2007年 日本作品 142分 松竹配給
STAFF
監督:松岡錠司
脚本:松尾スズキ 原作:リリー・フランキー
CAST
オダギリ・ジョー 樹木希林 内田也哉子 小林薫 松たか子
原作だけ刊行当時に読みました。原作は徹夜で読んで泣き明かしてしまい、翌日会社を休んでしまったほどです。
一人っ子、母親の癌、時々出てくる破天荒な父親、、、すべて私自身が経験していることなだけに、書かれていることすべてに共感以上のものを感じました。
今思えば、この作品で、「母親が死ぬこと」の予行練習をさせられたように思う。
やっぱり「宇宙人の到来」よりも恐ろしい、この事態はやってくるんだ、という恐怖を当てつけられ、
そして、これを経験した人でもその先生きていけるんだ、という、勇気をもらえた。
それから三年後の2010年、私も経験してしまった。
TVシリーズや二時間ドラマは観てません。そしてこの劇場版も今回初めて。
本で読んでも、映像で観る気にはなかなかなれなかった。理由は「おくりびと」でも書いたけど、死の匂いのするものを見たくなかった。そして、癌や闘病をお涙頂戴の手段として使う作品は毛嫌いをしているから。そういう作品に触れると、そんなキレイなもんじゃない、と叫びたくなる。この作品も原作は素晴らしくても二時間映画になればそういうものになってるんじゃないか、と思ってた。
でも大丈夫だった。淡々と描かれていて、嫌悪感は感じなかったです。キャストもいい。若い頃のオカンを演じた内田也哉子だけ、さすが親子で樹木希林の若い頃という説得力はあったんだけど、演技力がちょっと×。母性本能を感じさせなかった。
その若い頃のオカンの演技力の問題からなのか脚本の問題なのかは定かではないけど、開始一時間はかなりダレた。
原作では微笑ましい時間で、この頃からのオカンの深い愛情が、後半に行くにつれて胸に突き刺さることになる描写なはずなのに、映画版ではかなり退屈。リリー・フランキーの少年時代の子役にもしっくり来なかったかも。小林薫だけが存在感を放ってました。こういう役どころの小林薫って初めて見た。「秘密」のような、気弱なお父さんのイメージしかなかった。すごい役者だなぁ、と感心。
後半は文句なし。涙こそ出なかったものの、リアルだなと思った。
でもやっぱり心境って、一番本、文章が表現できる手段だと思う。
闘病中のあの葛藤、怒り、そして亡くなった後の喪失感、孤独感、悲しみ、謝罪、それは映像では表現に限界がある。
文章には文章の、映像には映像の利点があるものだけれども、この作品はやっぱり文章の利点が大きくて、原作にはどう映像化しても適わない。そう思いました。
ランキングに参加しています。
もしよろしければ、ポチっと押して下さいませ。σ゜ロ゜)σ エイッ