遊びで財産を全てなくしてしまった竹次郎という男が、
江戸の兄を頼って田舎から出てきた。
「兄さんのとこで奉公させてくれ」と頼むと、
「自分であきねえぶったらどうだ」といって金を貸してくれた。
さすが兄さんだ、と感謝の気持ちいっぱいで中身を見るとたったの3文。
悔しいが、3文とはいえ地面を掘っても手には入らぬと思い直し、
これを増やして兄を見返してやろうと決心した。
米屋に行き、さんだらぼっちを買うというより貰ってくる。
それをほどいて小銭を数える道具の「さし」というものを作る。
それを売って3文を6文にして、…12文、……。
その金で、俵を買ってきてわらじを作ったりさしを作ったり…。
ある程度の金が貯まると、商売を始める。
朝、昼、晩とできるかぎりの商売をする。
そんな竹次郎に嫁を世話する人もいて所帯も持ち、娘も生まれた。
10年たって、
竹次郎は人を使い、蔵を3つも持つような商人になった。
兄の所へ3文と礼の2両を持って行く事にした。
その日は風が強く、留守中に万一火事にあっても蔵だけは守りたいと、
番頭に蔵の目塗りと鼠穴の始末を頼んで出かけた。
兄に会い、酒を飲み10年前の礼をいう竹次郎。
鬼の様な兄だと思い込んでいたが、
実は弟のためを思ってわざと3文しか渡さなかったと聞いて、
わだかまりも解けた。
遅くまで酒を酌み交わし、兄は泊まって行けと勧めるが、
竹次郎は火事が心配なので帰りたい、という。
兄が、もし家や店がなくなったらいつでも来い、
この身代みんなやる、とまで言うので泊まる事にした。
真夜中に竹次郎は叩き起こされて目をさます。
店の方が火事らしいと聞き、飛んで帰る。
土蔵の目塗は済んだと聞いて安心したのもつかの間、
「鼠穴は?」と番頭に訊ねると…。
そうこうするうちに、鼠穴から蔵に火が入り全て焼けてしまった。
店を立て直そうと頑張ったがうまく行かず、
使用人もひとり減りふたり減りして表に店を構えていられなくなる。
そのうち女房が患い込んでしまった。
どうしようもなくなり、娘をつれ商売の元手を借りに兄の所に行く。
兄さんにその事を切り出すと、酒の上での話を鵜呑みにされては困る、
商人は得にならない金は貸さないと言われ、たたき出されてしまった。
帰り道、幼い娘が吉原に行くといい出した。
竹次郎は泣く泣く娘を売って金を手にするが、その金をすられてしまう。
「もうどうしようもない」と、自分の帯を木にぶらさげ首をくくった…。
真夜中、叩き起こされて目をさます竹次郎。
兄の家だった。
竹次郎は夢を見ていたのだ。
兄に夢の話をすると、笑って
「夢は土蔵の疲れだ」
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立川談志ひとり会(3)
(昭和41年6月12日 東京新宿 紀伊国屋ホール「第7回ひとり会」)
のCDを聴いてだいたいの噺を書いた。
談志はいいですね。
今の談志を聴いてみたいな。
江戸の兄を頼って田舎から出てきた。
「兄さんのとこで奉公させてくれ」と頼むと、
「自分であきねえぶったらどうだ」といって金を貸してくれた。
さすが兄さんだ、と感謝の気持ちいっぱいで中身を見るとたったの3文。
悔しいが、3文とはいえ地面を掘っても手には入らぬと思い直し、
これを増やして兄を見返してやろうと決心した。
米屋に行き、さんだらぼっちを買うというより貰ってくる。
それをほどいて小銭を数える道具の「さし」というものを作る。
それを売って3文を6文にして、…12文、……。
その金で、俵を買ってきてわらじを作ったりさしを作ったり…。
ある程度の金が貯まると、商売を始める。
朝、昼、晩とできるかぎりの商売をする。
そんな竹次郎に嫁を世話する人もいて所帯も持ち、娘も生まれた。
10年たって、
竹次郎は人を使い、蔵を3つも持つような商人になった。
兄の所へ3文と礼の2両を持って行く事にした。
その日は風が強く、留守中に万一火事にあっても蔵だけは守りたいと、
番頭に蔵の目塗りと鼠穴の始末を頼んで出かけた。
兄に会い、酒を飲み10年前の礼をいう竹次郎。
鬼の様な兄だと思い込んでいたが、
実は弟のためを思ってわざと3文しか渡さなかったと聞いて、
わだかまりも解けた。
遅くまで酒を酌み交わし、兄は泊まって行けと勧めるが、
竹次郎は火事が心配なので帰りたい、という。
兄が、もし家や店がなくなったらいつでも来い、
この身代みんなやる、とまで言うので泊まる事にした。
真夜中に竹次郎は叩き起こされて目をさます。
店の方が火事らしいと聞き、飛んで帰る。
土蔵の目塗は済んだと聞いて安心したのもつかの間、
「鼠穴は?」と番頭に訊ねると…。
そうこうするうちに、鼠穴から蔵に火が入り全て焼けてしまった。
店を立て直そうと頑張ったがうまく行かず、
使用人もひとり減りふたり減りして表に店を構えていられなくなる。
そのうち女房が患い込んでしまった。
どうしようもなくなり、娘をつれ商売の元手を借りに兄の所に行く。
兄さんにその事を切り出すと、酒の上での話を鵜呑みにされては困る、
商人は得にならない金は貸さないと言われ、たたき出されてしまった。
帰り道、幼い娘が吉原に行くといい出した。
竹次郎は泣く泣く娘を売って金を手にするが、その金をすられてしまう。
「もうどうしようもない」と、自分の帯を木にぶらさげ首をくくった…。
真夜中、叩き起こされて目をさます竹次郎。
兄の家だった。
竹次郎は夢を見ていたのだ。
兄に夢の話をすると、笑って
「夢は土蔵の疲れだ」
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立川談志ひとり会(3)
(昭和41年6月12日 東京新宿 紀伊国屋ホール「第7回ひとり会」)
のCDを聴いてだいたいの噺を書いた。
談志はいいですね。
今の談志を聴いてみたいな。