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豪雨の自衛隊観閲式(観閲部隊入場編)

2013-10-22 | 自衛隊

みゆみゆさんへのコメントにも書きましたが、この日の観閲式は
身体的にあまりにも過酷な状況にあったため、いつも季節天候を問わず
厳しい訓練に日常的に耐え、そして今現在も災害派遣で自らの身を省みず、
まさに過酷な状況でも黙々と任務に当たる自衛隊の方々の気持ちを、
笑止とは思いますがわずかながらでも慮ることが出来たような気がしました。

そもそも、ちょっと雨に長時間濡れたくらいで意気消沈してしまうなどというのは、
これすなわちそういう安逸を貪る生活が当たり前だと思っているからこそ。
そして、その日々の安穏の先には、内外で日本国民の安全を守っている自衛官の皆さんの、
日頃からの肉体的精神的な鍛錬や切磋琢磨に支えられた力があるのです。

自衛隊の年に一度の観閲部隊による行進。
その力強く歩を進める晴れ姿を我々に見せてくれるならば、万難を排してでも行くのが国民の務め。
たかが豪雨くらいでやめてしまうなどというのは、彼らに幸福の基礎たる安全を守っていただいている
日本国民の一人としてのわたしの気持ちがそれを許すものではない。

・・・・とそのときにはそこまで考えていたわけではもちろんありませんが(おい)、
チケットが手に入ったからには何が何でも行くことを決めていたエリス中尉。

上から下まで、装備は万全にチェックして望みました。

まず、普通のトレーナーの下は乗馬ズボン。
足下は乗馬にも使える完全防水のゴム製ライディングブーツ。
うえに、フード付きのモンベルで買ったレインパーカー、(息子の)
さらにそのうえからエナメル状加工した膝丈のレインコート。

腰掛けは、飛行機の中で脚を置くために買った、膨らませて使うエアクッション。
これは本当に役に立ちました。
冷たい座席に長時間腰掛けていたら、もっと大変だったでしょう。
このエアクッションのおかげで取りあえず座っている部分だけは柔らかく、
しかも比較的暖かいという、効果抜群のお役立ちでした。
これから航空祭などで地面に座る予定のある方は、必携です。

そしてバッグは、買ったものの「こんなのいつ使うの」と思いつつタンスの肥やしだった
シーバイクロエのトートバッグ。
黒いエナメル加工の馬鹿でかい肩掛けだったのですが、防水は完璧!

・・・・・・この仕様がのちに災いします。

しかし、神ならぬ身のエリス中尉には待ち受ける災難を知る由もなかった。



9時30分、やっとのことで観閲行進のための「入場」が始まりました。

観閲部隊は一旦観閲官より先に会場にスタンバイし、
観閲官の前を、あの「敬礼」「旗横あげ」(旗の敬礼)「抜刀」で観閲を受けるのです。

これはあくまでもスタンバイのための入場ですので、音楽はありません。
ちょうどわたしの真ん前に、マイクの置かれたアクリルの囲いがあり、
そこに太鼓手二人が立って、延々とマーチのリズムを刻みます。



そのリズムに乗って、全観閲部隊が観閲会場に入場してくるのです。
この二人も大役です。
一瞬の途切れもなく、数十分間、全観閲部隊が入場するまで演奏を続けるのですから。



そして一番最初に入場してくるのは、防衛大学学生部隊。
彼らは常に最初に入場します。



防大の行進でも思いましたが、若い軍人(って言ってもいいよね)がきりりとした制服に身を包み、
集団で歩を進める様子というのは、どうしてこう感動的なんでしょうか。

一人一人の容貌には色々あれど、こうして行進していると全員がその使命を帯びた緊張感と
全体の醸し出す高揚のオーラに照らされて、皆男前に見えます。





そして、こうして遠目に見ると、彼らの姿はまさに旧海軍士官候補生のそれそっくり。
戦後、制服から「旧軍調」を出来るだけ排除した自衛隊ですが、
「表に出ない」防衛大学校の制服に兵学校ならびに候補生と同じ制服を採用したのです。
この決断をしてくれた関係者には心から「ありがとう」と言いたい。


わたしはまた、この日の雨のおかげで神宮球場の「雨の学徒出陣壮行会」の映像を思い出しました。
地面の水たまりに彼らのゲートルを巻いた脚が交互に進むあの映像です。
あのときに鳴っていたのが、「陸軍分列行進曲」でした。

ところで、防衛大学、という言い方は正確ではありません。
「防衛大学校」と言わなくては行けないのをご存知ですか?
普通の「大学」とは違い、防大の管轄は防衛省下にあります。
つまり彼らは「学生」という名の「国家公務員」で公務員手当をもらう立場。
決して普通「大学」ではないのです。

この観閲行進には防衛大学医学部も、同じ制服で行進してきます。
両者の大きな違いは、まず女子学生。
防衛医大の女性学生は、防大と違って制服がスカートです。

そして、見る人にはわかる。

制服は同じでも違うのは彼らの「体型」。

4年にもなると、防大生と防衛医大生の首の太さは全く違ってくるのだとか。
防大がどんな訓練をしているのかこれからも推察できますね。



いいわけは一度にしておきますが、この日の雨がもたらしたのは、
身体上の苦痛だけではありませんでした。

カメラはこのブログのなぜか人気ページ「ミラーレスと呼ばないで」でもおなじみ?
ニコン1を持っていったわけですが、いくらある程度そのような仕様になっているとはいえ、
レンズ交換式カメラをザーザー降りの雨に晒していいわけがありません。
一応、透明のシャワーキャップを持っていき、雨よけにするつもりでした。

でも、シャワーキャップなんかかぶせて、写せるわけないのよね。

せめてもの気休めに、本体の上にかけてみたりしたのだけど、
そんなもので防げるレベルの雨じゃなかったんですよ実際のところ。

周りのものが「ざー」という激しい音に包まれるくらい強い雨が降り出してきたとき、
わたしの近くに座っていた人がのんびりと

「本降りになってきたねえ」

と言ったのですが、それを聞いていたわたし始め周りの人は心の中で一斉に

「知ってる。」

と突っ込んでいたのではないかと思われます。
バスキャップなどカメラの濡れを防ぐのに何の役にも立たず、
かえって邪魔なので、自衛隊の映像班カメラ部隊(って言うのかどうか知らないけど)
がやっているように、持ってきたタオルをカメラの上に乗せて雨を吸い込ませましたが、
それもすぐに水を極限まで吸い込んで重くなってしまう有様。

レンズは水に濡れ放題。
ファインダーをのぞくと幻想的なフォーカスがかかりっぱなし。
傷が付かないように布で拭っても、水滴は取れません。

しかも、そんな無益な戦いを繰り返していると、どんな写真が撮れたか確認して
その都度カメラの調整をするような余裕は全く失われていました。

で、帰ってから初めてパソコンに落とした画像を見て、頭を抱えてしまったというわけです。


それでも上の写真はそれでも比較的ましな方なのです。
ちなみに彼らの振っている手が写っておらず、白い手袋がぶれて写っているのは、
シャッタースピードの変更を一切途中でしなかったためです。

雨のため、航空展示はありませんでしたが、もしこのまま撮っていたら、
飛行機らしきものすら収めることは出来なかったと思います。

ああ、本番にもう一度行って撮り直ししたい・・・・。(願望)



しかしそんな写真でも彼らの制服が濡れているのがはっきりとわかります。

防大の制服に似ていますが、この集団は、高等工科学校生徒隊。
高校生なのにみな大人びて見えますね。

高等工科学校は陸上自衛隊の一組織で、普通高校と同じ一般教育に加え、
陸上自衛官(曹)になるための「防衛基礎学」を学ぶ学校です。
高校進学から国防に携わる仕事に就こうと、こういう学校を選ぶ青少年がいる、
ということすら今まで(というか三年前まで)わたしは全く知りませんでした。




続いて陸自普通科部隊。
陸上自衛隊が主催ですので、大人数です。



行けども行けども途切れないカーキと赤の大集団。





視界に入るのはすべてカーキ色。
この普通科部隊のマフラーの「赤」は、何と言っても
旧陸軍の襟章ならびに帽子のあの「赤」から取っているのでしょう。

旧陸軍の制服は、あの赤が非常に美しいアクセントとなっていましたが、
こんな形で昔の名残が生きているというわけです。



そして赤は、日章旗の赤、旭日旗の赤でもあります。
彼らが持つ8条旭日旗は、陸自の隊旗であり、連隊旗でもあります。
デザインは旭日を取り囲むようにして金色のトリミングがなされています。
ちなみに先ほどの高等工科学校では、これを学校旗としています。

海自の16条旭日、護衛艦旗とともに、自衛隊法施行例によって、
これらは制式が定められており、唱和29年から殆ど変わりません。


余談ですが・・・・。
最近反日に我を忘れ、道理も義理もついでにどこかに置き去って来た感のある某隣の国。
この国が世界でただ一国だけ、この旭日旗を法律で規制しようとしているそうです。
世界中で似たデザインを見つけては騒ぎ立て、廃止させようとする動きから、
ついに国単位で愚かな、取り返しのつかない挙に及んでしまいました。

しかしこれが現行の自衛隊旗であることを、彼らは知らないはずはないと思うのですが。

一応同盟国である韓国軍と自衛隊の共同による訓練は、それでは今後どうするのか、
旭日旗をつけた護衛艦は、韓国に今後一切寄港させないつもりなのか。
寄港するなら護衛艦旗を外せとでも言うつもりなのか。
そして、防衛大学校、そして幹部学校に留学している韓国からの留学生
(旭日旗の下に勉学している)を今後国賊扱いにでもする気なのか。

先日述べたようにフネ同士の儀礼ですら(訪問国の国旗を揚げるなど)、
なにやらプライドらしきものが邪魔して素直に出来ないような、余裕のない、田舎軍隊。
この厄介なメンタリティは、どう見ても自らの首を絞めているとしか思えません。




シャッタースピードを切り替えなかったせいで、全員手のない人みたいです。



まあ・・・躍動感は感じられますよね。
問題は、こういう写真を撮ろうと思って撮ったんじゃないってことです。






空挺部隊の写真もご覧の通り。
食う鼎談(という変換が出てくる新しいマック・・・)じゃなくて空挺団は、
行進の際、銃を前身に構えています。
簡単に見えるけど、これ大変でしょうね。
肩に担ぐのより重量を一層感じそうです。

しかし、陸自最強の精鋭部隊である空挺団に取ってこんなものは基本中の基本。




海軍来たー。

昔のおぜうさんたちは海軍行進で、きりりと巻かれた彼らのゲートルの白にときめいたそうですが、
今は巻くゲートルではなく。装着式のチャップスなんですね。

セーラー服に水兵帽。
やはり海軍伝統の制服はいいなあ。
ところで、水兵さんたち、左の腰に何か吊っていますね。

短剣のように見えるのですが、旗手の海曹は装着していません。
今の海軍は、水兵だけが短剣を吊れるのか・・・・?




この後、女性自衛官の混成部隊が続き、(撮れませんでした)
その次、高等看護学院学生隊。
つまり防衛省管轄の看護学校です。
少数ながら今は男性看護士もいるんですね。



後ろには普通科部隊と、たぶんですが機甲科部隊か戦車部隊が車両前に整列するところ。

高等看護学院も工科学校と同じく、8条旭日旗が校旗である模様。



女子学生は、他の女性自衛官と同じくショルダーバッグですが、
男子生徒は赤十字のマークのついた医療バッグを方に斜めがけしています。


写真に撮れなかったのは(撮ってもちゃんと写っていなかった)女性自衛官部隊と防医大学生部隊。

これらは、もし今度の27日の本番のチケットが天から降ってくるようなことでもあれば、
こんどはまともに撮ってくることを心から誓います。



そして、二人の鼓手は、この団体が前を通り過ぎる瞬間を以て演奏を終了。
切れ目なく後を引き継ぐのが、

陸海空合同音楽隊。

各隊三人ずつ計9人のチューバ奏者を従えた大編成マーチングバンド。
先頭を歩くのは、方面隊の隊長三人。

我が(とまたもや勝手に身内認定するエリス中尉である)海上自衛隊は
東京音楽隊の川辺一彦二佐が率います。

やっぱり、こういう音楽隊を率いる隊長は、「自衛隊音楽隊の本懐これにあり」
みたいな気持ちになったりするものなのでしょうか。


ちなみに、全行程終了後、グラウンドでは音楽隊の演奏が行われました。
いつもなら何をおいても聴いていくところですが、わたしの座っていた席からは
実地場所が遠かったため、それを聴くには移動する必要がありました。
しかし、一度立ち上がってしまうと、また再び場所を変えてそこにまた荷物を広げ、
新たな水溜まりの中に腰を下ろす気力が残されていませんでした。

何しろ、座っている間にレインブーツの中の脚は完璧に麻痺して無感覚となり、
体が芯まで冷えて10月だというのに歯の根が合わない有様。

立ち上がった瞬間階段席の途中で転倒しているお年寄りがおられましたが、
きっと同じように脚が痺れて思うように階段が降りられなかったのでしょう。 


というわけで、雨の中任務とはいえ演奏を続ける音楽隊の皆さんに心の中で謝りながら
観閲式会場を後にしたのでございます。


観閲部隊が入場し終わったところで次に続きます。
雨の観閲式参加記、もう一日だけおつき合いください。
そして、最後にももう一度、念のためお願いを書いておきます。


27日が晴れますように。
そもそも、その前に、27日本番のチケットが手に入りますように。


 




 



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3 Comments

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Unknown (森のくま)
2013-10-23 21:04:16
私はその日、明野に行ってました~
こちらも雨で大変でした(^-^)/やっぱり、自衛隊の行事には
ゴアテックの上下合羽は必須です。(とうとう良いのを買いました)
明野レインボーはみれませんでしたが、
航空機支援車両デモンストレーションが凄く面白かったですよ!

海自の腰に吊ってるあれは短剣のカバーです。
旗手は銃を持っていないので付けてませんね。
銃を持って短剣をつけている隊員は全員付けてる筈です。
弾帯に引っかけられるようになってます。
サスペンダーも弾帯で吊りますよ~ついでに水筒とかも。
その昔、少年工科学校が銃を持って行進していた頃は
彼らも短剣のカバーを付けてました。
返信する
明野でしたか (エリス中尉)
2013-10-23 22:32:13
観閲式があることを知らないときには明野の予定を立て、ついでに(笑)伊勢参りをするつもりでした。
というわけで今伊勢志摩のホテルからです。
台風がくるというのに、伊勢参りをしようという無謀なわたし。

ゴアテックの上下合羽。
それ、良さそうですね!ネットで探してみようっと。
上だけ防備しても、下が普通だと悲惨だということを今回嫌というほど身にしみて知りました。
さすがに下まで・・・、とこの期に及んでファッションのことなど考えてしまった自分が、憎い。

しかしファッションと言えば、この日、一人ですが、12センチヒールの女性を見ました。
あの意気込みと根性は一体何が目的で生まれるのか。
土砂降りのぬかるみ、しかも帰りの長路、あのパンプスで歩き通した(らしい)、
彼女の意図を知りたい。

「短剣のカバー」ですか!
教えていただきありがとうございます。いろいろと勉強になります。
つまり銃剣の銃部分のカバーということなんでしょうか。
少年工科学校は何年か前になくなったんですね。
返信する
Unknown (森のくま)
2013-10-24 00:44:41
自分も明野の前日に伊勢の神宮もお参りしましたが、
人の多さに死にそうでしたよ。
明野より人に酔いましたw
やはり、伊勢は平日の早朝に限ります!

合羽は上下ともぴったりし過ぎず、しかし、ガバガバ過ぎず。
大き過ぎると雨が入ってくる、小さいとまた身体をカバーできないというので、
登山をする友達に見立てて買いました。
ポンチョより上下の方が体温コントロールがし易いそうですby山登友

カバーとは鞘の事です(なんだカバーってw)
銃剣は銃と短剣の部分が取り外せるので、
短剣をつけていない時は鞘に剣をいれておきます。
短剣はあんまり磨いでません。
もちろん、凄い力を掛けたら刺せますが。

少年工科学校は→学生制度になり高等工科学校になりました。
行進、3年前の前回は少工の54期55期と高工の56期でしたが、
今回は全て高工なんですねぇ~
27日は朝からPCにかぶりつき予定です。

しかし、12㎝パンプス・・・自衛隊の行事ではあり得ない。
基本、ホールでの音楽関係でない限り、「山に行くんですか?」な恰好なので。
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