人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ヨーロッパに仕掛けるかな・・・ドル防衛の為のユーロ叩き

2013-04-16 23:41:00 | 時事/金融危機
 



GS 妖精物語 2013年2月末


GS 妖精物語 2013年3月末

■ ヨーロッパの国債が積み上がっている ■

毎度お馴染みの定点観測。

2月末とあまり変わっていませんが・・・

1) ヨーロッパの国債が上位に来ていまる

2) 社債の比率は下がっていない

3) BBB格は減っていない

これをどう捉えたら良いのでしょうか?

ここにヨーロッパの債券が積み上がると、
その翌月くらいからユーロ危機が表面化して、
ユーロ圏の国債金利が上昇する傾向があります。

現在、イタリアなど南欧の国々の国債金利は安定しています。
そろそろ仕掛けて利益を出したい所では無いでしょうか。

■ ドル防衛の為のユーロ危機 ■

最近、アメリカの景気後退の傾向が明確化したと思われます。
経済指標も、資産バブルの市場は過熱していますが、
実体経済に関する指標は冴えません。

金やコモディティー市場から資金が引き揚げられていますが、
安全資産と思われていた金は、「金FTE」という紙切れの市場なので、
リスクが意識されると、逆に売られる事を、今回の下落が明らかにしています。

ちょっと、世界経済にピリピリとした緊張が走っていますが、
アメリカは、ユーロ危機を煽って、米国内に資金を誘導したいはずです。

キプロスで破綻処理と国民負担の雛形が出来たので、
ユーロで再び混乱が広がると、ギシシャやスペインの国民は、
預金を引き出すという行動に出ないとも限りません。

ボストンのテロや、北朝鮮の挑発や、中国の鳥インフルエンザなど、
世界が少しずつ狂ってきているのかも知れません。

最強の女子中学生が帰って来た・・・『とある魔術師の超電磁砲』

2013-04-16 09:21:00 | アニメ
 






■ 社会から消えた「超能力」 ■

私などは『バビル2世』の世代ですから、
「超能力」にはある種の憧れがあります。

「テストの答案が透視出来たらな・・」とか
「学校までテレポートできたら、もう少し寝ていられるのに・・」なんて
どうしようも無い事を想像する子供時代を過ごしていました。

しかし、超能力も限度を過ぎると人を不幸にする様で、
史上最強のエスパーと思われる『超人ロック』は孤独な存在です。
まあ、『エスパー魔美』ぐらいが丁度良いのかも知れません。

一時代を築いた「超能力漫画」や「超能力アニメ」ですが、
近年はすっかり下火となってしまいました。

女の子の「魔女っ子」というジャンルが生き残っている事と比較すると、
何故、現代では「超能力」が魅力が無いのか、いささか不思議でもあります。

以前はTVの特番などで、ユリゲラーなどの超能力特集も沢山ありましたが、
やはり、一応、科学の体裁を取る超能力は、
科学的に実証されなければ、否定される存在となってしまいます。

「超能力ってウソなんだぜーー」と子供達が言い合う様になると、
「超能力=ダサイ」という関係性が出来上がります。

それと比較すれば、「魔法」は元々ファンタジーの領域です。
夢物語を頭から否定するのは、いささか大人げ無い。
だから、「パパ、魔法使いって本当に居るの?」と娘に聞かれても、
「そんなの作り話さ!!」と言い切る親は少ないでしょう。

ところが息子に「お父さん、超能力者って居るの」と聞かれたら
ちょっと答えに困ってしまいます。
「当たり前だ、きっと凄い能力者が隠れているに違いない」などと応えて
子供が学校でそれを誰かに話したら、きっとイジメられるだろう・・などと考えます。
だから「超能力は科学的には実証されていないんだよ」と真面目に答えてしまいます。

■ パーソナル・リアリティー ■

ところが最新の科学は、超能力の存在を否定しません。

素粒子論や宇宙の秘密が解き明かされるに従って、
物質という概念は、限りなくエネルギーや情報に近づいています。

もし、物質が情報的な性質を持つならば、
何らかの情報操作で、物理的な現象が起きても不思議ではありません。

SFは最新の科学を利用した「ホラ話」です。
この最新の科学を利用して、気の効いた「ホラ話」を作る人達が現れます。
特に、『とある魔術師の禁書目録』というラノベ作品では、
「超能力」と「魔術」を対比させる事で、
今までとは全く違う、超能力像を作り出す事に成功しています。

近い未来、「学園都市」には親元を離れて、数十万人の子供達が学んでいます。
彼らが学んでいるのは「超能力」。

この作品では、超能力は科学的に解明されており、
独自の教育プログラムによって、誰でもある程度の超能力が使える様になります。

超能力の原理は、「妄想」の延長です。
「パーソナルリアリティ」と呼ばれる超能力の発動原理は、
「自分だけの現実」の獲得から始まります。

最新の科学による宇宙の認識は、
「現在の宇宙とは無限の可能性の一つに過ぎない」というものです。

そこで、物理法則も、この宇宙に特有の物で、
宇宙が違えば、物理法則も違っていると発想します。

そして、「自分だけの現実」を強く妄想する事で、
異なる物理法則に支配される別の宇宙の現象をこの世に現出させる事も可能とします。

これは一種の精神異常者の思考パターンに似ており、
「妄執」こそがパーソナルリアリティーの源になるのです。

これを、科学的に解明し、脳の発達を科学的に促進して、
「パーソナルリアリティー」を獲得させるのが、「学園都市」の教育です。

能力者達はレベル0の無能力者から、
学園に5人しか居ない、レベル5まで、
それぞれの能力に応じてランク付けされています。

■ あまりに進歩した科学は魔術にしか見えない ■

一方、「魔術」の発現原理も、基本はパーソナルリアリティーと変わりません。
しかし、古来より受け継がれる魔術は、
脳を科学的に刺激するのでは無く、
一種の宗教的体系でパーソナルリアリティーを覚醒させます。

魔方陣や、呪文は覚醒を促すアイテムであり、
あくまでも、魔術の実行者が主体になります。

要は「超能力」も「魔術」も同じ物だけど、
発現させる方法が、科学的か、伝統宗教的かという違いでしかありません。
魔方陣や呪文に中には、科学がさり気なく織り込まれているとも言えます。

「発達し過ぎた科学は魔法にしか見えない」を体現しているのです。

■ 本編を超えるスピンオフの傑作 ■

『とある魔術師の超電磁砲』は『とある魔術師の禁書目録』のスピンオフ作品です。

『禁書目録』のヒロインの一人、女子中学生の御坂 美琴(みさか みこと)とその友人達の活躍を描きます。

原作は『禁書目録』と同じ鎌池和馬で、漫画作品として発表されました。
漫画は私も未見ですが、2009年のアニメ化は、長井龍雪が監督しています。

長井龍雪と言えば『とらドラ』で一躍名を馳せましたが、
近年は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』で高い評価を受けています。

スピンオフ作品でありながら、『とある魔術師の超電磁砲』のアニメ版は
明らかに本編である『とある魔術師の禁書目録』を超えています。


学園都市の科学サイドのみを描く事で、
SFとしての魅力が、断然高まっています。
さらに、御坂 美琴を中心とする4人の女子中学生の日常を濃密に描く事で、
対照的に、戦闘シーンやSF設定が際立つ作品となっています。

■ 最強の女子中学生、レベル5のレールガン ■

この作品の主人公は、学園都市でも5人しか居ない
レベル5の能力者、女子中学生の御坂美琴です。

彼女の能力は電撃。
手に持ったコインを電磁力(ローレンツ力)で強力に弾き出す必殺技から
付いた二つ名が、「常盤台のレールガン」。
常盤台とは彼女に通うお嬢様学校の常盤台中学の事。



実際のレールガンは米軍なども研究を進める次世代兵器です。
火薬を使う砲弾と違い、レールガンは、電磁気力で弾を打ち出します。
上の写真は実験用の装置ですが、その威力は従来の火薬で発射される砲弾を凌ぎます。

御坂美琴のレールガンも破壊力は抜群です。

■ 能力レベルがヒエラルギーとなる社会 ■

この作品、最強の女子中学生がレールガンで
敵をバッタバッタと倒して行く内容かと言えば
実は女子中学生の他愛の無い日常描写が大半を占めています。

美琴に憧れる常盤台の後輩の白井 黒子(しらい くろこ)、
黒子のジャッジメント(風紀委員)のパートナー、初春 飾利(ういはる かざり)、
初春の同級生の佐天 涙子(さてん るいこ)。

御坂美琴   レベル5  電磁系能力者
白井黒子   レベル4  テレポーター(瞬間移動能力)
初春飾利   レベル1  サーマルハンド(定温保存能力)
佐天涙子   レベル0  無能力者

学園都市において能力レベルは絶対的な尺度です。
レベルの高い能力者が羨望の的となるのは、学力主義の実社会の写し絵です。

親しい友人の間にも、羨望とヒガミは厳然と存在します。
無能力者の佐天涙子は、普段は明るく振舞いますが、
御坂美琴や白井黒子に嫉妬する自分を認めざるを得ません。

そんな佐天涙子の気持に御坂美琴は気付けません。
彼女がレベル5となったのは、根っからの負けず嫌いからです。
壁が立ちふさがれば、それを乗り越えなければ気がすまないのです。
そんな彼女は、壁の前で逡巡する人の気持が分かりません。

ショッピングをしたり、カフェで他愛の無い会話をしたり、
好奇心から、学園で起きる小さな事件を追っかけたりする
仲の良い4人組ですが、佐天涙子はどこかで疎外感を感じています。

能力が低いが故に、苛められたり、悩んだりする学生は学園都市には沢山居ます。
そして彼らは、簡単に能力が向上すると言われる「レベルアッパー」なるものに手を出します。

ところが、そのレベルアッパーとは・・・・・。

■ アニメの中のユートピア ■

長井龍雪は、日常の描写に優れた作家です。

しかし彼の描く日常とは、現実的な日常では無く、
至ってアニメ的な日常です。

「こんなアニメの様な日常だったら楽しいだろうな」という
視聴者の中高生達の欲求を、巧みに救い上げています。

登場人物達はアニメのテンプレート的なキャラクターを演じます。
しかし、そんなアニメのキャラクターがふと、
現実の自分達と同じ視点で悩んだり、喜んだりする事が、
視聴者の共感に強く働きかけます。

佐天涙子の悩みは、多くの子供達の共感を呼びます。
(彼らの多くは否定するでしょうが・・・)

強者である御坂や白井が、弱者である初春や佐天に寄せる優しさは、
現実の社会では、あまり期待出来るものではありません。

だからこそ、子供達は、アニメの中にユートピアを求めるのでしょう。

■ 前半のエピソードが優れている ■

御坂達の生き生きとした日常でスタートした物語は、
「レベルアッパー」の登場で、現実的な脅威と向き合います。

「誰が何の為にレベルアッパーを開発したのか?」
黒子達の調査によって浮かび上がるのは意外な人物でした。
そして、その人物の目的は、切実で悲しい・・・。

『とある魔術師の超電磁砲』の第一期は24話構成ですが、
前半12話までが秀逸です。

後半は、話が散漫な印象を受けます。

■ 白井黒子こそが主人公では無いのか? ■

男子がほとんど登場しないこの作品、
ヒーロー役は勿論、御坂ですが、
ヒロインは御坂を「お姉さま」と慕う、後輩の白井黒子。

ちょっとユリ系で、御坂の貞操を狙う生意気な後輩ですが、
精神年齢的には、御坂よりも大人です。
いつも御坂を追いまわしながらも、御坂の事を何かと気遣います。

そして、何よりもコミカルな黒子が作品のスパイスとなっています。
ともするとベタベタした感じになりがちな、女子高ものを、
一種、少年マンガに近い軽やかなテーストにしていあます。

実はこの作品の本当に主役は、白井黒子あのかも知れません。

■ 『禁書目録』を見てから見たほうが、一層楽しめる ■

本編の『禁書目録』から独立した作品としても充分楽しめますが、
本編の脇役達にスポットが当たる『超電磁砲』は、
やはり『禁書目録』の第一期を見てから見るのが、正しい楽しみ方です。


お暇な方は、現代SFの最高のエンタテーメントである両作品を楽しまれては?

今期から、『超電磁砲』の第2期がスタートしますが、
第一期を見てからご覧になる事をお薦めします。



<追記>

『ぼくは王様』という教育アニメがスタートしました。
ベストセラーの絵本をアニメ化した作品です。
このナレーションの声が、なんと白井黒子。

たったそれだけの事ですが、あまりのギャップに、
思わず『ぼくは王様』を見てしまいましたが、
結構、ハマってます。

子供が小さい頃は、良く絵本を読まされていました。
「もういっかい!!」と何度も同じ絵本を読まされたものです。

未だに、子供達の絵本の内の何冊かは捨てられずにいます。