◎肉体、空想力、形態、影響
パラケルススが受胎と出産を分析する。注目点は、その願望と現実化の要素とプロセスである。
『受胎と出産には四つの部分が属する。すなわち肉体、空想力、形態、影響がそれである。
「肉体」は、はじめから定められたように一つの肉体と成り、それ以外のものには成らない。
なぜなら樫の木が樫から成立せねばならないのが自然の法則であり、人間の肉体においても同じことがあてはまる。
「空想力」とそれが向けられる対象から、子は自らの理性を受ける。そして天がその運動を、良きにつけ悪しきにつけ、ときには強く、ときには弱く刻印するように、人間の空想力も――星と同じく――軌道をもち、子供の理性をより高きものにもより低きものにも向けさせる。
第三のもの、すなわち「形態」は子供がそこから由来したもの、つまり親に似るように彼を強制する。
最後に「影響」が肉体の健康と病気を条件づける。それは強力な建築家が強固な建物を建て、劣悪な建築家が劣悪な建物を建てるのと同様に、受胎の場合も同じような結果になるからである。
妊娠している女性の空想力はきわめて強力なので、種子に影響を及ぼし、子宮内の胎児をいくつもの方向に変えることができる。彼女の「内なる星」はきわめて強力に胎児に影響を及ぼし、それによってその本質を深く固く刻印し、形成するのである。
なぜなら母体の中の子は母の影響にさらされ、粘土が陶工の手にゆだねられているように、いわば彼の母の手と意志にゆだねられているからである。
陶工は粘土から、彼の欲するものを、彼の気に入るものを作り出すのである。
こうして子供は恒星も惑星も必要としない。彼の母がその恒星であり惑星である。』
(自然の光 パラケルスス/[著] 人文書院P70-71から引用)
パラケルススは、受胎と出産に以下四つの要素を立てる。肉体、空想力、形態、影響であるが、このうち肉体は遺伝子情報に近く、形態は家系の因縁に近いイメージ。
空想力は、子供の理性、精神を醸成する。
影響は母の内なる星からの影響であり、母のメンタルの潜在力というべきもの。
こうして四要素中の肉体と形態の二要素は母自身ではどうしようもないものであるが、残り二要素は自ら創造するものである。
人は意識的に無意識的に願望実現のために観想法をやっているものだが、受胎・出産においても同様に観想法が行われているとパラケルススは見ている。
いわゆる魂は受胎時に入る。人間のエーテル体、アストラル体も肉体形成に合わせて形成されるのだろうから、その形成に際しては、妊娠中の母の影響は大きいと思う。その辺を意識してか星辰の影響ということをパラケルススは言及している。
人は肉体だけではない。