◎別の出口を作る
(2016-10-31)
聖ドナトゥスは、古代ローマのキリスト教の聖者。皇帝テオドシウス一世の皇女が悪霊に取りつかれてドナトゥスのところに連れてこられた。悪霊は、十字架から火が出るドナトゥスを恐れ、出口を作ってくれないとどこから出たらよいかわからないという。
聖ドナトゥスは、皇女に出口を作ってやったところ、悪霊は皇女の体から出て、教会の建物全体を震わせながら逃げていったという。
憑依には3種あるが、このケースはすでに憑依されていたので、ルートはあった。シャクティ・パットは口を作ることだともいうので、ここで作った出口はもともとあった口とは異なるものだったのだろうか。
またこの話には、この皇女が再び悪霊に憑依されなかったかどうかは書かれていないし、その後の彼女は幸福な人生を送れたかどうかも書かれていない。
聖人の奇跡譚ならば、これで十分だが、疑い深い現代人はこの話だけでは納得すまい。
大本教が大正時代以前に盛んにやった帰神という憑霊実験は、低級霊が多数憑依しさんざんだったし、最近ではオウム真理教の道場で似たようなことが起きていたことも伝えられている。
これだけあらゆる洗脳手法と余計な情報のある中で、こうした悪霊追い出し譚はもはや牧歌的とさえ思われる。霊能霊感のあることと悟りは全く関係ないことを熟知している現代人は、もはやこうした憑依霊追い出し話だけでは食い足りないだろう。