詠里庵ぶろぐ

詠里庵

「米民間企業の商業ロケット

2010-06-08 21:36:47 | サイエンス
初の打ち上げ試験に成功」だそうです。宇宙もいよいよ官から民へ?・・・将来宇宙探査は民間に丸投げしてNASAやJAXAは成果を挙げたことにするのでは、なんて思った人もいるかもしれません。

そういう危険性は全くゼロとは言い切れませんが、私は産官学の連携がうまく行くことを期待したいと思います。

学生の頃、レーザーは買ってくるものではなく、作るものでした(*下記注)。
今やレーザーは買ってくるものです。下手に「作製する」なんて研究計画を立てようものなら、「そんなヒマがあったら、あなたが作るよりよほどいいものが売られているから、買って来て、その先をやりなさい」と言われるでしょう。で、そういう時代になって光の研究はレーザー製造会社に丸投げということになっているかというと、全然そんなことはありません。「その先」をやるわけです。

研究者が工作室に出入りして新しい機器を作りあげるなんてことは、段々過去の話になりつつあります。今日、とある研究所に出張しましたが、そこはまだ「工作室」というものがありました。大学でも研究所でも工作室が減って来ています。そんなことで大丈夫かと思う一方、進歩と複雑化のもたらす必然という面もあります。これはうまくやらないと研究者は「発注手配師」機器納入者は「業者意識」に陥りやすいかもしれません。

ハイテク機器製造販売者と研究は互いに刺激してうまく絡み合ってこそ科学技術は発展します。これは古くからある話で、そもそもグラスゴー大学相手に実験器具販売修理を営んでいたジェームズ・ワットがいます。彼がいなかったら後年カルノーも熱力学の端緒を切り開くことはできなかったでしょう。ワットの名は電力の単位にもなっています。「業者」の名が重要単位の名前として残ったのです。昔だからこそとはいえ、すごいものです。

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*もちろん当時製品もありました。「Spectra Physics社でしょう?」という声が聞こえてきそうです。もちろんそうですが、日本にもありましたよ。私が使ったのは波長1.15μmのヘリウムネオンレーザー。ヘリウムネオンレーザーといえば当時から赤と思われていましたが、この1.15μmは赤外です。どこの会社かと言えば、NEC。他にもレーザー作っている日本の会社はありました。
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