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TPPで著作権保護期間が死後70年に延長か

2014-05-14 07:39:29 | 日々のこと(一般)
という記事。とりあえずここにリンクしておきますが、要は、アメリカはミッキーマウスやクマのプーさんの著作権料でJASRAC一つ分という巨額の収入があるようで、それをなるべく延ばしたいということのようです。アメリカはもともと70年ですが、日本(や多くの国)は50年なので。日本はというとTPPから守りたいものもあるので、取引きによって国内外双方の人気取りをしようとするかもしれない(収支が合うかはともかく)という記事です。

いろんな立場の人がいるでしょう。マイナーかもしれませんが、作曲の観点でひとこと。ラヴェルの楽譜、私のこれまでの人生の半分以上はデュランとサラベールの独占でした。それはラヴェルの死語50年経っていなかったからです。値段がべらぼうに高いだけではなく、特にデュランはミスプリがやたらに多く、それも放置しっぱなしです。1987年以降しばらく経って日本の出版社も含め多くの楽譜が出るようになり、校訂はもちろん解説も立派なものが出るようになりました!

もう一つ。組曲「惑星」も作曲者のホルストがラヴェルと同世代です。最後に女声合唱が出るのですが、興行費用の観点からダフニスとクロエ組曲みたいに合唱抜きでやりたい興行主が多いところ、ホルストがそれを許さず、遺族がそれを踏襲したのです。これは鑑賞者としての私にとってうれしい遺言でした。一方で冨田勲がシンセサイザーで惑星のアルバムを出したとき、ナマの合唱を使わないシンセサイザーによる演奏が例外的に認められました。認められなかったらあのアルバムは存在しなかったわけですね。

芸術作品は、作者あるいはその家族が生きているときは貴重な生活費となるでしょうが、早々に人類共通の財産になるわけです。そうなるまで70年というのは長すぎる。私は編曲したい近代音楽は多々あります(金を稼いでいるわけではないのでやってもかまわないのかもしれませんが)。バッハやモーツアルトの時代のように年金システムに頼れない未亡人は細々と手書き楽譜を売って生活したらしいのですが、それでも70年は長いのではないでしょうか。
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