皆さん、寒いです~!
今日は、特に霧が濃く、コートが欲しいくらいの寒さ。
車にヒーターを入れました。
この霧を日本に持って行きたい・・・。
・・というと、
「イヤミかいっ!」
と一斉に亜熱帯に位置する日本の方向から怒声が飛んできそうですが。
息子のサマースクールに向かう途中に、このようなレインボーフラッグはためく一角があります。
ここはカストロ・ストリートを中心とする街。
カストロって、ああ、スタンダールだったっけ、とすぐに答えた教養のあるあなたはご存じないかもしれませんが、ここは全米で最大のゲイ・コミニュティがある「ゲイの聖地」なのです。
日本でも最近では同性愛嗜好を大っぴらにする人が増えています。
しかしあくまでもそれは「芸能人のウリとして」という場合で、まだまだ一般には「実はそうだが表向きは・・・」という社会生活を送っている人が大半ではないかと思いますが、ここはゲイがゲイのまま生きられる、リベラルなアメリカの中でも最も「ゲイ・フレンドリー」な場所なのです。
この女性はアメリカのコメディアンで司会者、エレン・デネジェス。
ファインディング・ニモで「ドリー」の声を吹き替えした、といえば日本の方はピンとくるでしょうか。
彼女はゲイであることを公にしている人物の一人。
カリフォルニア州の法律により、女性と結婚しています。
芸能人らしく多数の女性と浮名を流し?離婚(勿論女性との)も一度しています。
この、同性婚を合法とする州法以外の、同性愛者の権利を向上させる活動家としてい知られている人物に、「カストロ通りの市長」と呼ばれた市会議員のハーヴィ・ミルクがいます。
ショーン・ペンが主役を演じた「ミルク」という映画をご覧になった方はおられますか?
ハーヴィー・ミルクは、失職した市会議員ホワイトが市長をその恨みで殺害した際、たまたま市庁舎内で出会い、ホワイトに声をかけてそれが彼の逆鱗に触れたため(『残念だったね』と言ったそうですが、おそらく皮肉だったのでしょう)暗殺されてしまいます。
彼は初めて同性愛者であることを明らかにして当選した政治家でした。
ミルク氏の死後、その裁判をめぐる活動からゲイの人権を訴えるムーブメントが活発になり、またその人権を確立するための運動をする人たちが全米はおろか世界中からやってきて元からゲイの多い地域であったここに住み、いわば「ゲイという人種」としての生活を営んでいる象徴的な街、それが「カストロ」なのです。
部屋の窓にこの「ゲイ旗」であるレインボーフラッグを掲げ、「ここの住人はゲイである」ということを宣言しています。
典型的なゲイ・カップル。
アメリカ人は太っている、という一般論はここには当てはまりません。
みんな見事に体を鍛えており、スマートで筋肉質です。
それでないとゲイ同士アピールしないのかもしれません。
マッチョの多いゲイ御用達の「ゴールド・ジム」。
ここを通るとき窓に面したマシンが見えますが、いつ見ても真剣な顔をした男性がずらり。
ここはおそらくマシン稼働率において全米で最も高い数字を持つジムであると確信します。
このマッチョゲイの牙城では毎日どのような物語が展開しているのでしょうか。
考えただけで軽くめまいが起きそうです。
ちなみに、この通りに面したカフェは、見事に男性カップル専用。
エレンのような女性ゲイも勿論たくさんいますが、カストロに住むのは圧倒的に男性。
しかし、たまたまですが、この写真のビタミンセンターの角には女性カップルが写っていますね。
どちらもいわゆるエグゼクティブで、医者と会計士のカップル、それも「老夫婦」(夫夫?)なんていうゲイのうちは、物凄い豪邸だったりします。
この家もおそらくそういうリッチなゲイのカップルのものでしょう。
結婚する、ということはファミリーを作る、ということ。
子供をアダプト(養子をとること)したり、自分の実子を男二人で育てているゲイも多いようです。
日本と違ってお金さえ出せば養子が容易に取れるので、そういうこともできるわけですが、今までの観察によると養子の性は男児より女児の方が多い気がします。
養子が男性だと、血のつながりがないだけに成人してからトラブルになることを最初に忌避しているのでしょうか。
先週ちょうどこの「エイズウォーク」のサインアップが通りで行われていました。
ゲイを中心にエイズへの理解を深めよう、というデモなのですが、これがまた物凄いことになります。
ゲイの方たちは、このときとばかり、いわゆる「ハードゲイ」な恰好を(したい人は、ですが)して街を練り歩きます。
黒革の帽子、どこがどうなっているのかわからない黒革のベルトだけでできた服?を身にまとった男性がぞろぞろ歩いていると、目のやり場に困る、なんてレベルではありません。
冒頭述べたように、ここはとてもそんな恰好で外を歩ける気候ではないんですが、祭の「ハレ」状態ですから寒さもなんのその、なのでしょう。
ちなみに、これだけ市民権を得ているようでも、初対面で「あなたはゲイですか」と(どんなにゲイらしく見えても)聞くのはタブー中のタブーです。
彼らが誇示するように大声でゲイであることを主張しなければいけない、というのも、実はまだまだ権利は確保されていないということの証左でもあるのかもしれません。