地方都市を歩く彼女は友人の家から帰宅する途中に誘拐されました。
これが彼女の地獄の始まりです。
歩いていた彼女は横付けにされたワゴン車の中にいきなり押し込められたのです。
中にいた三人の白人男性が静かにしろと脅しつけてきます。
キャスリンは泣き喚き、怯え続けます。
男達の怒鳴り声と少女の叫び声をはらんだ車はカナダ国内を走り回ります。
キャスリンはそしてカナダ国内で七回ほど車を乗り換える事になりました。
最後に彼女が乗った車両は大きな軍用トラックで、荷台には十数人の若い女性達が沈鬱な表情で座っています。
殆どがカナダ国籍です。
その軍用トラックに乗る際には迷彩服の軍人が数名見えました。
彼女は風貌や口ぶりから彼らはアメリカ人であると直感しました。
そして軍用トラックの行き先もアメリカ国内の地下基地でした。
彼女は恐怖で満たされた心で自身の運命の末を案じる事が出来ません。
周囲には強姦されたと思われる女性も座っています。
泣き咽ぶ被害者を見てキャスリンも恐怖が募ります。
彼女達はまだ生きており、感情があるのです。
しかし軍用トラックの行き先は無情にもアメリカ合衆国なのでした。
力を求める意志の無い欲望の奴隷の分際が異星人の科学技術に尻尾を振るために、他人の人生を侮辱する意思を誇るままの勢いがいつの間にか世界の大国を気取る傲慢さに支配されている国です。
つまり外的刺激無くしては永遠の若造国家且つ強姦国家の連中です。
誘拐の模式図はこうです。
米軍の秘密地下基地所属の法務担当者が“健康な女性を連れて来てくれ”と概括的な指示を下します。
この指示は幾重にも渡る指示階層の部下の軍人達を経て、民間の契約代行業者に行き着きます。
この業者は米軍退役者で構成され、仕事の公募はしていません。
米軍お抱えの天下り先の一つです。
この契約代行業者は米軍から受けた指示を、別の契約代行業者に引き継ぎます。
そしてその業者は、米軍お抱えの業者の依頼に従い、約六度も別の業者達に同様に指示を橋渡しさせていきます。
指示が最後に到着するのは、路上で雇われただけのチンピラ達となります。
このくどいまでの指示の連携工作は単に意思の発信源を誤魔化すためです。
米軍の法務担当者はその事を上司に厳命されていました。
命令の不履行は死です。
米軍人は連行されてきた大勢の女性を地下基地で強姦します。
理由は、契約の相手方の異星人からこう諭されているためです。
「お前達は優秀だ。
このような地下基地を短期間に構築し、これだけ大規模な科学実験施設群をしつらえた。
これだけ広大な地下空間があれば、述べたような構築物を齎した優秀な知的能力総量に見合った膨大な娯楽施設群が必要であろう。
ところでどうだ。
そんな施設群をこれから構築する事は出来るであろうか。
アメリカンフットボール場に野球場、賭博場、映画館、演劇場、歓楽街、特に酒場に売春街だ、無理であろう。
地下空間への資材搬入口はもう狭くなっている。
述べたような娯楽施設群の築造資材は搬入出来ないであろう。
しかし、地下に居る君達優秀な米国軍人達は、知的に予定した通りに構築した施設群に携わり、更に知性総量が増大したのだ。
然るに、それに比例して娯楽欲求総量も増大したと見るのが自然であろう。
娯楽を求めるのは当然であるという事だ。
ところで私達は契約通り完全に自律的な地下施設を望んでいる。
発生する支払いに対しては、私達は地下基地で稼いだ収入できちんとまかなっている。
母星の経済を乱したりはしない。
私達としては、君達優秀な米国軍人も私達と同様に規律正しい自己完結的組織を地下では目指して欲しいのだ。
そのような姿勢を学んで欲しいのだ。
何故なら、今のまま、娯楽施設群が大幅に不足している状態であると、脳内生理学的に予見出来る事とは、要するに欲求不満に起因する業務遅滞や反乱である。
このような事はあってはならない。
しかし明白に予見出来ているのだ。
然るにそれは回避出来るであろう。
娯楽施設群の追加的築造が不可能であるので、代替的手段で君達優秀な米国軍人の脳内生理欲求を霧散し、自己完結的組織の完成のために投機的邁進を見せて欲しい。
そうすれば、私達は君達優秀な米国軍人の知的総量の増大とそれに比例する欲求総量を恐れず、職務に没頭出来るであろう。
君達優秀な米国軍人の欲求総量の増大に恐れを感じた分、私達の自己完結的組織に関する規律意識は低下し、発生する支払いへの対価を稼ぐ事が出来ない事になるやもしれぬのだ。
そうなれば、不覚にも母星の経済を乱してしまうか、もしくは君達に借財をしなければならなくなる。
そうなっては、私達の自己完結的組織の意識が更に毀損してしまい、この地下基地から契約の満了予定時期以降も出て行けなくなるのだ。
予定外の追加的契約を君達と締結を迫られるのだ。
その時、君達との新たな契約は一体どうなるのであろうか。
欲求を解消出来なかった君達に落ち度があった、いや私達が事前に知性的警告を与えなかったのが悪い、くんずほぐれつのまだら模様となっている事であろう。
そうなってしまっては、異星人間契約にとって致命的なのだ。
一体どんな技術が、どの分野において、何故必要なのか、契約時に適切に書面化され得なくなるであろうと事前憶測せざるを得ないからだ。
そのような憶測が走る異星人間契約とは、双方の惑星文明にとって壊滅的な被害と運命を齎す。
故に、優秀な米国軍人よ、地下で増大した知的総量に比した娯楽欲求総量を、娯楽施設群の代替的手段で対応するのだ。」
米国軍人は異星人と相談しながら娯楽項目を網羅していきます。
酒、賭博、運動、女、音楽、映像娯楽、読書、トランプ類。
そして、それぞれは地下基地での米軍経済でどうにか処理方法がまかなわれてきます。
異星人側にきちんとこう伝えます。
「以上の娯楽について、以下のような手段で欲求を処理していきます。」
しかし、つっかかった項目がありました。
それが女です。
地下基地には女性兵が一人もいなかったのです。
同性愛行為は却下されました。
「同性愛行為の場合、地上ではそのような行為を嗜好しない兵が、知的総量の増大に比例した娯楽欲求総量で行為を好み出すようになるとは脳内生理学上、考えられない。」
手淫も同様でした。
理由はこうです。
「地下基地では、知的総量の増大により、地上にいた時よりも増大した娯楽欲求総量を備えているはずだ。
その総量に見合った発散行為を挙げるのだ。
手淫の多回数や射精後の脱力状態で欲求総量を誤魔化そうとするのは、地下基地経済を破綻させる試みなのだ。
どういう事かと言うと、まず知的総量の増大で脳内生理学的に必ず欲求総量は増大している状態なのだ。
私達異星人側は地下基地経済の円滑な完結のために、予期的投機を理知的に行う。
その際、相手の君達優秀な米国軍人側の脳内生理の状態を理知的手段で診断するのだ。
繰り返して強調しておくが、君達優秀な米国軍人側の欲求総量は増大しているのだ。
なのに、その総量に応えようとせず、総量増大以前の地上にいる頃の如くの欲求解消手段で欲求を誤魔化せば、君達優秀な米国軍人は、私達の理知的な投機を裏切る事になるのだ。
手淫という地上における弱々しい欲求解消手段は却下する。
以降、増大していくのみの欲求の処理に十分な刺激総量を与えるために、軽度の刺激である手淫の連続など、私達は待機していられないのだ。
待機時間による私達の労働資源の摩耗もあるのだ。
つまりそのような手段は私達の理知的な投機の信用に耐えないのだ。
故に初めから却下しておく。
地下で発生した強力な欲求に対しては、地上には無かった強力な解消手段を提示するのだ。」
米軍担当者は悩んだ結果、問答の末こう打ち出してしまいます。
「女性被験者死亡前に強姦を敢行する事を提案いたします。」
異星人側の担当者はこう補足します。
「それは脳内生理学的に、絶対に強力な欲求解消手段です。
ところで、性的欲求を我慢するという生理的娯楽を紹介いたします。
あなた達地球人も絶対に実行可能です。
人間は、性的欲求を一定期間我慢し続ければ、生理的快感が生まれるのです。
私達はそれを運動のような娯楽として楽しむ事があります。
平均四週間以上、ある精神状態を維持しつつ性的欲求の解消手段を全て避け続ければ精神的高揚感を味わえるのです。
如何でしょうか。」
しかし、この禁欲手段は米軍側に採択されませんでした。
理由はただ面倒だからです。
その禁欲手段の実行のためには、上層部の大勢を巻き込んだ行動項目の抜本的な策定が必要となるのです。
その間、部下達は性的欲求の解消を行えず、その事について異星人側に問い詰められ、上層部は更に難題を抱える事になります。
故に、米軍は性的欲求の解消手段として、自らの意思で強姦を部下に対し許容ではなく、指示を下したのです。
一方部下の方としては組織構造図を考慮するとその指示を断る自己裁量が厳としてありました。
強姦をしないでおくのです。
そして欲求の解消不十分による労働効率の低下という異星人側からのそしりは、労働量の増大で勘弁してもらうという手段があるのです。
異星人情報への米国の手前勝手な欲望のための率先検体を何故か義務付けられた、怯えるばかりのキャスリン達女性の一行は、労働効率の向上のためというやはり手前勝手な欲望のはけ口役も義務付けられている事を知りません。
荷台から下車後、どこかの地下基地に入構している事に気付いたキャスリンは急かされるまま無機質な医務室に集団で移動し、そこで全裸を強要されます。
彼女達は痛みを伴うほどの高圧シャワーを浴びせられた後、複数の白衣の医師による全身の身体検査と簡単な健康診断を受けます。
既に米軍人の威圧的な態度と罵声で萎縮している一行は粛々と指示に従うまま、一人部屋の区画に通され、そこで待機を命ぜられました。
キャスリンに与えられた情報は以下でした。
米国は国連の隠密命令を受けた集団心理実験を行っている。
目的の人類全体の利益だ。
突然の誘拐も心理実験の設定の一項目だ。
期間が満了すれば、帰宅出来る。
実験参加の対価は必ず支払われる。
この実験の事は親族にも一切口外してはならない。
口外すれば殺害する。
実験は政情不安定にある国家群における女性救済作戦の策定のためだ。
身体的危害は残念ながら発生するかもしれない。
個人の不満や要望は認めない。
キャスリンの一日は殺伐とした水色で統一された五畳の一間で膝を抱えて過ごす事だけです。
部屋には寝床以外何もありません。
移動の機会は厠に行く時のみで、味気ない食事は不安感を全く和らげません。
キャスリンはただ泣いて時を過ごします。
(うっうっうっ・・・辛い・・・家に帰りたい・・・
お母さんに会いたい・・・お父さん助けて・・・
誰か私を助けて・・・)
「うわーーーーうっうっうっ誰か助けてーーー怖いよーーー私どうなるのーーー。
うわーーーんダニエル、エイミー、ジェシカ助けて、お願い、誰か聞いて、お願い。
嫌よ、嫌よ、嫌よ、嫌よこんなのいやあああああーーー。」
彼女は友人達の名を叫びますが、無情にも彼女に聞こえるのは自身の泣き声だけです。
彼女には全宇宙貫通神霊能力は無いのです。
だから私、纜冠讃が異星人情報のために自国民を八百万人殺して無差別テロを企てる強姦魔共を彼女の代わりに全宇宙貫通神霊能力で貫いてやるのです。
日々を経る毎に、深い無力感が彼女を包みます。
約十日が過ぎた頃、やおらいきなり無作法に扉を開けてきたのは私服の二人の黒人でした。
二人は出だしからがさつな口調です。
「やあ、キャスリン。
俺達はアメリカ人だよ。」
「そんな悲しい顔してないで俺達と楽しい会話しようよ。」
キャスリンは突然の来訪客に驚きを隠せません。
「何なのですかあなた達は。」
「俺達はここで働いているアメリカ兵なんだ。
国連の依頼に協力する仕事に従事している。
こんな湿気ったところ居ると気が滅入るだろ。
だからみんな我慢せずに春を求めるんだよ。
だから俺らは笑顔なんだよ。
キャスリン、君も春を求めろ。
まだ若いだろ、十六なんだろ。
人生これからだ。」
この二人はその少女が絶対に生きて帰れない事を知っていました。
死にゆく人間にかける優しさよりも、欲求の解消による労働効率の向上を求めているのです。
そもそも、彼女が死ななければならない理由も米国の手前勝手な欲望が理由であると何となく知っていました。
アメリカ人達は慣れた口調で彼女を矢継ぎ早にまくし立てていきます。
ただ強姦するためです。
「君どっから来たんだい。」
「彼氏居るかい。」
「君は処女かい。」
「君は手淫はしているかい。」
「君は陰毛が生えたのはいつかい。」
「君は同年代の男性器に興味無いかい。
嘘を言ったら殴るよ。」
「そうか、興味あるのか、じゃあ見せてやろう。」
「君は今女性器が湿潤していないかい。」
「何、嘘を言ったな。
殴られるのは嫌だろうから、服を脱がしてやろう。」
「君は腋毛を剃っていないな。
ダメだな。
代わりに陰毛を剃ってやろう。
身だしなみを教えてやる。
地下で春を求める十六才はこうしておくといいのだ。」
「君は睡眠欲はあるかい。
じゃあ、性欲もあるな。」
「取り合えず足を開いてみよう。」
「何、手淫をするのが嫌だって。
ならば性交したいんだな。」
「君は好きだった男の子に助けを求めているが、春を求めているんだろう。
どっちが強い欲求なのかい。」
「そうか、男の子に助けて欲しいのか。
でも君は嘘を言う子だ。
だから春を求めている子だ。」
「君は性交したいんだろう。
嫌だと言っても嘘を言う子だから、つまり性交したいんだろう。」
「あーもうめんどくせーや。
おら、股開けやコラ。」
「おう兄弟、てめー先取りかよ。
処女なんだもんで一発目が肝心だろ。」
「グヒャヒャヒャヒャ」
「イヤーーーーーーー止めてーーーーーーーーーーーー誰かーーーーー痛っ・・・ぐうっ・・・うぐぅあっ・・・ぐふぇーーーーーおげっ・・・・・止めっ・・・・助け・・・・うわーーーーーーーひぃーーーーーうぇーーーーん助けてーーーーーーいやーーーーー神様ーーーーーーーーー助けて下さーーーーーい」
「たまんねーよこの子、ウッヒョーーーーーー。
さいっこーーーの締まり具合じゃねーーーかコラ。
この前のケベック産より効くぜ。
まるでゆで卵の白身が高圧力で締め付けてくるみてーだぜコルァーーーー。」
「おい兄弟はよ代われや。
口はもう飽きたんだわ。
何か鼻水がキンタマの袋に当たってくすぐってーんだよ。」
「ちょい待てや、体位変えて味合うからよ。」
「おめー肛門舐めさせるの好きだったろ、ケツ拭くのいつも適当な癖によ。
はよ代われ。」
「ああ何せケベック処女のウォシュレットは効くんだよ。
ケツ毛の毛根まで掃除される快感が癖になるんだぜ。」
「だからっててめー糞拭かねー義理はねーだろ。」
「めんどくせーんだよコラ。
手淫も仕事もとにかくめんどくせーんだよ。
さっさと女にブチ込んでケツはケベック女の口で掃除だコラ。」
「御託はいいからさっさと代われやコラ。
時間稼ぎしてるだけだろうがコラ。」
「ウッヒョーーばれちまったーーーーー。
と思った矢先に・・・ドッカーン・・・・バタッの映画ーーー。
主演ウィル・スミスーーーー。」
「監督は誰だコラ。
タランティーノか。」
「ちげーよ、正統派の男女恋愛ものだ。
そんだもんでジェームズ・キャメロンだコラ。」
「グヒャヒャヒャ、確かにすげー圧力だコラ。
処女はすげーな。
タイタニックの車でのファックみてーにガッコンガッコン揺れるの連想してしまうぜ。」
「あ、そーだあの監督ってカナダ系だっけ。
だからそこら辺の小聡い設定はこのキャスリンちゃんの膣圧にも反映されちまってんよ。
俺はセルフの意思でキャスリンの顔面にケツを乗っけてガッコンガッコン揺れてるんだがな。」
悪夢は延々と続きます。
彼女は絶叫の疲労と激痛、心理負荷で放心状態となってしまいました。
輪姦の後は全身の皮下出血、鼻血、外性器及び内性器裂傷、嘔吐による胃痙攣、四肢の捻挫が彼女に残されています。
彼女はもはや泣く事も出来ず、全身を弛緩させたまま死体のようです。
阿鼻叫喚の日々がこうして始まりました。
以降四ヶ月の間、アメリカ人達は代わる代わる彼女を強姦し続けました。
彼女の心理は異常を来し、無気力、無感動の人形と成り果てたにも関わらず、アメリカ人達は構わず陵辱に訪れます。
彼女は妊娠しました。
ある日、彼女はあるアメリカ人にこう言うよう強要されます。
「私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。
私はこれから死ぬんだ。」
この言葉を十六回発言しました。
この命令の出元は異星人の指示でした。
彼女は処断が決まりました。
精神の失調が確認されたのを見た異星人は、別の試験に彼女を回さず、膨れ気味のお腹と共に、ある処理工程に送致する事にしたのです。
それは、彼女の身体を完全に固定した上での被虐状況下における身体情報の採取のためです。
特殊状況下で血中ホルモンの変動、心拍数、興奮度、恐怖度、絶望度を示す脳波の測定がなされます。
方法は何と、動けない被験者を生物兵器が獣姦するというものです。
この状況理由は異星人が入念に編みしめた論理が背後にありますが、今は省いておきます。
この実験でアメリカ人医師が採取する身体情報は全て異星人が吸い上げ、ある目的に用いられます。
それは異星人契約に於ける不手際の処罰のため、そしてこの地下基地で強姦を働いたアメリカ人達の処刑のためです。
契約相手の異星人の心にあるのはアメリカ人に対する筆舌に尽くし難い憎悪のみでした。
つまりアメリカ人達は分かっていなかったのです。
強欲さの達成のために犯した罪を強欲さで糊塗しようとしても、八百万人も自国民を殺し、地球と宇宙中に過去の犯歴の詳細を喧伝されてしまうのです。
誘拐した被害者を強姦する事で労働効率を向上させるなど、私に関する乱痴気騒ぎと傾向は同じなのです。
時代を変えても変わらなかった裁量とはつまり、欲望のために隙あらば他国に犯罪を働く強欲さなのです。
自らの意思でそう示しているのです。
故に本心なのです。
アメリカという国は欲望の為に働く他国への強姦が異星人情報経由の正当な国益となると自らの意思でほざき上げて憚らないのです。
キャスリンは緑色の円形の門に全裸で括りつけられます。
頭部には各種電極が当てられ、腕には注射針が刺さっています。
この状況にもはや緩慢な恐怖心しか感じられない彼女の不健康な心理はただ状況の惰性的知覚で外界世界の情報を探る事で平常心を図るような、惰性的な心理がただ働いているだけです。
しかしその内に、彼女の前に見える奇怪な緑色生物がのったりと二足歩行で寄ってくるに従い、彼女の両足はゆっくりと開脚され、固定されてしまいました。
彼女の心理が惰性的な働きを止めてしまったのは、緩慢な恐怖心を感じられなくなったためです。
理由は一つ、急激な恐怖心の発生でした。
私に霊視出来るのは、顔の上半分はまるでフクロウと人間の合いの子で、口は大きくアルファベットの“U”の形象を描き、全身は緑色の体毛で覆われ、身長は約一メートル、手の甲の先にはいきなり鈍く尖った約三センチの爪が四本生え、足はカラスに似ている生き物です。
翼も知能も無いに等しいこれは、攻撃能力はありませんが、特定の状況下で凄まじい恐怖心を人間に与える生物兵器とされます。
名前は“ドュフカース”と言い、鳥人間という意味です。
ドュフカースは泣き叫ぶキャスリンに近づくと本能の赴くまま股間を彼女に近づけます。
すると、鈍い光沢を持つソーセージのような性器が緑の体毛から現れ、ドュフカースは無言でキャスリンを獣姦し始めました。
別室のアメリカ人医師は、後ほど自身がこれ以上の恐怖と激痛を喰らう事を露知らずただ淡々と身体情報の採取に努めています。
「ウギャーーーーーーーウギャーーーーーーーーーイヤーーーーーーーーー気持ち悪いーーーーーーーいやーーーーーーーーーーーー止めてーーーーーーうぐぇやーーーーーーーウッギャーーーーーーーーーオウゲッ・・・オウゲッ」
彼女は恐怖で胃が痙攣し、嘔吐し始めます。
アメリカ人医師は理知的に彼女の放つ脳波を採取し、恐怖と性的快楽、緊張がいかにして惰性的な波形を描き出すかを知ろうとしています。
ドュフカースは射精を済ませると後ろによろめき、脳が受信した異星人からの電子指示に従い、別室にのったりとした動作で戻っていきます。
キャスリンは白目を向いたまま鼻血と吐瀉物でまみれ、失神しています。
医師は操作盤を操作し、円形の磔の門を反転させ彼女の体を空中で床と平行にします。
彼女を吐瀉物で窒息させないためです。
その医師は各種医療診断で、被験体としての彼女の価値を冷淡に見切り、処断する事にしました。
方法は耳の穴に注射針を刺し、薬液を脳に注入する処理方法です。
理由は薬液による脳の変質具合に派生する医療情報を採取するためです。
この注射の結果、彼女は死亡しますがそれまで約八十分ほど何と脳腫瘍ほどの激しい頭痛を空中で苦しむ事になります。
注射針を耳に突き刺す途中で失神から目を覚ましたキャスリンは目を全開し、絶叫します。
「ドュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ」
対する医師は無言です。
「イヤイヤイヤイヤイヤ怖い怖い怖い・・・アッ・・・・・・・・ッ」
彼女は襲ってくる未経験の激しい頭痛で悶絶します。
しかし頭を抱える手すら磔になったままです。
その姿のまま彼女は悶え苦しみ続け、薬物による急性脳浮腫により死亡しました。
目、鼻、耳、口から出血をしつつ、下半身は汚物にまみれ、人間としての尊厳は顧みられずにこうして短い一生を終えたのです。
彼女の遺体は検体のために完全に解剖され、各内蔵器官は詳細な医療調査に回され、燃やされました。
廃棄される際は、隙間のない鉄のホウキのような大きめの道具が彼女の遺体の残骸を一箇所にかき集めていきました。
死の間際に彼女の頭をよぎったのは、母親との何気ない会話や友人達との運動、通学路で気に入っていた花壇、いつかの夕暮れに見た紫色に染まるカナダの美しい空です。
(ああ、お母さん助けて。
お母さん助けて。
お父さんの肩、がっしりしていたのを思い出した。
うう、あの頃幸せだった。
あの頃に戻りたい。
何も考えず学校と家を往復するだけだったあの頃に。
どうしてこんな事になってしまったの。
うう、分からない。
どうして、どうして、どうして。
学級の友達達、今頃何して・・・
うふふふ・・・あひゃひゃひゃひゃひゃひゃっふっふっふーーーぅぅぅぅぅ)
母親は母国で娘を心配するのみです。
(あの子どこで何をしているかしら・・・
考えるのも辛い・・・
もう恐らく誰かに犯されて殺されているかもしれない・・・
ああ・・・どうすればいいの・・・辛い・・・
もう何も考えたくない・・・
でも・・・キャスリンを忘れられないの・・・ああ・・・どうすれば・・・)
力が無ければこんな目に遭うのです。
だから力を求める意志に目覚めるのです。
私はもう心に深く決めています。
力を求めるだけの魔物などには絶対に負けないという事をです。
私は弱々しい汚らしい強姦魔のアメリカ合衆国如きには絶対に屈する事はありません。
散らされた楓
九千五百九十六青字