女房が先日やった
スペインレストランでのライブの反省会を
所沢駅近くの先生の家でやっている。
そのときのビデオを見て、
料理を食べ、ワインを飲んでいるのだろう。
3時半頃終わるというメールが来たので、
その頃まで、所沢駅にウォーキングで行ってる。
と私はケータイのメールを打ち出かけた。
家から所沢駅までは2駅ある。
40分ぐらいで行けるはずだ。
市街地に入ると、車は進入禁止になっていて、
道路中すごい人間が蠢いていた。
山車が何台もあった。
人と人の間で動きずらそうだった。
山車の上には、笛や太鼓の囃子方と
ひょっとこやおかめの面をつけて
踊るひとが乗っている。
お囃子を聴いていて、
なぜか涙が出てきてしまう。
太鼓叩いてるひとも、
笛を吹いてるひとも、
山車を引いてる大勢のひとも、
日頃の暮らしで苦労しているんだ。
そんなことを心の底に沈めて、
今日は祭りに酔っている。
プロペ通りなんて、人ひとヒトで歩けなかった。
所沢駅に着く頃、女房から電話があった。
駅前にはステージがあり、ロックバンドが演奏していた。
本当は、私たちのバンドもあそこでやる予定だった。
ヴォーカルのひとが仕事が忙しくて、
今回は見合わせた。
女房がやってきて、ふたりで歩く。
道ばたの店でビーシュ(発泡酒)を買った。
130円だった。
ビールが200円なのでありがたい。
焼きイカと焼き鳥も買う。
これですっかりお祭り気分になれた。
しばらく歩いてビーシュの次は樽酒にした。
紙コップで300円。升だと500円だった。
私は当然紙コップ。これがうまい。
駅に戻ると、アルトサックスの音が聴こえた。
あ、あれはキムさんの音だ。
ステージ脇に行くと、キムさんが降りできた。
女房を紹介した。
今日は、総合司会もしている。
そこにいるとバンドの仲間が次々来た。
ベースとギターはステージに立ったようだ。
われわれのバンドのリーダーもいた。
息子がバイトしたコンビニのオーナーだ。
女房に紹介すると、
「息子がお世話になりまして」
なんてお礼をいっていた。
ステージの前のイスには、
楽家のマスター、ママ、常連の客がいた。
土日で1泊の旅行をしてきたはずだ。
私はお金がなくて参加しなかった。
女房に話しかけてきた女性がいた。
ふたりは楽しそうに話している。
息子が小6のとき、
同じクラスの子のお母さんらしい。
今日は、ロックバンドのキーボードとして
参加しているという。
「もう孫がいるのよ」なんて話していた。
別れてから女房が、
「あのひとの名前が思い出せない」
と悩んでいた。
私はそこの「いいちこ(焼酎)」をけっこう飲んで、
すっかり出来上がってしまった。
昼間、真っ青だった空が薄墨色になってきた。
白く光る蝶みたいなものが沢山飛んでいる。
あれは蝙蝠だと教えてもらった。
いろいろな照明に反射して白く見えるらしい。
6時ちょうどにその場所を離れた。
思いがけなく楽しい所沢まつりだった。
昨日、天気がよかったので、
頭もすっきりさせようと思って、床屋に行った。
12時過ぎ、床屋から帰ってきたら、
行く前には寝ていた女房が起きていた。
「みきちゃんが離婚したんだって!!」
いきなり女房がそういう。
「みきちゃんって、あのみきちゃん」
「そう。午後2時に小手指駅で会うことにしたの」
私の心にただならぬ衝撃波が広がった。
みきちゃんは女房の友人で、
この公団住宅に住んでいた。
息子たちが幼稚園に行ってたとき、
娘さんも同じ幼稚園で、それで友だちになった。
息子たちが小学生に上がった頃、
西武池袋線の所沢から4、5番目の駅の
マンションを買って引っ越した。
みきちゃんの旦那さんが友人と会社を起こし、
収入が増えマンションを買ったことを聞いた。
3DKのマンション。
私たちには夢の世界だった。
新しい家具があり、娘さんの部屋もあった。
その頃、私たちは築40年近いテラスハウスの2DK。
そのマンションの横を入間川が流れていて、
引っ越してから2、3年は、
幼稚園で仲の良かった3家族が集まって、
毎年春に河原でバーベキューをした。
もうひとりの友人の旦那さんは、
国立大学を出て、
誰もが知ってる大きな会社に入っていた。
やはり、子どもが幼稚園を出た頃、
川越の先に建て売りの一軒家を購入していた。
うちは…、今でも公団住まい。
息子たちが中学生の頃か、
みきちゃんの旦那さんの会社が傾いた。
マンションを売ってその金を、
会社の資金繰りに回したとかいう話を聞いた。
初めてバーベキューに行ったとき、
嬉しそうにマンションの部屋を案内してくれた
みきちゃん夫婦の姿を想った。
夕方、女房が帰ってきたとき、私は布団に寝ていた。
(ああ…、怠惰な休日をまた過ごしている)
「みきちゃんの旦那さん、自己破産したんだって。
ふたりで自己破産しなくてもいいように、
離婚したんだって」
「それじゃ、へんなことで別れたんじゃないんだね」
何年かしたら元の鞘に収まるかな、
と思ってほっとした。
いや、それは分からないだろう。
娘さんは高校を出て就職しているという。
一度“離婚”という状態になってしまったら、
やはり難しいかな。
うちだってこれまで、
こういうことがなくはなかった。
紙一重の人生を送っている。
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昨日は夕方から、
インターネットにアクセス出来なくて困った。
深夜までいろいろやったが復旧しなくて
九想庵を更新出来なかった。
ルーターのせいだとは分かっていた。
息子が朝帰りしてきて、直してくれた。
立場が逆転している。
嬉しいような、哀しいような。