pure's movie review

鑑賞した映画の感想です。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

2012-10-20 09:03:12 | アメリカ映画(ま行)



2011年 アメリカ作品 129分 ワーナー・ブラザース配給
原題:EXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE
STAFF
監督:スティーヴン・ダルドリー
脚本:エリック・ロス
原作:ジョナサン・サフラン・フォア『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(NHK出版)
CAST
トム・ハンクス サンドラ・ブロック トーマス・ホーン マックス・フォン・シドー ヴァイオラ・デイヴィス


あの日父を失くした少年の、喪失と再生のものがたり

■Story
9.11アメリカ同時多発テロで最愛の父を失った少年、オスカー。
いまだ悲しみから立ち直れずにいる母と2人暮らしの日々。
そんなある日、父の遺品の中から一本の鍵を見つける。
それが入っていた封筒には“ブラック”の文字。オスカーはこの鍵に父のメッセージが託されていると確信し、母親に内緒でニューヨークに住むブラック氏をしらみつぶしに訪ねて謎を解き明かそうと決意する。
やがて、祖母のアパートに間借りしている風変わりな老人がオスカーの鍵穴探しの旅を手伝うようになるのだが…。
allcinemaより)



■Review



うーん。評判がいいこの作品。しかも親の喪失から立ち上がろうとする少年の話となれば、自分の経験と重なるものもあり、「号泣しちゃうんだろうなぁ~」なんて思ってティッシュを手元に用意して挑んだ。
けど、、、何だか嫌悪感しか出てこなかった。
お母さんや間借人に、見境なく口汚く罵るシーンが、観ていて辛かった。
一緒にブラック探しをしてくれている間借人のおじいちゃん、あんなコキつかわれて死んじゃうんじゃないかとハラハラ…。((;゜Д゜) 休憩とってあげて~。
お母さんに、「あのビルにいたのが、パパじゃなくてママだったらよかったのに」と言ってしまうシーンでは、観るのをやめようかと思った。
その後、「本心じゃないよ」なんて言っていたけど、それは絶対に言ってはいけない一言だった。
亡くなった人ばかりに思い入れるあまり、今目の前にいる人をとことん傷つける。それは愚かな行為だ。

と、ここまで思って立ち止まった。

あ、これ自分だ、と。
自分を見ているようだから、このオスカーがキライなんだ、と。

二年前に母を亡くした私は、最近こそおさまったものの、一時周りを困らせる発言ばかりしていた。
今なら「時間が癒してくれるよ」という、よく聞く教えを「なるほどな」と納得出来るものの、その当時はそんな言葉は耳で聞いても心に届かない。
むしろ「あんたには分からないわよ」という反発や怒りだけが生まれる。
自分でもコントロール効かない状態。そんなオスカーは、本当に過去の自分そっくりだった。
前回書いた、「ツナグ」の感想にも書いたけど、やっぱり大切なのは「今生きている人」なんだと、最近思いなおした。
死生観が、最近大幅に変わってきたかもしれません。

古傷をえぐられるような気持ちで観続けていると、ラスト近くで明かされる6本目の電話の存在。
出られなかったオスカーの気持ち、なんとなく分かるなぁ。
ただただ怖いのと、これが最後の電話と認めたくないのと…。

でも希望の持てるエンディングでよかった。
やっぱり、亡くなった人との思い出を胸に、生きている者同士支えあっていくしかないんだなぁと思いました。


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