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護衛艦「さざなみ」見学〜平成30年阪神基地隊サマーフェスタ

2018-08-02 | 自衛隊

阪神基地隊で行われたサマーフェスタシリーズ、最終回です。

サマーフェスタというイベントに行くのは今回初めてだったのですが、
暑さに考慮しているのか開催は2時までとなっていました。

わたしは「ちはや」見学の後、プールにラジコン潜水艦を観に行き、
移動の合間には野外ステージのパフォーマンスも聴きながら、
精力的に?イベント消化をこなし、最後の「さざなみ」見学に向かいました。

「さざなみ」と同じ岸壁には掃海艇の「なおしま」もいました。
「なおしま」は以前の訪問で見学を済ませているので、今回はもし
「さざなみ」の見学が終わって気力と時間が残っていたら、ということで
前を通り過ぎました。

「なおしま」では見学も受け付けていて、混雑した場合を考えて
後甲板から乗艇させて舷梯から降りるというコースを設けていたようですが、
ご覧のように入場者は若干遠慮気味。

人がいないところに自分が率先して入って行くのをなんとなく避ける
日本人気質(他の国のことは知りませんが多分)ってやつでしょうか。

「さざなみ」の艦首部分では撮影会状態。

「さざなみ」のイメージキャラクター、金太郎ならぬ「漣太郎」、
さざなみたろうの顔出しパネルも用意されていました。

もちろんモデルは金太郎。

金太郎のイメージは気は優しくて力持ちですが、「さざなみ」には
海上自衛隊で初めて民生品が採用されています。

これは強力であると同時に操作性に優れ、オペレーターにとって
使いやすく優しいシステムであることとかけています。

「太郎」は長男につける名前です。(イチローは長男ではないらしいですが)
民生品システム採用の1号艦、つまり長男であるという意味もあります。

漣太郎くんと名前通りのさざなみのモチーフの描かれたバナー。
舷梯の下には三人が待機するというのが基本みたいですね。

見学路はまず前甲板から。

前甲板越しに臨む六甲山脈と神戸港。

画面で見ると爽やかですが、実際は湿気で物凄い不快指数です。

主砲の周りには乗員(幹部と曹クラス一人ずつ)の説明を聞くために
いつも人が集まっています。

「さざなみ」の主砲はオトー・メララ54口径127ミリ速射砲、
対空、対水上目標に対し用途に合わせた弾薬を選択して発射します。

自衛隊では「こんごう」型、この「たかなみ」型に搭載されています。

いろんな自衛艦で主砲を見ましたが、砲塔の砲身両脇に梯子がついて
上に登れるようになっているタイプは初めてのような気がします。

なんのために階段があって上で何をするのか、調べてもわかりません。
現場で聞けばよかった・・。

弾薬と薬莢?が並べて展示してありました。

「さざなみ」の127ミリ砲は基本無人操作です。
砲塔内は無人化されていますが、下部揚弾ホイストへの給弾は人力で行うので、
この弾薬を手で抱えて給弾する役目の人が二人配置されています。

最大発射速度で発砲する場合、砲塔には8名が配置されます。

砲弾に書かれている文字に

ダイキン工業(株)

の名前発見。
ダイキンといえばエアコン、と世間の人は思いがちです。
というか、エアコンの生産ではアメリカのキャリアを抜いて世界一位である
このダイキン、エアコンの他にもフッ素化学の分野でも高いシェアを持ちますが、
元はと言えばダイキン、大阪金属工業として創立当初、軍需産業として

伊号潜水艦の空調

を手がけていた経歴を持ちます。
なんと伊潜、冷房付きだったんですね。
南方に展開させるために空調は必須だったようですが、
それでも艦内は
30度にはなったそうです。

ところで先ほど体育館のプールを泳いでいたU-boat、冷房は知りませんが、
手塚治虫の「アドルフに告ぐ」によると暖房はなかったみたいです。


ウィキによると、ダイキンが砲弾を作り始めたのは昭和26年となっています。

朝鮮戦争が始まって1年以内であり、陸上自衛隊の前身である
警察予備隊はすでに組織されていた頃に当たります。

空調機械と砲弾がどう結びつくのかというと、

砲弾連射の熱換気装置を作るよう海軍から依頼があり、
その技術がエアコンに活かされた

ということなので、エアコンが先ではなく砲弾が先のはず、つまり
大阪金属時代の戦争中に砲弾を作っていたはずなのですが、
なぜかダイキン工業のHPにはその辺の社史は割愛されています。

まあ、こういうのはブラザーミシンなど、軍需に関わったが、
戦後はそんなことはなかったというふりをしている企業に
ありがちな傾向なので別に驚きません。

軍需産業だからといって今頃目の敵にするパヨっちも世の中には多いので、
「雉も鳴かずに射たれまい」としているのかもしれませんね。

ダイキンは軍需産業だから不買!のループ

ちょっと面白かったので。
ここのコメントにもありますが、それをインターネットで呟くことの馬鹿馬鹿しさよ(笑)

ちなみに現在、防衛省向けにダイキンは以下の装備を納入していますが、

96式40mm自動てき弾銃用擲弾
06式小銃てき弾
120mm戦車砲弾
105mm戦車砲弾
84mm無反動砲弾
81mm迫撃砲弾
120mm迫撃砲弾
155mmりゅう弾砲弾
50口径5インチ砲弾薬包(127mm速射砲弾)
62口径76mm砲弾薬包(76mm速射砲弾)

これって、陸海自衛隊の砲弾のほとんどなんじゃあ・・・。

「さざなみ」は昨年、「ロナルド・レーガン」を含むアメリカ艦隊と自衛艦隊の
共同訓練を南方海域で行なっています。

また、創作では架空戦記「超空自衛隊」に出演しております。
災害派遣派出中の「さざなみ」が補給艦「おおすみ」らとともに
大東亜戦争中の過去にタイムスリップするというよくある話ですが、
特異なのがタイムスリップした主流艦が「おおすみ」、補給艦であること。

つまり、戦闘ではなく近代的な後方支援が当時の日本軍に行われたとしたら
あの戦局はどうなっていたでしょう、という話らしいです。

これ面白そうだけど、誰か読んだ方おられませんか。

左舷沿いに見学路を後ろに進んでいくと上部に見えてくるのが
90式艦対艦誘導弾。

SSM-1Bは「むらさめ」以降の護衛艦の必需品で、「あさひ型」にも搭載されています。

ころで、七隻目のイージス艦は「まや」でしたね。
神戸出身としては嬉しい限りです。

わたしは進水式に出席される方から前の日に模型写真付きで

27DDG、順番だと「なち」「はぐろ」「たかお」「まや」あたりでしょうが、
兵庫県民の元気が出そうな名前だとの事前情報を頂いています(笑)

というメールを頂いており、事前にまやであることは知っていました。
前日に知っていたからといって威張ることでもありませんが。

 HOS-32(三連装短魚雷発射管)は両舷に1基ずつ装備されています。

後甲板にはヘリコプターがローターを広げたままで展示されていて、
両側ドアからコクピットに座らせるサービスをしていました。
コクピットには座ったことがあるので列に並びはしませんでしたが、
この写真で後部も公開していたことに気がつきました。見に行けばよかった。

護衛艦というのはメカは内部に集中しているため「ちはや」のように
見学順路でメカメカしい(by・unknownさん)内部に興奮、ということがありません。

そこで格納庫でのラッパ展示や装備などの紹介イベントが行われるわけですが、
ここでは耐火スーツの着用体験ができます。

もう少し涼しかったらそういう気にもなるかもしれんけど、この時の気温では、
着ている人を「よくやるなあ」と感心してただ見るだけ。

ラッパの展示を終わった後は、なんと!
見学者に実際にラッパを体験するという大サービス中でした。

信号ラッパはバルブがなく、息で高さを調節するというのは知っていて、
ただ全く吹いたことはないのでどんなものだろうと興味はありましたが、
人の楽器を吹く勇気が、わたしにはどうしても出ませんでした。

子供と話すときには子供の目の高さでね!

こちらでは救急救命の実践的指導を受けられます。

AEDの使い方を覚えられるコーナーのようですね。

自動体外式除細動器は心停止をした人に行われる救急救命装置で、
救急車到着の間までにこれを使うことで助かる命も増えたということです。


各地の消防本部や日本赤十字社の都道府県支部、または
病院や保健所で講習会が行われているそうですが、サマーフェスタの
艦艇見学で講習が受けられるなんてお得だと思いませんか。


そのとき実習希望者が現れました。
心臓に腕を組んで当て、体重をかけて押していますが、見ていて

「なんか見たことあるのより速いなあ」

と思った途端、

「もう少しゆっくりお願いします」

と指導が入りました。

格納庫からは艦内に入ることはできず、見学路はそのまま外に繋がっています。
それとは別に、艦橋を見学するための列ができていましたが、
そろそろこちらも暑さで体力に限界が来ていたので、まっすぐ外に向かいました。

朝と同じ道を通って駐車場に向かい、停めていた車に乗り込んだのですが、
シェイドも何もなしで長時間炎天下に停めていた車はハンドルも座席も焼けて
しばらくは席に座ることもままなりませんでした。

しかもこのとき借りたノートという車、走っている間はエアコンが効きますが、
停止しているときには送風だけなので、走り出しは大変辛い思いをしました。

実は基地隊の方から、お昼をもし出店で買って食べるのならば
ぜひ館内を利用してください、とありがたい申し出をいただいていましたが、
現地で買えるもので食べたいものといえばかき氷だけだったので、
とりあえずもう一度朝チェックアウトしたホテル神戸オークラに戻り、
朝ご飯を食べた同じレストランで昼ごはんを取りました。

レストランの窓からは海上保安庁の巡視艇「あわぎり」PC-40
が停泊しているらしいのが見えます。

何度もここに来ていますが、巡視艇が係留されているのに初めて気がつきました。
今までも目には止めていたけど、意識しなかったのかもしれません。

向こうの大型船は「神戸エキスプレス」

宮崎カーフェリーが運行する神戸〜宮崎を往復するフェリーで、
新港第3突堤、三宮フェリーターミナルを発着場所にしています。

この後、TOがチケットを持っていたので、なぜか三宮にあるサウナで
親子三人汗を流して帰ることになりました。
サウナなど行ったことがないので、当初あまり乗り気ではありませんでしたが、
行ってみるとサウナつきのおしゃれなお風呂屋さんという感じ。

出た時にはすっかりさっぱりして、疲れも吹っ飛びました。
何よりこの日にかいた汗を流してから飛行機に乗れるのはありがたかったです。


ところで今回、大阪伊丹空港に久しぶりに行ったらものすごい改装を遂げていました。

特に変わったのがバゲージクレームで、あまりにも設備が新しいせいで、
空港を降りた途端ターンテーブルのゴムのものすごい匂いが鼻についたくらいです。

付随するターミナルビルの内部にも新しいお店がたくさんできていて、
夕食は家族の意見が一致してマグロ専門店黒門市場になりました。

 

というわけで色々あった阪神基地隊サマーフェスタも終了しました。
自衛隊の「今」について、また色々と知ることができたような気がします。

ちなみにこの日の目玉だったアイドル参加パネルディスカッションの経緯を
後から主催側に伺ったところ、
もともとこのアイドルグループ、彼女らを
阪神基地隊前司令が「登用」したのは、やはり予想通り、
人寄せパンダにして
募集適齢者を呼び込みたい、という下心?からだったようです。

しかし、実際アイドル目当てに集まってくるのは、コメント欄でも言われていた通り、
自衛隊に入ることなど全く考えていないor色々と無理そうなコアなファン層ばかり。

そこで、彼女らを使いつつ、少しでも当初の目的に近づけるアイデアはないか?
と考えた結果が、今回の特別企画だったというわけです。

わたしも書きましたが、阪神基地隊側でも、最後の方には立ち見も出たことを、
それなりの広報効果はあったのではと感じておられるということでした。

サマーフェスタの最大の目的は広報です。

アイドルを目当てにやって来た人が自衛隊に入隊するということはありえなくとも、
物珍しさで立ち止まってみただけの人たちが、初めて知った、聞いたと思うことから
少しでも自衛隊への理解と関心を深めることができたのなら、
十分それは成果と言ってもいいのではないかとわたしも思います。

 

最後になりましたが、今回お招きくださいました阪神基地隊司令、
阪神基地隊の皆様方に心からお礼を申し上げます。