会場の左稜線には、皆からよく見える場所に火力誘導班がいます。
ここから敵部隊の捜索、評定、火力誘導を行います。
具体的には、ここから目標にレーザーを照射するのです。
空中で待機していたF-2戦闘機が、火力誘導班の評定によって判明した敵に対し、
攻撃を行うために飛来してきました。
このF-2戦闘機は築城基地の所属だそうです。
まず皆の前を通過、弧を描いて一周し、戻ったところで爆弾を投下しました。
ちなみに誘導班と火力調整所のコールは日本語ですが、戦闘機は英語です。
ただし、終わった後の
「ミッションズ・サクセスフル、Fー2、グレイト・ヒット!」
以外は何を言っているのか聞き取れませんでした。
レーザーJDAMによる対地攻撃の爆破力の凄さ。
実際にはこの2倍の爆破力がありますが、安全のため炸薬を半分にしてあります。
JDAMそのものは無誘導ですが、Jシリーズの誘導装置キットを取り付けることで、
無誘導の自由落下爆弾を全天候型の精密誘導爆弾(スマート爆弾)
に変身させることができます。
レーザー JDAMは そのJDAMを進化させたもので、爆弾が投下された後、
(ここでは草むらに潜んでいる)火力誘導班が目標にレーザーを照射すれば、
爆破させることができるというものです。
日本は戦略爆撃機を保有していないので、今のところこのLJDAMが、
対地精密攻撃戦力の主力という位置付けとなっています。
しかしながら、敵の侵攻は止まらず、さらに二段山、三段山を占拠しました。
何をしている自衛隊統合軍。
そこで我が軍は本土からいよいよ機動展開を決行することにしました。
まずは先遣部隊が上陸しようという構え。
観測ヘリOH-6が偵察のために単機で乗り込んできました。
観測ヘリは攻撃力がないので、敵に狙われたら逃げるしかありません。
というわけで飛び回り、ほぼ垂直に上昇下降と小回りの効くところを披露していましたが、
その姿があまりに健気なので、冒頭写真でフィーチャーしてみました。
ちなみにこの時、コールで
「こちらオスカー」
と言ってましたが、これがOH-6Dの愛称らしいです。
オスカーはオート班(バイク班)に観測結果を報告します。
多用途ヘリUH-1が2機進入してきました。
オート班の隊員二人、バイク二台を載せています。
む、よく見るとヘリ乗員がオート隊員の肩をそっと抱いているぞ!
いや、「まだ降りないでね」って制止しているんだと思いますけど。
スキッドが地面につくかつかないうちに、バイクを下ろすためのレールをまず設置。
エンジンかけっぱにしていたらしいバイクを、素早くヘリから降ろします。
何をしているこちらのオート隊員!
もう一機のUH-1からも2台のオート班が降りてきます。
斥候班、一瞬合図を待つ。
バイクを降ろす補助を行なったヘリ隊員二人が乗り込むと同時に
ヘリコプターは空中に浮かび上がりました。
いくら命綱をつけているとはいえ、一応ドアが開いているのだから
そんなに傾くと乗っている人が危なくない?
続いて先遣部隊が侵入し、機動展開を行います。
チヌークとヒューイがやってきました。
アパッチは先遣部隊の進入を援護するために 攻撃を行ないます。
UH-1からはリペリングのためのロープが降ろされました。
降下中狙われないように、あくまでも素早く、一瞬での降下。
ファストロープではなく、カラビナを使ってのリペリングによる降下です。
見分け方は、両手だけで降下していたらリペリング。
4人の隊員は、ヒューイの全開された左右の扉から、
背中向けになってアパッチの援護射撃が行われると同時に降下を行います。
地上に到達するのもほぼ同時となります。
降りた途端ロープを外し、要点確保のために走っていきます。
こちらはチヌーク後部ハッチ。
まずロープが降ろされ・・・・、
二本のロープに次々と、こちらはファストロープ(カラビナをつけていない)
で降りていきます。
チヌーク後部から地上までは短い距離で降りられるので、
器具をつけず、手と両腿でロープを挟んで降りるファストロープ方式で行います。
摩擦が手と腿にかかるので、特殊な手袋を着用するとはいえ、
普通に手を離したら、落ちます。
さらにヘリの位置から落ちたら軽く死ねます。
しかし、この方法は器具を使わないので素早く地面に展開できるのです。
簡単に見えますが、皆訓練に訓練を重ねた結果、こうやって何事もないかのように
地面に降り立っているというわけです。
地上に降りた先遣小隊は、海岸部要点(ということになっているところ)に展開します。
リペリングのロープがまだぶら下がっている状態で離脱。
そして海岸部の要点とされる場所に腹ばいになっております。
この後、設定としては LCACやオスプレイ、AAVなどが後に続き、
弾薬、燃料、人員や糧食などを輸送してくるというわけです。
チヌークもロープを引き上げつつ離脱。
向こうではアパッチが見かけは地味な機関砲攻撃でこちらを援護しています。
もう一機、チヌークが進入してきました。
中隊支力展開のために輸送を行う役目です。
観客席に(というか敵と反対側に)後ろを向けて着地したチヌークの
ハッチが開くと同時に、銃を持った隊員が地面に寝て警護。
ヘリの乗員が先に外に出て、降りてくるトラックの誘導を行います。
車体幅はハッチギリギリで、しかもこの傾斜はかなりありそうなので、
運転の下手な人なら車体をこすってしまいそう。
カエルの口から出てきた車には、5名の隊員が乗っています。
この間にもアパッチが援護射撃を継続しています。
車が動き出すのとほとんど同時にチヌークも離陸。
リペリングやファストロープで降りた部隊が敵陣のあるA道を突入していきます。
バンザイ突撃か?(たぶん違う)
お次は占拠された領土奪還作戦へと移行します。
まずオート班が敵情視察を行うべく入場。
席が高いところにあると、オート班の写真はイマイチ迫力が出ません。
敵がいるのとは別の方向ですが、バイクを盾に周囲を警戒。
ポケットから出したスコープで敵の様相を確認、報告を行います。
すぐにRCV、早期偵察警戒車がやってきて、急襲射撃を行います。
これは、相手にダメージを与えるというより、その反応を見て
相手の戦力や位置を特定するという情報収集目的のためのものです。
その様子を偵察しているのがオート班の偵察部隊なのです。
そして本格的な攻撃に移行した富士教導団は、特化火砲で攻撃準備射撃を
敵陣地にブチ込む、というわけです。
続く。
各種装備を見せるのが目的の総合火力演習なので「いるんだったら、先遣部隊がヘリコプターで潜入するところから出て来いよ」なんて言ってはいけませんよね。
>すぐにRCV(偵察警戒車)がやってきて、急襲射撃を行います。これは、相手にダメージを与えるというより、その反応を見て相手の戦力や位置を特定するという情報収集目的のためのものです。
威力偵察と言います。
米空軍のJTACは、シールズなどの特殊部隊と行動を共にできる迄の訓練を受けています。
https://www.airforce.com/careers/detail/combat-control
CCT-The Eye of the Storm: Volume II – The GWOT Years (English Edition) Kindle版
Gene Adcock (著)
https://www.amazon.co.jp/CCT-Eye-Storm-Years-English-ebook/dp/B00ACYM426/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1504400874&sr=8-1&keywords=CCT-The+Eye+of+the+Storm%3A+Volume+II+–+The+GWOT+Years
水陸機動団が手本にしているとされている、米海兵隊の近接航空支援に対する前線航空管制のドクトリンは、朝鮮戦争の頃からの筋金入りで、「ヘイ、ジョー。こちらスミッティーだ。I中隊正面尾根の左側をやっつけてくれ!」とやっていたのを、横で戦っていた米陸軍連隊長が羨ましがったそうです。
同じ釜の飯を食っているOH-6D同乗の空自パイロットのFACと、近接航空支援を行っているF-2パイロットとの英語での交信が、一般人にも聞き取れる方が、かえっておかしいのかもしれません。
Marine Corps FAC
Traditional Marine Corps infantry battalions each have a Forward Air Controller (FAC), who is a Marine Corps Naval Aviator or Naval Flight Officer acting liaison between their fighter/attack jets and/or attack helicopters and the infantry battalion. A Marine Corps FAC (7502 MOS) is commonly referred to as the Air Officer. Underneath him, he has two other FACs and three Joint Terminal Attack Controllers (JTACs – 8002 MOS).