■ 誰かに似ている・・・ ■

今、チョー話題のこの、日銀の黒田総裁。
お顔を見る度に、なんとも言えない既視感を覚えていました。
昨日の日銀の発表で、ハタと思い当たりました。
これに似ていたいのです。

『仮面ライダーV3』に登場した、カメバズーガー
ネオ・ショッカーの怪人です。
■ まさに日銀バズーガー ■
しかし、昨日の日銀の発表には驚きました。
イカ墨総裁だけに(GUCCI氏)、イカファイヤー
程度かと予想していましたが、
まさか、バズーガーが炸裂するとは。
■ マネタリーベースを2014年末までに倍増 ■
内容を確認しておきます。
【マネタリーベース】
2013年3月末 138 兆円
2013年度末 200 兆円
2014年度末 270 兆円
2年でマネタリーベースを2倍に拡大します。
日本のマネタリーベースはバブル崩壊以来の緩和政策で既に拡大しています。
それを、さらに2倍ですから、ドンダケ!!って感じ。
その内訳は、
【日銀券】
2013年3月末 82.8 兆円
2013年度末 88 兆円
2014年度末 90 兆円
あれあれ、あまり増えませんね。
市中のお金はあまり増えない様です。
【日銀当座様金】
2013年3月末 47 兆円
2013年度末 107 兆円
2014年度末 175 兆円
様は、金融機関の日銀の当座預金を厚くして、
金融機関の資本力を強化するという事でしょうか?
その為に日銀は銀行から国債やその他の資産を買い上げる訳です。
【国債購入】
現在 残存年数 3年以下の国債を購入
今後 残存年数 7年以下の国債を購入
現在、日本の新発国債の年数が7.2年です。
日銀の購入する国債の残存年数が延びるという事は、
日銀が、より金利リスクを取るという事になります。
将来の金利上昇が発生した場合、日銀が含み損を抱えますが、
日銀は民間の金融機関ではありませんし、
2015年からは会計法の変更で国債の時価会計が停止されますので、
国債は額面の金額で評価され、含み損は発生しなくなります。
なんだか、2015年という数字が突然意味を持ち始めました。
【国債購入金額と残存年数】
月額 7.5 兆円
残存年数1年以下 0.22兆円
1年以上5年以下 3 兆円
5年以上10年以下 3.4 兆円
10年超(40年まで) 0.8 兆円
FRBはQE3で長期国債とMBSを月額7兆円程度買い入れていますから、
今回の日銀の国債購入額はQE3に匹敵します。
【資産買い入れ】
ETFと不動産投資信託(J―REIT) 年間約1兆円、年間約300億円買い増し
これまで日銀は日経平均株価が1%下げた直後にETFを買い入れていたが、
ETFの買い入れ増額に伴い、株価に効果的な買い入れ戦略を執行部で検討する。
■ アメリカ同様、銀行の当座預金の残高が積み上がる ■
マネタリーべースを2年で2倍に増やす今度の日銀バズーガー。
しかし、その内訳の多くが、日銀の当座預金に積み上がる様です。
銀行から国債を中心に資産を買い入れる事に主眼が起かれています。
この国債購入額は、新規国債の発行額の42%に相当します。
これって、普通に考えれば、日銀による国債のマネタイズですね。
それを、市場がマネタイズと判断しないというお約束にするのでしょう。
これは、FRBも同様の事をやっているのだからお互い様。
日銀が増やしたマネタリーベースが市中にどっとあふれ出すと、
下手をするとインフレが加速してしまうので、
金融機関の当座預金にとりあえず積み上げておくという事。
銀行の財務体質は、確かに健全化します。
■ 円の希釈化=円安 ■
リフレ派は、マネタリーベース比較で円が他通貨に対して少ないから、
円高になると主張してきました。
所謂、「ソロスチャート」というヤツですね。
日銀の緩和でマネタリーベースが2倍になると、
円は80円から160円になります。
(現状の95円は、既に緩和を織り込んだレート)
もし、1ドル160円になるならば、
輸出企業には大変な追い風になりますが、
輸入コストは、80円時代の倍。
ガソリンが1リットル300円とか、
光熱費が今の2倍になるとか、
食パンが1斤300円になるとか・・・。
これでは国民が満足しませんから、
小麦の政府買上げを止めて、価格調整を廃止せよとか、
もっと安いコメを輸入しろとか、
輸入完全を撤廃しろなどという要求が、国内から強まって来るでしょう。
そう、TPPを推進して、物価を下げろとなるのです。
円安によって、国内農家は競争力が生まれている様に思えますが、
現在の日本の農業は、石油をたれ流す農業です。
肥料の価格が上がり、機械を動かす油代が上がり、
温室の暖房費も高騰します。
多分、円安だけで、経営が破綻する農家が続出するでしょう。
■ 大喜びするのはアメリカの金融機関 ■
結局、円安のメリットとデメリットが国内では相殺するので、
インフレ率は上がっても、景気の回復はあまり期待出来ません。
但し、資産バブルは発生するでしょうから、
資金力のある人達や、担保がある人達は銀行から資金を調達して、
さらに資産を増やす事になります。
株価と不動産価格は、日銀の買い支えを安心材料として、
今後、バブル価格に向って上昇を始めます。
一方で、庶民の所得は急激には上昇しません。
国内消費もそれ程は回復しないでしょう。
結局、銀行は担保価値の上昇分しか貸し出しを増やせないので、
緩和マネーは、金利差を求めて国外に流出します。
円キャリートレードが本格的に復活するのです。
■ アメリカのジャンク市場を支えるジャパンマネー ■
アメリカは、出口戦略に向けて金利を徐々に引き揚げたい所ですが、
QE3でばら撒かれた資金が、ジャンク債市場に流入してバブル状態です。
もし、低利の資金が減少すれば、ジャンク債バブルが崩壊します。
そこで、日銀の緩和マネーが、低利の資金の供給を支える事になります。
これは、サブプライム層のローンを、日銀の緩和マネーが支えたのと同じ構造です。
当然、アメリカのジャンク債市場や、債券市場のバブルは拡大し続けます。
■ 消費税引き上げで景気は悪化する ■
マスコミを始めとして、2014年4月の消費税引き上げまでは、
日銀の緩和による景気回復を煽りまくるでしょう。
当然、消費税引き上げ前の駆け込み需要が景気を後押しします。
そして、消費善が8%に引き揚げられた瞬間、
新規住宅市場や、自動車販売に暗雲が垂れ込めます。
その頃、アメリカの債券バブルも、パンパンに膨らんでいるでしょう。
日銀バズーガー砲は、はたしてこの状況を打開できるでしょうか?
金融政策が作り出すのは、好景気では無く、バブルである事は歴史の事実です。
皆さん、ご注意を!!