らじかのよかん

ふっ急になんかわかんないんですけど↑

連作アクション感想文『おはなし! コウペンちゃん きみに会いにきたよ』深山くのえ著 小学館ジュニア文庫 発行所小学館 2018年10月03日初版第1刷 2019年03月31日第3刷 700円+税

2022年09月22日 | 書籍
五編入り短編集である。


コウペンちゃんはペンギンの小さいのでどうかするとピンク色だ。
その他コウテイペンギンだのシロクマ(正しくはホッキョクグマ)だの小鳥だのが、主人公が一人のとき又は隣室の婦女子と二人だけのとき、やおら出てきて、口をきいたり飯喰ったりする。
体長は文庫本~新書版程度であろう。

二編読了後に、
コウペンちゃん等はもしかしたら主人公ががんばっているとき出てくるのではないか、とおもいカヴァーをよく見ると
---引用
…コウペンちゃんが「えらい!」とほめにきてくれて!? がんばっているすべての人におくる、かわいくて泣ける5つの癒やしの物語。
---引用終わり
やっぱり。

更に、コウペンちゃん等が出てきたとき、主人公がおどろかない。
こんな感じである。
---第1話 私の、色 引用
気がついたら、文庫本タワーの陰から、小さくて丸っこい動物が、顔を出していた。
「……え?」
何これ? ペンギン?
短い足でちょこまか歩いて、灰色の羽をぱたぱた動かして。
文庫本タワーのあいだを、行ったり来たり。
それが、一匹、二匹、三匹――
「えっ? …え? え?」
びっくりして目をこすってる間に、どんどん増えていく。七匹、八匹、九匹。
---引用終わり
この手のものを見た場合、アル中の幻覚が真っ先に浮かぶハズであり、酒を飲まない本作品主人公達の場合には心当たりがないので、これはもう発狂したと考え戦慄しなければならん。
ピンクだし。
「丸っこい動物」つのすげえな。
こーゆーの見たら、まずは物とおもうのでないかい。
びっくりして目をコスルかね。
びっくり→アドレナリン上昇→瞳孔散大→だから「目を見開く」ですな。
後述の、のび太も参照

ここで、いきなり変なのが出てくる話として、
東アジア諸国で大人気、
『ドラえもん』藤子不二雄著をみてみよう。
ピンクのコウペンちゃんも青いドラえもんも、飯をよく喰うからね。
同じようなもんだ。

ご存じのごとく、のび太は「がんばらない」のが特長であり、ドラえもんの道具は主にナマケルために使い、座敷に寝転がりマンガ読むのが趣味と云えば趣味だが、これとてすぐにあきてしまい昼寝になる。
なお、ドラえもんが四次元ポケットから出す道具はタダではなく、月末になると未来デパートから請求書が来る。
「もう、のび太君がイロイロ出させるから……」と短い腕で頭を抱えるのである。

『ドラえもん』初回は1970年01月号だから正月号だな。
小学館発行『よいこ』『幼稚園』『小学一年生』~『小学四年生』の6誌に発表されている。
それぞれみてゆく。

『よいこ』読者は保育園かな 1970年01月号小学館発行
のび太が部屋に居るとやおら机の引出しが開き、のび太の孫のセワシが
セワシ「あけましておめでとう」と云いながら、

ドラえもんはニコニコしながら出てくる。
のび太は反射的に引出しに背を向け、両腕を伸ばして逃げだそうとする。
セワシ「おとしだまに どらえもんを あげる」
のび太「いらないよ そんな へんなの」
ドラえもん「ともだちに なろうよ」
のび太「ひきだしから でてくるなんて きもちわるいや」
部屋を脱出して一階のテレビの間へ。
のび太「そばへ くるなっ」

『幼稚園』1970年01月号小学館発行
机の前の椅子に腰掛けていると、引出しから
セワシ「こんにちは」と云いつつ、ドラえもんと共にでてくる。

のび太は腰掛けたママのけぞるから、椅子が後へ倒れそうだ。
セワシ「この どらえもんを あげる」
のび太「いらないよ、そんな もの」
              ↑「人をナンダとおもっているんだっ」って怒りそうだな

『小学一年生』1970年01月号小学館発行
椅子に座っていたのび太を押しのけるように引出しが開き、
セワシ「もっとしっかりしなきゃ、こまるな」
ドラえもん「ほんとだよ、のびたくん」

椅子を放りだして腰を抜かし、引出しの二名を指差しながら
のび太「な、なんだきみたちは」
全身震えている。
セワシ「ぼくはセワシ」
ドラえもん「ぼくドラえもん」
        ↑答えになっていない。

『小学二年生』1970年01月号小学館発行
引出しを開けると半球状のものが出てきて
のび太「?」
半球状はドラえもんの頭部で、
ドラえもんとセワシは手を挙げてあいさつしつつ
セワシ「あけましておめでとう」
のび太「アッ!!」

のび太は椅子を放りだし驚愕している。

『小学三年生』1970年01月号小学館発行
机に背を向けたとき、やおらドラえもんが出てきて
ドラえもん「オッス」
びくっとするのび太。
ドラえもん「きみがのび太か。ぼくドラえもん」

と、のび太の肩を叩く。
恐怖のあまり絶句するのび太。
ドラえもんの「オッス」と「きみがのび太か」から、
この時には未だドラえもん≠親戚のおばさん、とわかる。
後に、ドラえもん=親戚のおばさんとなる。
これが東アジアで人気の核だ。

『小学四年生』1970年01月号小学館発行
引出しを開けてやおら出てくるドラえもん。
ドラえもん「ぼくだけど。気にさわったかしら」
のび太「ワッ」
飛び上がるのび太。

のび太「だっだれだっ!? どこからきたんだ。なにしに」
完全に錯乱している。

『よいこ』と『幼稚園』ではドラえもんを「もの」と認識し、
『小学四年生』で「誰」と認識するのも面白い。

また『小学一年生』では、
セワシ「もっとしっかりしなきゃ、こまるな」
ドラえもん「ほんとだよ、のびたくん」
と、叱責しているのもいいね。
親戚のおばさんであるドラえもんは、小言も云うが世話も焼いてくれるのだ。
温泉旅行に行ったときには、ドラえもんがのび太の背中を流してたっけ。

このように、急にへんなのが出てきたら
・恐怖に震え
・あげると云われても「いらない」と云う
のがまあフツウであろう。
この辺コウペンちゃんは一考の要有り。
ドラえもんで明らかなように、かわいいから/小さいから→おどろかない、ということにはならない。
古来アル中の幻覚では、小さな大名行列だの、小さなピンクの象だの、アリに代表される蟲の行列のたぐいを見ると云われる。
真偽の程は不明だが。

再度になるが、
主人公が「がんばっている」前提もいかがなものか。
中学生~古くはBG後OL又はヤングな勤め人であるから、読者もその辺の想定であろうが、
読者は必ずしもがんばっている人又はがんばっている自覚の人ばかりではあるまい。
本例の如く「がんばっているすべての人におくる」に注意を払わずうっかり本編を読んでしまうと、いやーな感じがするのだ。

更に、話を春で始めて都合五編なのだから
春,夏,秋,冬,春 にしたほうがよい。
    主人公 季節  所感
第1話 中一 GW前後 水羊羹が出てきたので、てっきり夏だとおもった
第2話 BG又はOL 不明 アップルパイに固執してるのでなんとなく秋の感じ
 主任さんが主人公にハラハラを行っているようにみえる
第3話 小五 08月31日~09月01日 もう少し夏の終わり感が欲しいなぁ
 夏の終わりで、夏休み終わりで、転校で、あいさつの満貫だからな
第4話 高二か? 不明 遠足だから春か秋か? 冬の感じはせんとくん
第5話 勤め人 春 もうすぐGWと云っている
うーん。

季節感描写の一例↓
『連作アクション小説 東名高速に死す』第1話『腐肉獣(ハイエナ)の狩人』大藪春彦著 光文社 1970年11月10日初版発行 380円

書き出し部
---引用
流れる初夏の霧をシビエ四五の沃素フォッグ・ランプで切り裂き、西城秀夫の運転する右ハンドルのB・M・W(ベー・エム・ヴェー)二〇〇二TIのラリー・ヴァージョンは、高名高速道路中で最もカーヴの多い箱根の山中を、平均時速百七十キロほどで楽々と飛ばしていた。
---引用終わり
『処刑軍団』大藪春彦著 1978年03月光文社 1983年08月15日徳間文庫 徳間書店 380円

書き出し部
---引用
赤坂の高台に威容を誇るホテル・マジャスチックは、地下にも広大な駐車場を持っているが、出入りの車は二千坪を超す、前庭の無料駐車場のあいだを通るようになっている。
異常乾燥の寒さに加えて風が吹きすさぶその夜、ホテル・マジャスチックの無料駐車場に、一台のスカイラインGTと、もう一台のトヨタ・カリーナが、ときどきエンジンを回して、ラジエーターの冷えを防いでいた。
---引用終わり
イロイロ云われるが、大藪春彦の設定,描写は実にすばらしい。

結局コウペンちゃん、
急に出てきて、ぶつぶつ云い、飯を喰うだけで、
ドラえもんの如く手伝ってくれたり道具出してくれたりしないんだよねぇ。
ならばネコと同じではないかなどと云ったらいけません。
ネコは飯喰うだけで、四の五の云わないのよね。

あっ。
コウペンちゃんの「コウペン」は、コウテイペンギンのことだな。
連作アクション感想文書くまで気がつかなかったゾ。

おしまい

追記
コウペンちゃんはすんげえ有名らしい。
エが先で、軽小説は後。
コウペン電車もある。
コウペンはコウテイペンギンで、肯定ペンギンを含意、だそうな。
まったく気づかなかった。
本作品が軽小説であることも、今知った。
もしかすると「おはなし!」というのが、軽小説を表すのかもね。

ヒペンちゃんシリーズというのがつくれるな。
一人の時にやおら出てきて、いちいち否定的なことを云うの。
例示
「貶しに来た」
「余計な手出しするな」
「片付け程度が自慢なのか」
「泣いてもどーにもならない」
「リンゴケーキ喰いたいくせに、ええカッコしいでコドモにゆずっただろ」
アブナイあぶない。

追記その2
コウペンちゃんは、マンマ
『妖精配給会社』星新一著 の「妖精」ではないか。

だからイヤーな感じがしたのだ。
『妖精配給会社』の妖精の場合は当人ががんばっているか否かを問わず、その自覚も問わず、甘言を弄するわけだが。
むしろこーゆーのは、
客観的には違っていても、
「不明な原因で、がんばっていると自覚している人」により大きな効果を奏するハズだ。
例示:「専門家」つーのがいて、口からでまかせを言い続けハヤ二年半。
そいつらにはコーペンちゃん出てくるが故、まったく減力しないのだ。
「せんもんかでエラーイ!」
「断言して、えらーい!」
「そのままのキミでいいんだよ!」
「カガクのこと考えてあげられて、えらいんだよ!」
「えらーい!」
SSN等も、まあ妖精ですな。
すると脳外か。

幇間ならよかったのに。
こっちは有料だから勘違いしなくて済む。

外見などを比較しよう。
コウペンちゃん
・体長 10~15cm位
・おおむねペンギンぽい
・白と黒と灰色 一匹はピンク
・主に「エラーイ!」と褒める
(SSNの妖精たちはこの程度だな)
・かなり飯を喰う(ドラえもん並)
妖精
・体長 リス程度
・体毛 地味な灰色 ミンクの毛皮に似た感触
・翼が有り少しだけ飛べる
・雌雄の別無し 単為生殖
・卵生
・宇宙から来たカプセルに卵が入っていた
・人の言葉を少しだけ話す
・エサはニンゲンの食べ残し(残飯以外は食べない)
・肉は食えるがマズイ
・毛皮も弱すぎで価値無し
・一切労働はできないし放っておくとナニもしない
・捻ると即死する
・卵を産むなと云うと産まない
・ペットとして最高(ねこも太刀打ちできず)
・つねに人のきげんをうかがっている目つき
・耳の奥をくすぐるような声
・たえず単純明快なほめ言葉を発する
(といっても、比較的長文を話すんだけどね)
・言葉はしゃべるが頭はからっぽ
・持ち主に逆らうこと無し
 中略
・たとえ妖精が出現しなかったとしても、どうせ、これに似た世の中になって行くのだ。

惨憺たる結論になった。

------------
以上約3000文字(追記除く)。
引くところを短くすると、400字×5枚=2000文字程度になろう。
所要1時間45分。
ドラえもんで盛り上がらなければ、およそ1時間であろう。

と一時はおもったが、たちまち全部で5600文字なので、連作アクション感想文部分が4500文字くらいか。
ドラえもんと大藪の引いたとこを除き、追記無しでだいたい2000文字である。
わーぴろだのコンピュータだのを用いて下書きし、らくちん編集したのち、要部のみ原稿用紙に手書きしたらよろしい。

妖精配給会社との類似に気づき追記その2書いたら
7300文字になった。
主たる論点を『ドラえもん』でなく『妖精配給会社』にし、
大藪春彦の例も削除し、
2000文字に収めると、迫力ある連作アクション感想文になるゾ。
早速書こう。
「書けてエラーイ!」

これから
大藪春彦著『処刑軍団』1978年光文社 1982年徳間文庫

を読むのだ。
初っぱなから
世界キリス卜教幸福追求協会と教祖天聖君と国際統合連合と、全国公営賭博福祉協会と終身會長の葉山と、福本首相と沖山派政治家と、親韓派の福本政権になって息を吹き返した関東連盟と、L28をボア・アップして三・二リッターにスケール・アップしボッシュの燃料噴射装置と排気圧利用のターボ機構を組み込み無論排気ガス浄化装置は取り外した特殊チューンのスカGと、十八R-GUを二・四リッターにボア・アップしたD・O・H・C(ダブル・オーヴァ・ヘッド・カム)のエンジンにボッシュの燃料噴射装置と排気圧利用のターボ機構を組み込み無論排気ガス浄化装置は取り外したカリーナGTと、AR十八自動ライフルと、
が出てくる。
後に、天下統一会と統和相互経済研究所と會長兼所長の山内も出て来て札束を積み上げ天下統一会の宗教法人化を願い、新世界コンツェルンが韓国の工場で生産している五十口径――口径〇・五〇インチ――ブラウニングの水冷重機の改造型
も出てくる。
『処刑軍団』の連作アクション感想文は、めんどくさいから書かないわ。

追記その2によって
星新一の作品集Ⅴ『おせっかいな神々 妖精配給会社』星新一著 新潮社 1974年10月25日発行 2刷1975年12月20日 800円

もあわてて読まないと。
『おせっかいな神々 妖精配給会社』の連作アクション感想文は、めんどくさいから書かないわ。

もちろん
『連作アクション小説 東名高速に死す』第1話『腐肉獣(ハイエナ)の狩人』大藪春彦著 光文社 1970年11月10日初版発行 380円

も読むのだ。
『連作アクション小説 東名高速に死す』の連作アクション感想文は、めんどくさいから書かないわ。
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