2012年 日本作品 127分 アスミック・エース配給
STAFF
監督:蜷川実花
脚本:金子ありさ 原作:岡崎京子『ヘルタースケルター』
CAST
沢尻エリカ 大森南朋 寺島しのぶ 綾野剛 桃井かおり
■Story
完璧な美貌で芸能界の頂点に君臨するトップ・モデル、りりこ。実は、彼女には絶対に知られてはならない秘密があった。
彼女の美しさは、ほとんど全身に施された美容整形の賜であり、そのために免疫抑制剤の服用が欠かせなかった。
だが、整形の後遺症は確実にりりこの身体を蝕んでいく。
そんな中、美容クリニックをめぐる事件を追う検事の影がりりこに迫る。
さらに、生まれたままの美しさでりりこの存在を脅かす後輩モデルまで出現し、次第にりりこは精神的にも追い詰められていく。
(allcinemaより)
■Review
打ちのめされた。何度も体が震えた。
私が今までに打ちのめされた映画を挙げよう。
「ブラック・スワン」「オールド・ボーイ」「告白」だ。
どれも主人公が狂気に冒されている。でも私は「行くところまで行ってしまった狂気」に美しさを覚えてしまうのだ。
その「狂気」は、りりこという役ではなく、沢尻エリカという生身の女優からも感じられる。
だから私は彼女が好きだ。一連の騒動も、「興味深い」と思って観ていた。
そりゃ、友達にはなりたくない(なれないっつ~の^^;)し、火傷を負わされそうだから近くにもあまりいて欲しくない。
でも、こういう人は芸術の世界には必要だと思う。
りりこと私は似ている。
・・・何だか蹴り飛ばされそうだ…。イタイッテェ σ(TεT;)
でもこの気質は間違いなく私の中にもあるのだ。
ただの一般人なので「ただの気難しい人」と周りには見られることも多い。
ただの一般人なので規模が小さい話なのだが、周りから認められたい、すごいと思われたいという欲が激しい。
「自己啓示欲」が激しいのだ。
そして、劇中の麻田のセリフにある、「みんな自分のことで忙しいんだ、(どんなにすごいことをして見せても)15分後には忘れている」という事実に打ちのめされる。
そしてそれを分かった上で、更なる事件を起こしたくなる。
私はそんなとき、いつも「ピエロみたいだな」と思う。
自分は美には執着していない。りりこのような美にも恵まれていない。りりこのような華やかな世界にもいない。
それなのに、共感せずにはいられなかった。
完全に安全な場所から、次々と発せられる無責任な批判と雑音に、私もどんどん追い詰められた。
更に興味深かったのは、寺島しのぶの存在。
りりこが動の激しさなら、彼女は静の激しさを持っている。りりこが若なら、彼女は熟。
この対比が興味深い。そして寺島しのぶという女優のキャスティングが更に興味深いものへとした。
とにかく素晴らしかった。
「見たい物を見せてあげる」-本当に見たい物を見せてもらった。
私はこういう作品と稀に出会えるから、生きていける。
大げさな言い方かもしれないが、本当にそう思う。
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