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ミッドウェイマジックと「ネイ」賞〜空母「ミッドウェイ」博物館

2018-03-31 | 軍艦

さて、サンディエゴという街に海軍が根を下ろしたきっかけ、
その発展と現在に至るまでの両者の深い関係について
三日に渡ってお話しして来ましたが、いよいよそこに係留されている
歴史的軍艦「ミッドウェイ」の内部に再び入っていくことにします。

 

今までの「ミッドウェイ」見学記ではハンガーデッキから艦首側に進み、
艦名の由来となったミッドウェイ海戦についての展示を見た後、CIC、
そしてフォクスルと呼ばれる艦首楼を通ってもう一度戻ってくるというコースで
見たものをご紹介してきました。

後半となるシリーズでは、ハンガーデッキから入館した後、
前回の反対側、艦尾側から攻めて行くことにします。

その前に、今一度ハンガーデッキの様子を。

まるでゲームセンターのような様相を呈しております。
コクピットにいる気分でシミュレーションできるゲームに
いいおじさんが真剣に挑んでいる姿が。

岩国の海兵隊基地で、実際のホーネットパイロットが日常的に
トレーニングを行うシミュレーションを体験したことがありますが、
あれもつまりこのゲームをもっとリアルに近づけたものです。

実際に飛ばない時も、パイロットは技量を維持するために
真剣にシミュレーションを行なっていることをその時知りました。

ただし、本物の軍仕様のものは、画面に300度くらい囲まれ、
操作する機器は本物と全く同じであるということが大きく違います。

専門のオペレーターが別のブースからシミュレーションをモニターしており、
(記録するためか、単に何か起こった時のためにいるのかはわからず)
わたしたちが一般客だと知ると、オペレーターはブースから出てきて
パイロットに

「錦帯橋くぐって見せてよ」

と完全にお遊びモードだったのがおかしかったです。
ちなみにその時もご報告しましたが、彼は2回水面に激突して殉職後、
3回目に見事に錦帯橋の下をレガシーホーネットで潜ることに成功しました。

そこここに見えているブルーと黄色のカプセルはここの売り物アトラクションで、
中に人を乗せてぐるぐる回すエアコンバット360というライドです。

Flightsim F18 Fighter "San Diego Air & Space Museum" Flight Simulator

これもF18らしいですが、レガシーかスーパーかはわかりません。
2017年の1月に機材を全部入れ替える前のシルバーカラーです。

外にいる人は乗っている人の阿鼻叫喚の表情で楽しめるという趣向。

体験のお値段は一人一回8ドルでございます。

前にも紹介したF-8 のコクピット部分。
シャークマウスペイントは現役時代からのものでしょうか。

「ミッドウェイ」を発艦しようとするF-8の画像を見つけました。
機体の番号は00と27です。
展示してあるノーズは300番代なので後期の発展型でしょう。

クルセーダーは1958年から65年まで「ミッドウェイ」に搭載されていました。

シースプライトヘリのコクピットです。
元少年たちもこういうのを見ると乗ってみたくなる模様。

シースプライトは62年から65年までの間の搭載です。

E-2ホークアイのコクピットも体験できます。
ミッドウェイにはC型が1971年から退役までの間搭載されていました。

GEアビエーションの航空用エンジンT58が展示されています。

タービン排気を利用して軸推進するターボシャフトエンジンで、
1955年から84年までの間に6,400台生産され、ボーイングの
バートールCH46 、シーキング、カマンのシースプライトに搭載されました。

プラット&ホイットニー社、R-2800、通称は「ダブルワスプ」エンジン

空冷星型複列18気筒の航空用で、第二次世界大戦期において、
F4Uコルセア、P-47サンダーボルト、グラマンF6Fヘルキャットなど戦闘機、
ダグラスA-26インベーダーなどの爆撃機に採用されました。

下の解説図には、

Couter Barances For Smoothing Vibration

なるものがシャフトに組み込まれていると書かれています。
つまりバランスシャフトと慣性平衡装置と言われるもののことですが、
大出力発揮に比例して生じるクランク・シャフトの二次元的振動を解決するものです。

このエンジンには前後両端に2倍の速さで逆回転する装置、
「カウンターバランサー」取り付けられているのですが、当時の日本航空技術陣は
墜落したアメリカ機からその存在を確認していたにも関わらず、
それがおそらくは何に役立っているのか理解しなかったようです。

そして、高出力発動機の起こす第二次振動に終戦まで悩んでいました。

うーん・・・日本の技術陣、まだまだだったな。

ホーネットの330ガロンセンターラインタンクだと説明があります。

「サンライナーズ」は第81攻撃隊群の愛称で、このタンクも
スーパーホーネットに使用されていました。

こちらは前にもご紹介しましたがもう一度。
日本ではまだ現役のファントムを使っていたVMFP-3、
海兵隊の偵察部隊です。(だから”目玉”でアイズ・オブ・ザ・コーア)

海兵隊の偵察隊がなぜここに?というと、「ミッドウェイ」が第7艦隊に組み込まれた頃から、
1884年まで、アイズは「ミッドウェイ」に展開していたからです。

海兵隊は1990年に偵察業務をホーネットに移しています。

ノースアメリカンの訓練機North American SNJ-5C、
T-6「テキサン」も確か2回目だと思いますが、とりあえず。

暮にご紹介した映画「ペチコート作戦」でも、このT-6が
零戦に扮しておりましたね。

いうほど似てるか?といつも言っていますが、特に尾翼と、
この角度から見ると、決定的に風防のラインが似てなさすぎ。

まあしかし、だからと言って零戦になれるような実機が
他にあったか?というと・・・。

今だとCG処理で零戦くらいいくらでも再現できそうですが。

前回、「今度来たらもっとちゃんと写真を撮る」と誓ったのですが、
先を逸る気持ちから、一枚だけ撮って先に進んでしまいました。

アクリルの透明素材で作られた半透明の模型、細部を撮れば
色々発見もありそうですが・・・・もし次があれば撮って来ます。

なぜ逸ってしまったかというと、この矢印がそこにあったから。

トゥー・セカンドデック!ですよ。



それではそのセカンドデッキにいざ降りていこうではないか。
あれ?この、ダイナーみたいな床のタイルは・・・・?

いきなり兵員食堂(クルー・メス)でしたー!

自衛隊でも使われている全く同じようなシルバーのトレイを
フードケースの前を通過しながらよそってもらう方式。

音楽博物館について書いた時、自分で欲しいものを探し、
それをレジに持って行ってお勘定してもらうというレコードショップの形態は
実は第二次世界大戦で男手が無くなったので始まった、ということを知って
目から鱗みたいに納得したものですが、この方式も、もしかしたら
案外軍艦内の兵員食堂が始まりなんじゃないかという気がします。

 今やディズニーランドはじめテーマパークではこの方式が多いですけどね。

クルー・メスの食事に並ぶ列のことを「チャウ・ライン」と言います。
 
 

ハッシュブラウン、スクランブルドエッグ、ベーコン。
これは間違いなくアメリカンブレックファースト。

ハッシュドブラウンは(ハッシュブラウン)という言い方もあります。
HASH はそれだけで肉や野菜、芋を細かくして炒めたり煮込んだりした料理のこと。

そいつを固めて成型し、油で揚げたものをこういいます。

最初にハワイに行った時に飛行機が朝到着だったので、
海沿いのカフェで朝ごはんを食べたのですが、ハッシュドブラウンを注文すると、
カレー皿大の皿にお好み焼き状態で乗って出て来たので
アメリカ人は朝からこんなもの食っとるのか、と驚愕したものです。


お腹のすいた乗員に食べ物をサーブするここのCPOには
一人分のポーションサイズを用意する「テクニック」が必要です。

札の上にいちいち「ミッドウェイ・スペシャル」とあるのが微笑ましい。
なんとなく美味しそうに思えますものね。

この日のメインは「チップド・ビーフ」。
付け合わせは玉ねぎのクリーム和え的なもの。

カウンター越しににこやかに見つめてくれる配膳係の人(笑)

後ろの、当時からあった看板には

「Everyday Is A ??? Day Magic Midway」

とあります。
???に入るのは「New?」それとも「PAY」?(笑)

カウンターの下にあるのは、今でもアメリカ海軍で給養サービスの
向上に功績があったと認められる者や団体に与えられる

The Edward F. Ney Memoral Award『ネイ賞』

についての説明です。

1958年に海軍長官が音頭をとって制定された賞で、
なかなか毎年盛大に授賞式が行われている模様。

当初、審査日程は予告されていましたが、1999年以降、
評価チームが抜き打ちサプライーズ!で朝いきなり現れて審査しています。
日頃の真面目な精進が大切、ちうことですね。

ちなみに2017年度の「ネイ」受賞者は

空母の部「ロナルド・レーガン」

大型艦の部 「アメリカ」(強襲揚陸艦)

中、小型艦艇の部「アッシュランド」(ドック型揚陸艦)

潜水艦の部 「ミズーリ」

地上部隊広域の部 サンディエゴ基地「マーサーホール」

地上部隊地域の部 共同遠征基地 「リトル・クリーク」

海軍の補給部隊のホームページには

「どうしたらネイの勝者になれるのか?」

というクェスチョンに対し、アンサーは

“Think Ney every day.” 

と一言。
毎日「ネイ」のことを考えよ・・・なんか当ブログ的に人ごとではない(笑)

それにしても、この肝心の「ネイ大尉」については、

「1940年〜45年まで補給部隊のヘッドであった」

ということしかわからず、どんな人だったのか、なんの功績があったのか、
なぜ彼の名前が残されることになったのかはどこを調べてもわかりません。

そしてこの「ミッドウェイ・マジック」というのは彼女の愛称です。

それをいいことに、何かとこのワードを活用してるわけですが、
ここではこんな風に・・・・。

「ミッドウェイ・マジック」

オムレツのオーダー 

「あなたのお好きな方法で」

ハム、チーズ、トマト、グリーンペッパー、
オニオン、マッシュルーム、

全てでも組み合わせでも可

食事を楽しんで良い1日をお過ごしください

 

うーん・・オムレツくらいでマジック言っちゃいますか。

 

 

 

 

続く。