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平成26年自衛隊音楽まつり~防大儀仗隊の紅一点

2014-11-17 | 自衛隊

先週末武道館で行われた自衛隊音楽まつりの参加報告、続きです。
その前に、前回の記事で

第四章 for Japan 

を書くのを忘れていたことをおわびいたします。
森のくまさんからご指摘を受けたのですが、パンフレットを折ったまま
あの部分を書いていて次のページにある第4章を飛ばしてしまってました。

第4章はおなじみ自衛太鼓『陣』とフィナーレで、一番盛り上がったというのに。
これじゃ本当に行ったのか疑われてしまいそう(意味深)



第1章の「from Japan」では、ゲストバンドの

アメリカ海兵隊第三海兵機動展開部隊音楽隊

がドリル演奏を行いました。



何と驚いたことに(会場で驚く人はあまりいなかったかもしれませんが)
彼らがドリル演奏に選んだ曲は、

行進曲「黎明」 黛敏郎作曲

防衛大学校のために作曲されたこの曲を、海兵隊は今回、
我が日本国自衛隊に敬意を表して
選んでくれたようです。
「黎明」は黛の作曲らしく民族主義的な色合いを残す、
ドラマティックで憂愁を帯びた旋律が印象的な名曲です。

前にも一度書いたことがありますが、昔学生同士で

「知ってる?黛敏郎って右翼なんだって」

という会話をしたことがあります。
今「黎明」の作曲年月日を調べる為にwikiをみていたら、
黛敏郎について別に知らなくてもいいこんなことを知ってしまいました。

 楽壇では珍しく保守派文化人となり、1970年代後半に結成された
保守系団体「日本を守る国民会議」議長を務めた(現:日本会議)。
だが、このため左派色が強い楽壇からは事実上排斥され、(略)
純音楽の創作は極端に少なくなった。
 

黛が保守派に「なった」のは1970年頃からとありますが、
「黎明」の作曲は
1964年ですし、「急になった」というのも変な話です。
元々保守思想の持ち主だったんじゃないでしょうかね。

wikiでなければネタかと思ってしまいそうな

カンタータ「憲法はなぜ改正されなければならないか」(1981)

なんて作品があるのも知ってしまいました。
いや、わたしも憲法は改正されなければならないと思ってますがね。

・・しかし、カンタータにしちゃうかなー。



という面白い話はともかく、この「黎明」をドリル演奏する
海兵隊の皆さん、かっこいいですよね。
海兵隊の軍服姿の格好良さは異常。
何を入れるのか知らないけど赤いウェストバッグがまたよろしい。

岩国基地の海兵隊を訪問した際、H−16ドライバー夫妻ののお家に
遊びにいって、お二人の結婚式の写真を見せてもらったことがあります。
この新郎側の友人がこの格好で出席し、サーベルの下をくぐってました。

こういうときに最も絵になるのが海兵隊のこの軍服なのですよ。
おまけに結婚式会場上空にはホーネットが祝賀飛行を!(一機だったけど)
自衛官の結婚式もメスジャケットでよろしいですが、さすがに自衛隊は

一隊員の結婚式にF−2飛ばしてくれないだろうしなあ。

いつかこの二人のこともお話ししたいと思いつつ1年経ってしまいました(; ̄ー ̄)



過去の映像からどうやら海兵隊得意のパフォーマンスとみた。
打楽器群並んで技炸裂。

 

そして、海兵隊の歌手はこのトロンボーン奏者。

無茶苦茶上手かったですよこの人。
「管楽器奏者」+「先天的に音感のいいアフリカ系」
で最強です。何が最強かようわかりませんが。

彼が歌っているのは

「Happy」 ファレル・ウィリアムス

ファレルもアフリカ系で、リズムのノリはもう本家、って感じ。
なかなかハッピーな曲なのでご存じない方はぜひ聴いてみて下さい。


Pharrell Williams-HAPPY-日本語訳&歌詞



第1章のラストは在日米陸軍軍楽隊。

座間キャンプから来ております。
スーザホンのフジヤママークは在日米軍オリジナル。



今年も出ました米陸軍音楽隊の歌姫。
去年は男性歌手とのデュエットでM.ジャクソンの「ユーアー・ノットアローン」、
EXILEの「ライジング・サン」を聴かせてくれたのと、同じ人だと思います。
髪型が変わっているので断言はしませんが。

歌は「スキヤキソング」こと、「上を向いて歩こう」です。
このスキヤキソング、英語の歌詞もありますが、

「もしあなたがここにいて涙を取り去ってくれたら
太陽はもう一度輝いてわたしはあなたのものになるのに
でも現実にわたしとあなたはそんなことには決してなりっこない
あなたはわたしの愛をすっかり持って行ってしまったの」

という実につまらない失恋ソングになっていて、
同じ失恋でも

「涙がこぼれないように上を向いて歩く」

という原曲の洒落たひねりのある歌詞とは全く次元が違います。

ただ、メロディは文句無く美しいので、未だにアメリカでは
何人もの歌手がカバーをしていますね。




続いてはもの凄く安定感のある(見た目も音も)サックス奏者が
ビートルズの「ヘイ・ジュード」のソロを。



「ナーナーナーナナナッナーーーナナナッナーヘイジュー」

の部分をアカペラで観客にも歌わせながら歩き回って手を振る演出。



「なーなーな」が続いている間に後ろのカーテンが開き、
自衛隊音楽隊とゲストバンドの皆さんがなだれ込んできました。



全員で「なーなーな」を繰り返しつつ隊形を作ってしまいました。



この並び方を見ても全くアトランダムなのに、どうやって
いつのまにか隊列を組めてしまうのか。
おそらく合同練習なんてせいぜい2~3回だと思うのですが、
さすが全員がドリルを本職にしているだけのことはあります。


と妙なところでわたしが感心している間にも曲は盛り上がりを迎え、
そのまま第一章は終了。



音楽まつりのいいところは、コンサートなのに途中休憩がないことです。
次々と目の前に濃い内容のパフォーマンスが展開され、
全く退屈したり厭きたりする間もなく一気呵成に2時間が過ぎて行きます。

黙って座って音楽を聴くコンサートが苦手な人でも音楽まつりなら好き、
という人は多いのではないかと思われます。
耳だけでなく目でも楽しめる工夫が濃縮されて詰め込んであるからですね。


その代表が防衛大学校儀仗隊によるファンシードリル。

流されていた紹介ビデオでこんな映像がありましたが、こういった
夏服バージョンでも儀仗を行うのでしょうか。
それとも単に夏場の練習風景?



項末にYouTubeをお借りしてきましたので
ぜひ通して観て下さい。

十字が一回転する度に一人ずつ加わって大きくなって行くフォーメーション。



このあとはガーランド銃を回したり投げ上げたりの一連の演技。
この写真は画面が特に幻想的なフォーカスがかかっていますが、
その理由は前回お話ししたレンズの曇りです。

レンズクリーナー液をレンズの上にぶっちゃけたまま蓋をしたため、
レンズ内に液が入り込んで曇りをつくってしまったのです。

因みにこの後、わたしはよんどころない用事の為、千葉県浦安にある
某ディズニー系娯楽施設に行かなければならなかったのですが、
曇りは一日取れることはなかったのでディズニーでの写真も皆フォーカス掛けです。

これはレンズ買い替えるしかない、と内心あきらめていたところ、

次の日の昼頃には乾いていました。ひとまず命拾いです。





まだ大学生だからか、彼らを見るとまず「かわいい」と思ってしまいます。
きびきびした動きはかっこいいし、凛々しいのも確かなんですが、
寸分の狂いもない動きを正確にこなすこのドリルを見ていると、
「鉛の兵隊さん」という言葉を思い出したりして。



防衛大学校儀仗隊は、ご存知の通り防大の儀仗兵です。
防大に来校されるVIPに対して儀仗を行うことが存在意義です。
ファンシードリルを練習、訓練するのは、メインの任務である儀仗を
行う為の技量の維持・向上の意味があるのです。

つまり、ここでやっていることは「最終目的ではない」ってことです。



後ろから4番目は女子学生ですね。

去年の防大開校記念祭で、近くに座っていた防大生の母親が
グラウンドで行われているファンシードリルを見ながら

「うちの子は(儀仗隊に入るのは)あかんかってん」

と話しているのを小耳にはさんで、どうやらこのメンバーになるには
全員が必須科目として課業で行い、その中から特に適性のある生徒を
選抜して編成するのではないかと思われました。




この女子生徒は今年の編成で一人だけ入ったメンバーだそうです。
どのように選抜されるのかが分からないので、彼女が志望したのか、
それとも一人は女子を入れようということでそうなったのかは不明。



一番右の隊員が敬礼をしながら銃を回すシーンで観客は大いに湧きます。

しかし、何度か防大の儀仗を見てきましたが、今まで失敗は
2年前の記念祭での儀仗で一人が銃を落としたときしかありません。
音楽まつりでは映像も含めて失敗を見たことがないのですが
地味に凄いことだなあと感心します。

やはり全校生徒の中から適性で選び抜かれているからなんでしょうか。




演技の間ずっと演奏を続けているパーカッション。
音楽隊員ではありませんから、これも一般の学生からの選抜です。



銃床を地面に奥と同時に取るこの態勢。
文句なしにカッコいいこの決めポーズ、よく動画を見ると、
必ず銃を回す前に
足で軽く蹴っているんですよね。

そしてこの写真を見てもお分かりのように、膝は地面につけるのではなく
左足のアキレス腱部分に乗せているのです。

真っ白なズボンの膝を決して地面に付けたりしません。



後半のクライマックス、「銃潜り」が始まります。



儀仗隊長が向かい合った隊列の真ん中を歩いて行き、
その直前に銃が空中で交換されるという大技です。



指揮は第4学年の生徒が年々受け継いで行くようです。
これをやる指揮隊長はさぞ気分が高揚するだろうなと想像。

歩くだけだから一度やってみたいと思うのはわたしだけ?



銃潜りは向こうまで行って折り返して帰って来て終わり。



そしてフィナーレ。
全員で敬礼しながら銃をぐるぐる回し。(何と呼ぶのかわかりません)

これも写真を見て気づいたのですが、一瞬手を離して持ち替えているんですね。
しかも左手で、手許も見ずに。




成26年度 自衛隊音楽まつり 防衛大学儀仗隊ファンシードリル

YouTubeを最初から見ていただくとお分かりかと思いますが、

防大ファンシードリルは第2章の「to Asia」の最初のプログラムで、
その心は、というと

「防大はアジアからの留学生を迎えていて、かつて儀仗隊のメンバーに
留学生がいたこともある」

というこじつけ?です。

何度もいいますが、毎年違うプログラム、テーマを考え、
各参加部隊をそのテーマに結びつけたりして構成を考える
企画・演出部隊(というのかどうかは知りませんが)は
本当に苦心しているに違いないとお察しします。


続く。