■ アメリカの雇用統計の悪化と、企業決算の不透明感 ■
アメリカは雇用統計が9ヶ月ぶりの低い伸びに留まっています。
雇用が伸びないという事は、企業の業績が回復していない事の表れです。
企業決算の発表を前に、アメリカでは景気の後退懸念が発生しています。
米景気は実は昨年中ごろから後退し始めていたという情報もあり、
QE3による資産バブルやジャンク債市場の活況が、
「アメリカの好景気」という、実体経済から乖離した経済指標を演出していたのでしょう。
■ QE3を実施しても景気が回復しないとおう「失望感」 ■
アメリカは月に7兆円規模の金融緩和を実施中です。
金利も、記録的に低い状況で、景気が後退し始めたら、
人々は、QE3や金融緩和の効果に対して疑いを持ち始めます。
元々、流動性の罠が発生した状況では、金融緩和の効果は非常に薄いのですが、
アメリカ人は日本人と異なり、資産をリスク市場で運用しています。
ですから、リーマンショックで崩壊したリスク市場の回復は、
アメリカ人の個人資産の回復と同義とも言えます。
FRBの量的緩和は、意図的に資産バブルを生み出して、
アメリカ人の個人資産の価値を拡大する意味においては正しい政策とも言えます。
株価は既にリーマンショック以前の水準に達しています。
一方で、住宅価格の戻りが鈍く、これが個人消費への重荷となっています。
QE3は実施当初から「出口」について色々語られていますが、
現在のアメリカの状況を観る限り、「出口」はまだまだ薄明かりすらも見えません。
こうした中、QE3の効果に対する期待感が薄れると、
アメリカの景気が後退局面に入る危険性があります。
既に、ジャンク債市場などは金利低下が著しく、
明らかにバブルの状況となっています。
アメリカの景気先行きに黄色信号が灯り、
これらのリスク市場から資金が引き上げられると、
一気に市場が暴落する可能性が高まります。
これが、本格的な金融危機に発展するかどうかは未知数ですが、
アメリカ経済の楽観論は、ここ1週間で急激に後退してしまいました。
尤も、アメリカ経済を労働参加率に注目して観察していれば、
アメリカの経済が回復していない事など一目瞭然ですから、
今更驚く様な事ではありません。
アメリカ経済は財政とバブルの両面から
順調に崖っぷちに向っているだけの事です。
■ 万が一の場合は、「ウヤムヤ」にしてしまおう!! ■
2008年9月 リーマンショック
2009年6月 新型インフルエンザのパンデミック宣言(WHO)
2010年3月 韓国哨戒艇沈没事件
2010年 イラン、ホルムズ海峡の封鎖を示唆
この間に2009年9月にアメリカのピッつバーグでG20首脳会合が開催されています。
サルコジ大統領が、「第二次ブレトンウッズ体制」などと発言をして、
ドルの機軸体制の継続性に疑念が高まっていた時期です。
世界が協調してリーマンショックの処理に当たった為、
世界の金融市場の大崩壊も、ドルの暴落も発生しませんでした。
その一方で、何故か、ほとんど害の無い「新型インフルエンザ騒動」が勃発し、
さらには、朝鮮半島では一発即発とも成りかねない哨戒艇撃沈事件が発生しました。
2010年には、イランを巡り、ホルムズ海峡の緊張が高まりました。
どうも、リーマンショック後、ドルの信認が失われかけると、
世界で、思いもしない様な事件が起こるような気がします。
そいれが、「有事のドル買い」への布石なのか、
それとも、万が一、ドル暴落などという事態が発生した場合、
世界もろとも「ウヤムヤ」にしてしまう為の仕掛けなのかは分かりません。
しかし、今回の中国に鳥インフルエンザ騒動と、
北朝鮮の突然の強硬姿勢は、
何だか、リーマンショック後の世界情勢がダブって見えてしまいます。
■ 事あらば、危機が発動されるのか? ■
日銀のバズーガ砲で、アメリカ経済は一息付けそうですが、
発射まで、まだ時間が掛かりそうです。
その間に、米経済やドルに不測の事態が生じた時、
何だか、北朝鮮が暴発したり、
中国発の鳥インフルエンザのパンデミックが起こりそうな気もします。
まさかとは思いますが、警戒は怠り無く・・・。