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リバティシップ「ジェレマイア・オブライエン」~居住区

2014-08-28 | 軍艦

サンフランシスコは全体が半島になっていて、その半島から二つの大きな橋、
ベイブリッジとゴールデンゲートブリッジが出ています。

ゴールデンゲートブリッジは先日見学して今シリーズ連載中の

「パシフィックコースト航空博物館」のあるサンタローザやナパ、
ベイブリッジは去年見学した(まだ見学記は続いているといわれている)
空母ホーネットのあるアラメダやバークレー大学のあるオークランドに繋がります。

実質橋を渡らないと北にも東にも行けないわけで、従って
週末にもなると一斉に半島から外に出ようとする車がひしめき、
ブリッジに乗ることすら容易ではない渋滞を引き起こします。

有名なアルカトラズ島は、サンフランシスコの北に位置します。

ここにあった刑務所からの脱獄が公式には一度も成功していないのは、
この辺り特有の夏でも寒い気候と海流の強さ。

刑務所では当時にしては珍しく囚人に温水シャワーが許されましたが、
その理由というのは、温水に体を慣らされた囚人が
冷たい海を泳いでまで逃げようとする意欲を奪う目的もあったとか。

刑務所が廃止になって以来、ここはそれでも逃げようとした
勇気ある囚人たち()の物語も込みで人気の観光スポットとなっています。

フィッシャーマンズワーフのお土産店には、黒白縞柄や
「アルカトラズ・スイミングクラブ」などと書かれたTシャツが買えます。

さて、前回に続き、ここフィッシャーマンズワーフの埠頭に
停泊して稼働可能なまま歴史博物館となっているリバティシップ、
「ジェレマイア・オブライエン」のラッタルを登ったところからです。

 

いきなりトイレかいっ!

と思われた方、わたしもそう思いましたが、
なぜかラッタルを登って最初にあるのがトイレです。
右はシャワーブース。
今気づいたのですが、コンパートメントに扉無し。
用を足している間隣の人に見られる心配はありませんが、
その代わり後から入ってきた人には普通に見られるという・・。

これも「フルメタルジャケット」みたいな、つまり

「用足しを見られて恥ずかしいなどという平時の感覚」

はこの非常時にお呼びでねえ!ということでこうなったのでしょうか。

 

続いて乗員の居室。


おそらくベッドの数の少なさから見てこれは士官室ではないかと
思われるのですが、それにしても何だか・・・。

ベッドに置かれているジャケットといい、ロッカーといい、
なんだか今でも普通に使われているような気配が。

「動的展示」が売り物のJOですが、ボランティアの居室も
そのまま「動的に」展示しているように見受けられます。



かなり広い居室。
士官たちの食堂であったようです。
ここも普通に使われているらしく、薄型液晶テレビが設置済み。



黒々とした旧型の扇風機はそのままです。
というかここに停泊している限りクーラーはいりません。



おそらく艦長の個室。
ペーパータオルはセットされているし、ジャケットも掛けてあり、
手前にはバスタオルまで見えます。
実際に使っているのなら公開はせず鍵を閉めておきそうなものですが。



ついさっきまでここでお昼ごはんを食べていたような気配のするダイニング。
テーブルの上には調味料セットもございます。



ランチに使ったサンドイッチパンとホットドッグバン、

チップスアホイをデザートにした模様。

今夜のお夜食用に、日清のカップヌードルビーフ味も装備。
この雑然とした感じが動的でいいですね。
なんでも、週何日かはボランティアたちはここで食事を取るのだそうです。

こうやって「使い続ける」ことがこの船を生かすことでもあると
考えているのでしょうか。

電気冷蔵庫などの電気はジェネレーターから取っているそうです。



棚には本が並んでいます。
テーブルの縁が落下防止のため高くなっているのに注意。



ここには完全個室のトイレが。

全体的にやたらトイレの多い船だと思いました。



この生活感あふれる居室を見よ。
しかしどうしてこれを人目にさらすかな。



チーフエンジニアの個室。
電話の形が・・・。
Wi-Fiは使用できないのでしょうか。



いざとなったときに脱出用に壁やドアを叩き割る斧。

この映画はエンジン部分が映画「タイタニック」のCG素材に使われましたが、

あの映画で、ローズが地下で拘束されているジャックの手錠を
これで見事ジムに傷一つ付けず切断したのを思い出しました。


結局死ぬんですけどね。ジャック。
どうでもいい話ですが、あのとき、体脂肪の多そうなローズが
ジャックに板の上を譲っていたらおそらく両方助かったに違いないのに・・。



という話はともかく。

この部屋はきれいに片付いていて、置かれているものも
演出っぽい感じでした。



通信室。
もちろんいまも「モースコード」が生きています。
ここからDーDAYのときにも通信が行われました。
全く同じ通信器を使って・・。

先ほどタイタニックの話が出ましたが、タイタニック号の救難信号が

カリフォルニア号に届くのが遅れたのは、通信士がそのとき
ベッドに引き揚げてしまったからだといわれています。

これを受けて、全ての船舶にはオートアラームがインストールされ、
万が一のときには通信士のベッドルームにそれが鳴り響くことになりました。
JOにもそれが装備されています。

赤いものはなぜか膨らんだ状態のライフジャケットです。



チャートルーム。
樽のように見えるのは1915年に発明されたジャイロコンパスです。
シンプルに「北を探す」タイプの磁石で、鉄の影響を受けません。



操舵室。
舵輪がオールドファッションです。
ここの小さい窓からは殆ど外が見えないのですが、操艦というのは
外を見ながらするものではないということでしょうか。

右側は羅針盤。



気になった床。
なんと組木の格子です。
水はけを良くするための仕様でしょうが、
それにしてもなんだってこんなに手間のかかることを・・。



これは洗濯機ではありません。
舵輪の動きを伝達する機構がここに収められています。
折りたたみ椅子の前にあるのは速度を代えるギア(っていうのかな)。


次回はタイタニックで稼働しているところが素材として使われた
エンジンのある機械室についてお話しします。 


 



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5 Comments

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エンジンテレグラフ (佳太郎)
2014-08-28 23:32:52
折りたたみ椅子前にある速度を変えるギアはエンジンテレグラフですね。
これを操作するとエンジンルームに指令が伝わり、機関士がスロットルを調整するようです。
あと欧米のトイレって個室のドアが完全に個室をふさがないのは犯罪対策ですかね?
タイタニックの斧で思い出しましたが、テレビで突っ込んでいたのですがあのシーンよく見るとローズが思いっきりジャックの手を斧でぶっ叩いているんですよね…まあゴムの斧でしょうからそんなに問題にはならないでしょうけど。
あとはタイタニックの事件を受けてある一定の時間はモールスの送信をしない時間を作ったそうです。
その時間は送信はせず、受信だけのようです。SOSが聞き取りやすくなるからでしょう。
無線室の時計らしきものに赤く塗りつぶされている時間があるみたいなのでそれがそうでしょうね。
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木が多い船ですね (雷蔵)
2014-08-29 05:08:23
戦時輸送を想定した船だと可燃物である木は禁物だと思うのですが、意外に木が多いのでビックリしました。軍艦だと戦闘が予想される場合、可燃物は下ろします。

船の救命胴衣は飛行機と違って、常時あの状態です。ふくらんでいる訳ではありません。飛行機のより安心感ありませんか。

無線機、でかい!今はあの1/5くらいでしょうか。護衛艦の電信室は一般の方は入れませんが、ビックリするくらいの数が並んでいます。

ギア?は速力通信器(テレグラフ)だと思います。映画だとブリッジから「Full Ahead」(前進一杯)とか言われると、あのハンドルを回してカンカンという音がして「Aye!Aye!」とか言ってるあれです。
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最後の写真の棚 (Coral)
2014-08-29 18:11:14
エリス中尉

何時もならコメントのありそうな最後の写真の壁の棚。
一体何を納める棚なのでしょうね?
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忘れてました! (エリス中尉)
2014-08-29 21:00:54
旗旒信号旗を収納する棚について書くのを。
これ書かなきゃ、と思ったはずなのに、なぜ(笑)
今拡大して見たところ、「F」「J」「JACK」が無くなっております。わからないので以上。

佳太郎さま

あ、あのシーンそうなんですか?
何しろCGで俳優の顔だけエキストラとすげ替えたらしいので、どうせCG合成だと思ってました。
たとえゴムでも思いっきりパイプに固定されている手首を殴ったら痛いと思う・・・。

「赤い部分」というのは時計で言うところの3時と9時部分のことでしょうか。
タイタニックはその後の船舶の安全対策を随分変えたようですね。
やはり大事故の教訓はすぐさま反映されるのが理性ある人間の進歩というものです。
人災による大事故を起こしても全く検証をし次に生かそうとしないどころか、
現場がいまだに放置されている国もあるみたいですが。

雷蔵さん

日本と違ってアメリカは「鉄がないから」という事情はなかったと思うのですが、
やはりこれは「その方が作るのが早かった」ということに尽きるのだと思います。

ただ、本文でも疑問を呈した民芸調の(笑)組木の床などはなんでこんな手間ひまかかりそうなのに、
わざわざ採用したのか全くわかりませんね。
もしかしたらリノベーションされたときに木材部分がかなり増やされたのでしょうか。
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佳太郎さま (エリス中尉)
2014-08-29 21:25:08
トイレのことだけ言い忘れました(笑)
アメリカのトイレは当たり前のように下が開いていますが、だいたい昔の日本のように
ドアをノックするという風習がなく(だいたいドアに手が届かないところが多い)、
皆当たり前のように下に脚が見えるかどうか覗いて確かめるんです・・。
犯罪防止という意味はあまりなさそうで、単なる習慣のような気がします。
アメリカ人というのは同性同士だと別に平気のようで、ドアは下どころか
締めても隙間が1センチほど開いていて、中に人がいるかどうかまで
バッチリ見えてしまうような仕様のトイレも少なくありません。
因みに一流ホテルのトイレだけは下までのドアです。
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