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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「危機管理」は「最悪のシナリオ」の想定から・・・金融危機のシナリオ

2011-05-19 13:31:00 | 時事/金融危機
■ ちょっと現状を整理してみた ■

米国債を始め、何かとキナクサイ臭いが濃く立ち込めて来たので、現状を自分なりにし整理してみました。


■ 地震と原発の話題に隠れていますが、結構ヤバイのが米国債 ■

① 米国債が発行上限に達して、新規発行がストップしている
② 年金積立の切り崩しや、保有する金準備を売却して米国は凌いでいる
③ 8月2日までは、どうにか持たせられると米財務省は予測

■ ヨーロッパもヤバイ ■

① IMFのストロスカン専務理事が突然逮捕された
② 後継者によっては、ギリシャの債務再編が急速に進展する
③ PIGS諸国の国債危機が再び脚光を浴びる

上記二点は連動しています。ドルの一人負けの状況を防ぐ為のユーロ危機です。本当はギリシアのGDPなんて、ちっぽけです。世界経済に与えるインパクトも極僅か。それよりもカリフォルニア州のGDP(国家だとすれば世界10位)の方が、よほどインパクトが大きい。

■ 中東が一番ヤバイ ■

① フェースブックとツイッターで民主化革命を仕掛ける
② 中東の安定を築いてきた旧勢力を一掃してしまった
③ イスラム勢力とイスラエルとの間に緩衝材が無くなってしまった
④ パレスチナ人が既にイスラエルに新入しようとして流血の事態
⑤ イスラエルのストレスが高まって「イラン空爆」となれば戦争勃発
⑥ 米大統領の「ラディン殺害宣言」で中東諸国を挑発している

■ 原油高騰は経済の息を止める ■

① 中東戦争が勃発したら原油が高騰する
② 原油高から物価が高騰する
③ 不況下のインフレ(スタグフレーション)で先進国経済が底抜ける
④ 好まざる金利上昇で、各国の財政が破綻
⑤ ソブリン・ショックが発生し、国債市場が暴落する
⑥ リーマンショックの比でない金融危機が勃発

■ 現在は偽りの回復 ■

① 各国が大量に発行する通貨が金融市場に流入
② 株式市場は、偽札同然の資金によって吊り上げられている
③ 中国をはじめ新興国に流入した資金はバブルを生成
④ アメリカも日本もヨーロッパも実体経済はボロボロ

■ 問題は「いつ」なのか? ■


最短のシナリオ 


最短のシナリオは、米財政がカラッケツになる今年8月。この場合はアメリカの一方的なデフォルト宣言となる(オバマショック)。ニクソンショックは8月15日。この時期はバカンスシーズンで、市場も金融業会も迅速な対応が出来ない。

中期的なシナリオ

中東有事によるインフレによって、政府債務を実質的に目減りさせる方法。
通貨の信任が失われるので、SDRの様な方式が導入される可能性もある。

長期的シナリオ

新興国の経済拡大で、先進国の借金をファイナンスする方法。
リーマンショック後3年近く経過しても、新興国経済はデカップリングしていない。中国の元もドルにペックしたままで、まともな国際通貨に成長していない。

■ 危機管理は「最悪のシナリオ」から ■

今回の原発事故を例に取るまでも無く、危機管理は「最悪のシナリオ」を思い描く事から始まります。

どれを取っても、最悪のシナリオには変わりありませんが、地震同様、何時起こるか分からない危機からは「逃げる」事が大事。

「固定」された資産よりも「流動的」な資産が安全です。

投資信託などの、所謂金融商品は、いざという時には売り抜ける前に相当減価します。株も、素人が売り抜けるのは難しいでしょう。

意外に盲点なのが、生保会社の個人年金や積立式の生命保険。日経平均8500円割れから経営破綻する生命保険会社が出始めます。

多くの資産家は、既に普通預金や現金という形で資産保全をしています。世界経済が破綻するならば、インフレが始まる前に、一時、土地や建物や株といった資産価値は暴落します。資産家達の現金は、この時威力を発揮します。

■ 国は見逃してはくれない ■

戦後の預金封鎖は、インフレ抑制が主目的です。
経済崩壊の後、お金の価値が日に日に目減りするので、人々はお金を物に変えようとしました。物価は日々上昇し、ハイパーインフレが発生しました。
震災後の消費動向を見ても、これを防ぐ手立てはありません。

そこで第二次大戦後の日本政府は次の手段に打って出ます。

① 預金を封鎖する
② 一ヶ月に引き出せる預金の限度額を決める
③ 新券を発行して、箪笥預金を炙りだす
④ 資産課税(20%程度)で、税収を確保する


今後予想される経済危機が、はたしてこの様な段階まで進展するのか、それともリーマンショックの大型版程度で済むのかは、「神のみぞ知る」

<追記>

WSJのこの記事は、客観的事実とうよりは主観的願望の様な記事です。
「世界の変革の為には、戦争も辞さない」と私には読めます。

グローバルシフトに取り残されたIMF
http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_238460