立春が過ぎても寒い日々は続いてますが、九想庵の庭にも小さな春がやってきています。
福寿草の花が咲きました。
梅のつぼみもふくらんでいます。
こんな姿を見るとうれしいですね。
「テロリストのパラソル」(藤原伊織 著 角川文庫) を1月に読んだ。
1995年に第41回江戸川乱歩賞を、翌1996年に第114回直木賞を受賞したミステリー小説です。
乱歩賞と直木賞のW受賞は、他の小説ではないそうです。
面白く読めた。
土曜のある朝、アル中のバーテン、島村は、新宿の公園で一日の最初のウイスキーを口にしていた。
その時、公園に爆発音が響きわたり。爆弾テロが発生。
死傷者50人以上。島村は現場から逃げ出すが、指紋のついたウイスキー瓶を残してしまう。
テロの犠牲者の中には、22年も音信不通の大学時代の友人も含まれていた。
島村は容疑者として追われながらも、事件の真相に迫ろうとする。
(本の背表紙より引用)
主人公島村圭介(旧名・菊池俊彦)は、東大在学中に、友人らと学生運動をしていた。
東大駒場にあった第八本館に籠城していた。
(むかし、東大駒場の生協で働いていたことのある私は感じるものがありました)
仲間に、リーダーの立場にいた桑野、劇団を主宰していた園堂優子がいた。
この小説の中心は「新宿中央公園爆破事件」だろう。
話はそれるが、私が20代前半の頃、8ミリ映画を作るグループにいたことがあった。
そのとき新しく映画を作ることになった。
私がシナリオを書いて主演した映画の名前が、「新宿中央公園殺人事件」という題名だった。
新宿中央公園でロケして映画を撮った。
20分ほどの映画だったが、あのフィルムは誰が持っているのだろう?
残っているものなら観たいです。
まったく関係ない(それにつまらない)話ですみません。
学生運動が下火になってから島村は、東大を辞めてボクシングを始める。
かなり強く上のほうに行ったが、むかしの爆破事件がバレないようにするためにボクシングを辞めた。
アル中の島村、ヤクザの浅井、3ヶ月間同棲していた園堂優子の娘塔子との関係がいい。
読み応えのある小説でした。