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「つしま」出航~日向灘・掃海隊訓練

2015-12-25 | 自衛隊

さて、本日予定されていた「えのしま」における訓練見学は
恙無く(厳密に言うとないわけではなかったんですが)終わりました。

参加者の一部ができるだけ早く帰港をしたいと注文を出したため、

本来4時の帰港予定が大幅に繰り上げられて2時半になったのは残念でしたが、
海上で接舷した「うらが」に乗り移りヘリの着発艦や艦内を見学する、
という当初の予定が全てキャンセルされてしまったからには、
ヘロキャスティングを繰り返し見学するくらいしかすることはなく、
これは仕方がないことであったとしかいえません。



帰路、行きには気付かなかった洞窟を見ました。



あまり綺麗にくりぬかれているので、とても自然にできたものとは思えません。
中は洞窟が奥まで続いているようなので、もしかしたら防空壕として
自然の岩を爆破して作られたのかとも思われますが、どうなのでしょうか。



艇長はずっと艇長席。
ホームスピードと言いますが、気のせいでなく朝より早く港に近づいているようです。



先ほどと同じメンバーですが、訓練が終わると皆再び作業着とジャンパーに着替え。
いつの間にか司令席には掃海隊司令が座っています。
なんとも言えないまったりした空気が流れ、わたしは艦橋と士官室を行ったり来たり。

今朝出航した港が士官室のモニターで近づいてきたことがわかり、
入港の様子を取るために甲板に出てみました。



謎の構造発見。
赤い旗とか緑十字の旗とかがありますが、何にするものかわかりません。



 「ASAHI OCEAN」という第一中央汽船のばら積み貨物船が停泊していました。
コンテナを使わないで、素材をそのまま運搬する船、という定義なので、
「ばら積み船」というより、「BULK CAREER」の方がわたしにはピンときます。

以前もお話ししましたが、アメリカの幼稚園の整理引き出しなどには、
「bulk」と書いていればバラバラな小物が収納されているものでした。
スーパーマーケットで「bulk」は、粉やお米、お菓子、シリアル、オイルにビネガー、
紅茶はもちろん洗剤の類まで量り売りしているのをこう言います。
(ちょっとしか食材が必要でない短期滞在には本当に便利)




ここは地図によると「日向製鋼所」ですので、もしかしたら「アサヒオーシャン」は
鉄鋼石を運んできたのでしょうか。
4基の大きなクレーンがピタリと同じ向きに揃って綺麗です。



この穏やかな海面を観よ。

港内にはいると、とりあえずうねりは無くなります。
相変わらず風は強く、外にいると辛いのは変わりませんでしたが。



というわけで、今朝出航した同じ細島岸壁に帰ってきました。
すると、一足先に訓練を終えたのか、今朝は訓練に出ていないのか、
「つしま」が朝と同じ位置に停泊しています。



「つしま」艦橋には、艇長ら操舵室の面々が立ってお出迎え。



手を振っているお二人をアップ。
左の1佐は、この出で立ちといい、雰囲気といい、掃海隊らしくないというか・・。

ここで大胆な予想をしてみますが、この1佐は横須賀に配備されている
海上訓練指導隊群(JMSDF Fleet Training Command) 、FTGの司令、あるいは
主席幕僚(多分こちら)ではないでしょうか。

ミカさんと確か「ぶんご」を見学している時に、今回の訓練に横須賀から
そのFTGが来ている、と聞きました。
ちょうどゴミのチェックをしていた黒い服の集団がそうです。

ちなみにこの「戦術競技」の様子が、自衛隊のHPに掲載されていました。

機雷艦艇戦術競技

NAVCOMEX 303MODで、信号旗を画像の手元がぶれるくらい
素早く掲揚している様子や、献立チェックしている様子がみられます。


で、このFTGですが、彼らは訓練終了後、このまま「つしま」に乗って横須賀まで帰るのでは?
この予想、かなり自信があるんですけど、誰か正解をご存じないでしょうか。



「つしま」を見ているうちにも、わが「えのしま」の入港作業が行われています。
雲ひとつない青空に強い風によってなびく旭日旗と司令官旗が美しい。



朝、おとなりの「ちちじま」が停泊していた岸壁に今から接岸します。
「サンドレット」という言葉を覚えたばかりのわたしとしては、
ここでサンドレットの使用状況を写真で確かめることができて嬉しいです。

「えのしま」から岸壁に向かって投げられたサンドレットの錘
(投げやすいようにアイスクリームコーンのような形をしている)に向かって
脱兎のごとく駆け寄る、他の掃海艇から派遣されてきた乗組員。

こういう時に、入港作業をお互いに補完しあうのが艦隊勤務です。

この時に、司令と話をしていて、

「もし岸壁に誰もいなかったらどうするんですか」

と聞くと、

「そのときは泳がせてでもなんとか岸壁にいかせます」

とおっしゃるので、そうかーやっぱり大変なんだなーと納得していると、

「というのは冗談ですが(冗談だったんかい)、船を出すこともあります。
掃海艇というのは自己完結できるんですよ。
スラスターが付いているので曳船なしで着岸できますしね」



サンドレットの先を確保したら、もやい杭まで持っていきます。



この画像で気づくのですが、サンドレットの部分の索は大変細く、
右の隊員が扱っている部分はそれより太いことです。



さあ、ここでこの二人の大立ち回りが始まりました!
こうやって見ると岸壁の上でスキップしているようにしか見えませんが、
索を持ってできるだけ遠くに走り、杭とつなぐ部分まで索を引っ張っているのです。



「まだ走るんですかああ!」「まだだっ!まだ終わらん!」



躍動感あるこの走りをアップでお届けします。



というわけで、やっとのことで太いもやいになりました。
岸壁には「えのしま」のスラスターの立てる白い波が当たっています。
艦体が岸壁に近づくと、岸壁の高さを超えて波が跳ね上がったくらいです。



無事に輪っかの先を確保して舫杭に繋留完了!



と思ったら、岸壁の上をダッシュだ!

お節介船屋さんのコメントに、掃海艇のスラスターは「水噴射式」とありましたが、
このまるでジェットバスのような波を見ていると納得させられますね。



こんどは後ろの繋留をするために走って行く二人。
人数が少ないと大変だー。



いつの間にか三つ目の杭にも舫がかけられています。
後ろでは一人で隊員が作業をしていたようです。



「えのしま」甲板後方越しに「つしま」を望む。



と思ったら、こちらでは「つしま」が出港を行うようです。
今まで「えのしま」の入港を支援していた二人が「つしま」の二人と合流して・・・、



岸壁にきちんと並んでお見送りを行います。
こういう、海軍時代からの慣習と思われる礼式を目にすると嬉しくなります。


で、ところでこの隊員たちは一体どこの船の人?




おっと、「つしま」は掃海「艦」なので、曳船が必要だ!

何回か前のエントリで「意味なくね?」と不用意な一言を出してしまいましたが、
それも、この光景を見ながら、司令が、

「スラスターの大きさが掃海艦は掃海艇と同じものが一つ付いているだけなので、
掃海艦の出入港には曳船が必要になってきます」

とおっしゃったことからでした。
どうせなら掃海艦も自己完結できるように、もう一つスラスターつけてあげようよ!
と思ったのですが、やっぱりご予算とかの関係でしょうか。



いくら掃海艇より大きいといっても、掃海艦。
こうしてみると曳船より一回り大きいだけという感じです。
頑張れば曳船なしで自己完結できそうに見えるけどなあ。




「つしま」防眩物収納中。



これから横須賀に帰れるのだといいけど、まだ訓練終了まで4~5日あったので、
訓練に行くところかもしれません。みなさん頑張って下さいー。



「えのしま」が入港するのとまさに「入れ替わり」という感じで出港していく「つしま」。



そしてお仕事を終えた曳船の「ほそしま」さんもお疲れさまでした。
まあ「ぶんご」や「うらが」を引っ張るのに比べれば楽勝だったと思いますが。


というわけで、「えのしま」が着岸を済ませました。
わたしたちは控え室の荷物をピックアップして下船となります。


続く。 


 



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7 Comments

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ASAHI OCEAN (お節介船屋)
2015-12-25 17:12:16
ASAHI OCEAN
エリス中尉ご明察のとおり
2013年函館ドック建造 パナマ船籍
2万総トン 30トンクレーン4基
ご指摘のとおり鉄鉱石を運んできたか、又は鋼材を北米メキシコに運ぶための搭載ではと思います。
もし北米航路であれば帰りは穀物ではと思います。
中国の景気に翻弄されています。鉄鉱石は中国が輸入したものを投げ売り状態ですので荷動きは停滞ぎみです。

第1中央汽船は国内5位の海運会社ですが中国の景気減速から石炭、鉄鉱石運搬が減少し、大阪商船三井船舶から300億円以上の支援をうけましたが今年9月に経営破たん。
民事再生法の適用を受けるようです。
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日向精練所 (お節介船屋)
2015-12-25 19:29:01
住友金属鉱山系列日向精練所
インターネットで調べましたらステンレス鋼の原料「フェロニッケル」の生産でした。
インドネシア等からニッケル鉱石を輸入していますのでニッケル鉱石の陸揚げでしょう。
鋼材の積み込みではなかったようで訂正します。鉄も要りますので鉄鉱石かもしれません。

謎の構造
海底地質調査のボーリング用鋼製櫓でしょう。
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もやい取り (雷蔵)
2015-12-26 05:14:24
すでに自衛艦が入っている場合は、その船からもやい取り作業員が出ます。広報の場合は地元の地方協力本部(地本)にお願いすることもありますが、支援者がいない場合は、搭載艇で乗員を先に行かせて、もやいを取ってもらいます。

1佐の人は訓指群かもしれませんね。練度評価が仕事なので、船が横須賀に帰る途中も評価される訓練があるなら、乗って行くと思いますが、そうでないなら、居候なので、細島で降りて陸行ではないかと思います。
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皆様 (エリス中尉)
2015-12-26 12:02:00
お節介船屋さん
鉄鋼業界が中国の経済の影響をそんなに受けているとは知りませんでした。
国際関係が会社の命運に左右するというのは日本だけでなく中国も同じ。
そんな人たちにとっては政治が歴史問題や靖国を挟んでもめるのは、
実に歯がゆい問題なのでしょうね。
政府の靖国参拝を非難する中には、こんな切羽詰まった人々も居そうです。

もちろんそんな段階になるまでこの問題を育て上げた日本が悪いのですが、
(特に”戦犯”は中曽根元首相)安倍首相が靖国参拝しないことを
ケシカランなどと単純に非難するのも、ことここに至っては
少し近視眼的すぎるかなと思わざるを得ません。

「すべての人たちにとっていい政治家」なんて所詮夢物語の中にしかいません。

雷蔵さん

中の人から連絡が来て、文中写真の1佐がどなたかわかりました。
第51掃海隊司令の高岩俊弘1佐だそうです。
この夏には、第6回西太平洋掃海訓練に指揮艦として
艦艇3隻を率いて行ってきたそうです。

「掃海隊らしくない」なんて思い込みでつい書いてしまったのですが、
隊司令クラスは掃海隊出身でないとなれないんじゃないでしょうか。
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海蝕洞窟では? (Coral)
2015-12-26 17:08:55
エリス中尉

>自然の岩を爆破して作られたのかとも思われますが、どうなのでしょうか。

九州のその辺りに行ったことは一度しかありませんし、まして船から眺めたこともありませんが、疑問の洞窟は下記、海蝕洞窟のように思いますがいかがでしょう?

http://takosyasin.blog.fc2.com/blog-entry-748.html
全体の3/5あたり、鷹の写真の次 海蝕洞窟
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未来の掃海隊群司令 (雷蔵)
2015-12-26 17:57:34
今の掃海隊群司令は、51掃海隊司令経験者です。掃海艦が出来、51掃(1佐職)が出来て、掃海マークも掃海プロバーの掃群司令を順調に出せるようになったんですね。よかった!(^_^ゞ
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リアス式 (エリス中尉)
2015-12-30 10:48:39
coralさん
この辺りはリアス式海岸なので、おっしゃる通り海蝕によるものでしょう。
この前もご紹介した小島の造形など、自然は長年の間に考えられない芸術を作り上げますね。

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